デスマッチ (コンピュータゲーム) 背景

デスマッチ (コンピュータゲーム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/26 01:29 UTC 版)

背景

1983年にドリュー・メジャー(Drew Major)とカイル・パウエル(Kyle Powell)はノベル・ネットウェアのインスピレーションの原点であると信じられているテキストモードゲーム『Snipes』で恐らく世界初のデスマッチをプレイしたと示唆されているが、複数の画面に渡るマルチプレイヤーゲームは少なくとも同作の9年前までにはSpasimMaze Warの形式で存在していた。

用語がグラフィカルなビデオゲームに適用されていた初期のエビデンスが存在する。1982年8月6日、インテレビジョンゲーム開発者のRuss Haftとスティーブ・モンテロ(Steve Montero)は、1981年にインテレビジョンが発売したゲーム『Bi-Planes』で互いに戦った。同作は複数のプレイヤーが戦闘機を操り、リミットに達するまで殺し合いを繰り返すというものであり、一度キルされれば、プレイヤーは定位置で復活することになり、復活後から短時間は攻撃から守られることになる。 その争いは当時デスマッチと呼ばれていた[7]

バリエーション

チームデスマッチ(team deathmatch)ではプレイヤー達は2つ以上のチームのいずれかに組み込まれ各チームは独自のフラグ数を持つ。同士討ちがダメージになるかどうかはゲームおよび利用するルールによって異なる。同士討ちが有効な場合、チームメイトを殺害(チームキル、TKと呼ばれる)したプレイヤーは通常は自身およびチームのスコアを1ポイント減少させることになり、一部ゲームでは罰として彼ら自身もまた殺害(および/または)再発防止のためゲームから排除される可能性がある。終了時にフラグ数が最多のチームが勝利する。

ラストマン・スタンディング(last man standing)のデスマッチでは、プレイヤーは特定のライフ数と共に始まり、死ぬたびにライフ数が減少する。他の全プレイヤーが全ライフを失った時に生き残っているプレイヤーが勝者と宣言される。 詳細については下記の「基本的な変更」を参照のこと。

任意のマルチプレイヤーゲームの目的は可能な限り多くの自分以外の全員を殺すことがデスマッチの形式と考えられている。リアルタイムストラテジーゲームでは、全プレイヤーが大量の資源を持つ彼らの帝国を開始するゲームモードをデスマッチと指すことがある。これは彼らに蓄積の時間を節約し、敵対行為をはるかに速く、より大きな力で開始させる。全ての敵を倒すことが勝利への唯一の道である一方で、他のモードでは他の勝利条件も設定されることがある(king of the hill, building a wonder...)

歴史、基本的な変更

Doom

デスマッチのFPS版は「Deathmatch 1.0」として知られる武器、装備、スコアに関する変更不可能の一連のルールを採用したid Softwareの『Doom』が起源である。

  • アイテム(回復アイテム、アーマー、弾薬など)は再び出現しない。 しかし、 性能が固定された武器は既に入手しているプレイヤーを除いて誰でも入手できる。すなわち実際は武器は拾った時にアイテムのように消えない。武器を入手したプレイヤーは復活した後のみ新武器を入手できるようになる(これは時々プレイヤーが長期間生き延びた場合に弾薬不足につながり最終的に戦闘ができなくなることによる死につながる)
  • 自殺 (溶岩に落下、プレイヤーの傍で爆発を引き起こす、崩壊する天井に直撃するなど) してもマイナス評価はされない

数ヶ月以内にこれらのルールは「Deathmatch 2.0」ルール(Doomのv1.2パッチも含む)に変更された。これらのルールはオプションであり、ゲームの運営者はDM1.0かDM2.0のどちらのルールを使うか決めることが出来た

その変更は以下の通り:

  • 拾われたオブジェクトはマップから除去される。
  • 拾われてから30秒経過するとオブジェクトは再び出現し誰でも拾えるようになるが、大幅なアドバンテージ(不可視パワーアップなど)をもたらすボーナスオブジェクトは再出現するのがかなり遅くなり、一部のオブジェクトは再出現しない。
  • 自殺はキル数(フラグ数)がマイナス1となる

ゲームシリーズの殆どで登場する「ソウル・スフィア(soul spheres)」などの有名なパワーアップアイテムがある。それらの名前および/またはグラフィックスはシリーズの一部ゲームで異なっている可能性があるが、パワーアップのコンセプトと機能は同一のままである。

Corridor 7: Alien Invasion CDバージョン

Capstone Softwareが1994年に発売した『Corridor 7: Alien Invasion』では以下の特長がある

  • 複数のキャラクタークラスを搭載した最初のFPS
  • デスマッチ用のマップを搭載した最初のFPS

Rise of the Triad

Apogee Software Ltdが1994年にシェアウェアとして最初に発売した『Rise of the Triad』は、様々なデスマッチ機能のパイオニアとしての広範なマルチプレイヤーモードを搭載していた

  • 同作はキャプチャー・ザ・フラッグモードを「Capture the Triad」としてFPSジャンルに導入した。
  • 同作はゲーム内スコア表を搭載した最初のFPSだった。
  • 同作は重力や武器の永続性のようなプレイレベル面に影響を与える多彩なオプションを通じて、マルチプレーヤーのカスタマイズを提供する最初のFPSだった
  • ボイスマクロを搭載し、マイクロフォンを通じてプレイヤー同士で話すことができるようにした最初のFPSだった
  • 同作は異なるキルに異なるポイント数を与える独特なポイントシステムを導入した(例えば、ミサイルキルはバレットキルよりもポイントが高い)

Hexen: Beyond Heretic

1995年にRaven Softwareが発売した『Hexen: Beyond Heretic』は以下の特長がある。

  • 各自独自の武器を持つ複数のキャラクタークラス機能を最初に搭載。一部のアイテムは使用しているクラスに基づいて異なった働きをする。

Quake

  • Quakeは1996年にID Softwareが発売したゲーム内参加する機能を搭載した最初のFPSデスマッチである。
  • QuakeはAIが操作するデスマッチのプレイヤー(ボットと呼ばれる)が登場する最初のFPSだったが、それは発売製品の機能としてではなく、コミュニティ制作のコンテンツの形としての機能だった。
  • Quakeはロケットジャンプを普及させた

「クアッドダメージ(quad damage)」など大半のゲームシリーズで登場する有名なパワーアップアイテムの名前および/またはグラフィックスはシリーズの一部ゲームでは異なっている可能性があるがパワーアップのコンセプトと機能は変わらない。

アンリアル

Epic制作のゲーム『Unreal(1998年)においての改善されたルールの一部は幅広く受け入れられた:

  • 「出現防護(spawn protection)」:プレイヤーが戦闘に参加または復帰(殺され復活した後など)した後の無敵時間 (通常2〜4秒)を指す。 出現防護はプレイヤーが武器を使用(スナイパーライフルでズームするなど非攻撃の利用を含む)した時に自動的に抹消される。出現防護は出現したばかりで多少混乱しているほぼ丸腰のプレイヤーを殺害する「簡単なフラグ」を防止するものである。
  • 「自殺原因追跡(suicide-cause tracking)」 – もしプレイヤーが崖から突き落とされたり圧砕機またはガス室を動作させられたりなど他のプレイヤーの行動により「自殺」させられたら、そのような死を引き起こしたプレイヤーはキルしたとクレジットされ、殺害されたプレイヤーはフラグを失わない(自殺とカウントされない)。このコンセプトはゲームのエンターテイメントの可能性を増す(プレイヤーに「狡猾になる」オプションを与えるので)が、同時に複雑になってしまうことから、Epicの主な競合企業Id softwareはこのコンセプトを(彼らが出現防護を実装しなかったのと同様に)『Quake III Arena』では実装しなかった可能性がある。

アンリアル・トーナメント

  • 「combat achievements tracking(戦闘達成記録)」 – 『Unreal Tournament』(Epicが1999年に発売)は統計記録を追加した。統計の幅は以下の通りかなり幅広かった:
    • 各武器の命中率(発砲した弾が当たった率)
    • 各武器で殺害し、特定の武器で殺され、特定の武器を持っている時に殺される。
    • ヘッドショット (スナイパーライフルや他の強力な武器で敵の頭部に致命傷を与える)
    • キリングスプリー(連続殺人): 死なずに5、10、15、20または25人の敵を倒すことをキリングスプリー(Killing sprees)と呼び、殺害数が増えるごとに更に価値があるとみなされ、以下のユニークな称号を得る(Killing sprees(5人)、Rampage(10人)、Dominating(15人)、Unstoppable(20人)、Godlike(25人)) 本作はプレイヤーがこれら各々の称号を何回獲得したかを記録した。
  • 連続キル(consecutive kills): プレイヤーが前のキルから5秒以内に別の敵を殺したら連続キルが起こる。タイマーは再び新たにカウントし始めるので第3、第4の連続キルができるようになる。あるいは、巨大武器(核ロケットに似たRedeemerなど)で数人の敵を殺した場合でも連続キルとしてカウントされる。これらのキルの称号は:ダブルキル(Double Kill) (2)、マルチキル(Multi kill) (3)、 ウルトラキル(Ultra kill) (4)、 メガキル(Megakill) (5)、 モンスターキル(MONSTERKILL) (6 (オリジナルのアンリアルトーナメントでは5))。 一方で、id Softwareの『Quake III Arena』はダブルキルを記録するが、そのすぐ後の第3のキルは別のダブルキルとして評価される。 

Quake III Arena

このゲームの戦闘成果トラッキングに対するアプローチはアンリアルトーナメントと異なる。デスマッチではプレイヤーは以下の芸当の賞を獲得することができる:

  • 「perfect!」 – 殺されずにデスマッチのラウンド(試合)に勝利
  • 「impressive!」 – 2回連続して命中またはレールガン(連射速度が遅いが長距離射程で即着弾の強力な武器)による一発が2人の敵に命中する。
  • 「humiliation!(屈辱!)」 – 近接武器のカミソリのような篭手で敵を殺害 (殺されたプレイヤーもそのアナウンスを聞くが、辱められた(being humiliated)という事実は実際には彼には記録されない)。
  • 「accuracy」 – 命中率が50%を超える

ラストマン・スタンディング

デスマッチのラストマン・スタンディング (Last Man Standing、LMS)バージョンは根本的にデスマッチと異なっている。デスマッチではプレイヤーのフラグ数のみで順位が決まることからゲーム中でのプレイヤーの死亡数は勝敗に影響しないが、LMSは正反対である。LMSでは「死なないこと」が重要目標であり、そのためデスマッチでは特に問題とはならない以下の2つの行動はLMSでは対処される必要がある。

  • キャンプ」(Camping)は一つの場所(通常は何かしらで守られているかアクセスルートが一つのみの場所)に留まることの表現として幅広く認知されており、その場所からスナイパーライフルなどの長距離射程の武器を使い敵を攻撃する。標準的なデスマッチにおいては大半のマップで激しい接近戦が遠距離からの狙撃よりも早くフラグ数が増加することからキャンピングは特に問題視されていない。しかしLMSではキャンピングは平均生存期間を増加させる。 『Unreal Tournament 2003』 ではキャンピングをしているプレイヤー示し、他のプレイヤーにキャンパーの位置を提供することでこの不公平を解決した。
  • 「Staying dead(死んだまま)」 – 死亡後、プレイヤーは(死亡した地点に)倒れた状態になり、進行中のゲーム結果が表示される。復活し戦闘に復帰するためには一部の行動(通常は「発射」キーまたはボタンを押す)を行わなければならない。この指針は現実世界の状況(咳き込んだりインターホンがなったりした時など)によりコンピュータから離れることを余儀なくされたプレイヤーが何度も死ぬことを防ぐものである。 標準的なデスマッチでは死亡数を少なくすることではなくフラグ数を最も獲得することが目的であるため死んだままのプレイヤーは問題とはならない。しかし、LMSではプレイヤーは最初に殺された後戦闘の大半が終わるまで待ち、敵1人しか生き残っていない時に復活することも可能であった。このためUnreal Tournament 2003では殺された後はプレイヤーは自動的に即復活するようになっていた 

  1. ^ Timmer, John (2009年2月5日). “In games, brains work differently when playing vs. a human”. Arstechnica.com. doi:10.1186/1471-2202-10-9. 2011年5月31日閲覧。
  2. ^ Kushner, David (2004). Masters of Doom. New York: Random House Trade Paperbacks. p. 149. ISBN 978-0-8129-7215-3 
  3. ^ Consalvo, Mia (2016). Atari to Zelda: Japan's Videogames in Global Contexts. MIT Press. pp. 201-3. ISBN 0262034395. https://books.google.co.uk/books?id=tH3TCwAAQBAJ&pg=PA201 
  4. ^ Thomson, Iain (2008年2月21日). “Gaming timeline”. Personal Computer World. 2012年10月21日閲覧。
  5. ^ Last Survivor”. Hardcore Gaming 101(2012年8月12日).
  6. ^ Gun Buster - Killer List of Videogames(英語)
  7. ^ Haft vs Montero 1982 Bi-Planes on YouTube”. Youtube.com (1982年8月6日). 2011年5月31日閲覧。


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