ディンキン図形 自己同型

ディンキン図形

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 01:16 UTC 版)

自己同型

最も対称的なディンキン図形は D4 であり、これは triality英語版 を生じる。

異なる図形の間の同型に加えて、いくつかの図形は自分自身への同型すなわち「自己同型」も持つ。図形自己同型はリー環の外部自己同型英語版に対応する、つまり、外部自己同型群 Out = Aut/Inn は図形の自己同型の群に等しい[2][3][4]

非自明な自己同型を持つ図形は、An (n > 1), Dn (n > 1), E6 である。D4 を除くすべてのこれらの場合において、ただ1つの非自明な自己同型が存在し(Out = C2, 位数 2 の巡回群)、D4 に対しては、自己同型群は3文字の対称群S3, 位数 6)である――この現象は“triality”英語版と呼ばれる。すべてのこれらの図形自己同型が、図形がどのように平面に慣習的に描かれるかのユークリッド対称性として実現できるということは起こるが、これはそれらがどのように描かれるかの人工物に過ぎず、内在的な構造ではない。

An.

An に対して、図形の自己同型は直線状の図形の反転である。図形の頂点は基本ウェイトを添え字付け、これらは(An−1 に対して)i = 1, ..., n に対して

Dn.

Dn に対して、図形の自己同型は Y 字の端の2つの頂点の入れ替えで、2つの chiral英語版 スピン表現英語版を入れ替えることに対応する。リー環

E6.

E6 の自己同型群は図形を反転させることに対応し、ヨルダン代数英語版を用いて表せる[3][5]

不連結な図形は、「半」単純リー環に対応し、図形の成分の交換から来る自己同型を持つかもしれない。

標数 2 では、F4 の矢印は無視でき、追加の図形の自己同型と対応する鈴木・リ群英語版を生じる。

正標数では、追加の「図形自己同型」が存在する――粗く言えば、標数 p では図形の自己同型を取るときにディンキン図形の重複度 p の結合の矢印を無視できることがある。したがって標数 2 では

有限コクセター群の foldings.
アファイン・コクセター群の foldings, 3つの名前の慣習を添えて:第一に、もともとの拡大された集合;第二はのグラフの文脈で用いられる;最後はヴィクトル・カッツによって twisted アファイン・リー環のために。

(Simply-laced) ディンキン図形(有限あるいはアファイン)で(下記の1つの条件を満たす)対称性を持つものは、その対称性によって割ることができ、新しい、一般には multiply laced な図形が得られ、この過程を folding (“折り畳み”) と呼ぶ(ほとんどの対称性は 2-fold であるため)。リー環のレベルでは、これは外部自己同型群で不変な部分環を取ることに対応し、過程は図形を用いることなしに純粋にルート系を参照して定義できる[6]。さらに、すべての multiply laced 図形(有限あるいは無限)は simply-laced 図形を folding して得ることができる[7]

Folding が可能なための自己同型についての1つの条件は、(自己同型の下での)同じ軌道にあるグラフの相異なる頂点が辺で結ばれてはいけないことである;ルート系のレベルでは、同じ軌道にあるルートは直交していなければならない[7]。図形のレベルでは、これは必要である、なぜならばそうでないと商図形が、2つの頂点を同一視するがそれらの間に辺があるためにループを持つが、ループはディンキン図形では許されていないからである。

商 ("folded") 図形の頂点と辺はもとの図形の頂点と辺の軌道である;(とりわけ原子価が2よりも大きい頂点において)2つの入射する辺が同じ辺に写る場合を除いて、辺は1本であり、写像の“分岐点”における重みは入射する辺の個数で、矢印は入射する頂点「を」指し、“分岐点は non-homogeneous point に写る”。例えば、D4G2 に folding すると、G2 の辺は、3つの外側の頂点(原子価 1)の類から中心の頂点(原子価 3)の類に向かう。

有限図形の foldings は以下である[8][注 2]

A2n の自己同型は folding を生じない、なぜならば真ん中の2つの頂点は辺で結ばれているが、同じ軌道にあるからである。)

アファイン図形に対して類似の foldings が存在する、例えば:

Foldings の概念はより一般にコクセター図形にも適用できる[9]――特に、ディンキン図形の許される商を HnI2(p) に一般化できる。幾何学的にはこれは uniform polytope英語版 の射影に対応する。特に、任意の simply laced ディンキン図形は I2(h) に fold できる、ただし hコクセター数英語版で、幾何学的にはコクセター平面英語版への射影に対応する。

Folding は(半単純)リー環についての問題を simply-laced なものと自己同型についての問題に還元でき、これは multiply laced リー環を直接扱うよりも単純かもしれない;これは例えば半単純リー環を構成する際にすることができる。さらなる議論は Math Overflow: Folding by Automorphisms を参照。


脚注

  1. ^ この節では明確にするために一般のクラスを「コクセター・ディンキン図形」ではなく「コクセター図形」と呼ぶ。混乱の可能性が大きく、また簡潔のためである。
  2. ^ Stekloshchik の矢印の向きはこの記事とは逆であることに注意。

出典

  1. ^ Baez, John (April 13, 1998), This Week's Finds in Mathematical Physics (Week 119), http://math.ucr.edu/home/baez/week119.html 
  2. ^ Fulton & Harris 1991, Proposition D.40.
  3. ^ a b c Outer automorphisms of simple Lie Algebras
  4. ^ & Humphreys 1972, Section 16.5.
  5. ^ Jacobson 1971, section 7.
  6. ^ Algebraic geometry and number theory: in honor of Vladimir Drinfeld's 50th Birthday, edited by Victor Ginzburg, p. 47, section 3.6: Cluster folding
  7. ^ a b Folding by Automorphisms, John Stembridge, 4pp., 79K, 20 August 2008, Other Articles by John Stembridge
  8. ^ これらの foldings の絵と文献については次を参照:(Stekolshchik 2008, p. 102, remark 5.4).
  9. ^ Zuber, Jean-Bernard. Generalized Dynkin diagrams and root systems and their folding. pp. 28–30. 
  10. ^ a b Transformations of Dynkin Diagrams, John Armstrong, March 5, 2010
  11. ^ a b (Knapp 2002, p. 758)
  12. ^ a b c Why are the Dynkin diagrams E6, E7 and E8 always drawn the way they are drawn?
  13. ^ Notes on Coxeter Transformations and the McKay correspondence, Rafael Stekolshchik, 2005, Section 2.1 The Cartan matrix and its Tits form p. 27. [1]
  14. ^ 例えば次を参照: Reflection groups and Coxeter groups, by James E. Humphreys, p. 96
  15. ^ [2] Infinite dimensional Lie algebras, Victor Kac
  16. ^ Carbone, L, Chung, S, Cobbs, C, McRae, R, Nandi, D, Naqvi, Y, and Penta, D: Classification of hyperbolic Dynkin diagrams, root lengths and Weyl group orbits, J. Phys. A: Math. Theor. 43 155209, 2010, arXiv:1003.0564
  17. ^ The symmetry of M-theories, Francois Englert, Laurent Houart, Anne Taormina and Peter West, 2003


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