スケートボード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/08 14:44 UTC 版)
歴史
(用語については#スケートボード用語と#主なスケートボードトリックを。スケートボーダーについてはプロスケートボーダー一覧を参照。)
1960年代(第一世代)
ローラースケートを流用した木製四輪キックスケーターからハンドルを取ったものが原型と言われている[3]。その後カリフォルニアのサーファーが水を抜いたすり鉢状のプールで乗り始めた事から流行が本格化する。当時は「サイドウォークサーフボード」「ロックライダー」などと呼ばれていた。ウィール(車輪)の材質はゴム、鉄、プラスチック、粘土など。
1970年代(第二世代)
それまでの単なるサーフィンの練習用のものから、グラスファイバーを使ったスラローム向けの小さめ(幅約15cm)の板と、合板を使ったランプ向けの大きめ(幅約25cm程)の板に分派した。ウィールはポリウレタンが一般化する。
プレイスタイルとしては、ボウルやハーフパイプを備えたスケートパークが建設され、様々な技が生み出される。パーク以外でもフラットランドスケートボーディングが発達する。1978年にはアラン・ゲレファンドがランプ(斜面)で手を使わずにボードを浮かせる技「ノーハンドエアリアル」を開発する。この技は彼のニックネームである「オーリー(Ollie)」の名で広まった。
またこの時代より、大きめの板の「裏側」に着目して飲料水メーカーなどのグラフィックが描かれる様になる。この裏面のグラフィックアートが、その世代の流行を反映しながら今日まで続いている。
有名なところではZ-Boysが世間に名を知らしめた時代である。
1980年代(第三世代)
トニー・ホークやクリスチャン・ホソイがバートランプで名を馳せた。 また、フラットランドで活躍したロドニー・ミューレンが平地でのオーリーを開発し、ストリートスタイルの発展に大きく貢献する。この頃から優秀なスケーターにはスポンサーがつき、シグネイチャー・モデルのスケートボードが登場する。また、バスケットシューズを発展させたスケートボード専用シューズが登場する。
この時代にはロックミュージックの一つスラッシュメタルが「スケートロック」とも呼ばれてスケーターに支持され、スケートボード裏面にはレコードジャケットのようなグラフィックが主に用いられた。
- ボード
- 材質は楓の合板が一般化する。デッキ(表面)の縦にコンケーブ(凹み)、更に滑り止めとして、前足部及び後ろ足部に荒い紙やすり状のグリップテープが張られ、デッキ裏にはスライドをし易くする為のレールガードが付けられた。テール部にも角度(キックテール)がつけられた。また1970年代からもあった小技だが、オーリーの成功率をより高く、高さもより飛べるようにつま先を引っ掛ける為のU字型の簡易ドアノブをノーズに付けるのが流行した。
- 競技
- バートランプで発展したトリックがストリートでも用いられる。マーク・ゴンザレスがオーリーを駆使して様々な場所を攻め、スケートボーディング誌を華々しく飾った。[4]
- 環境
- 1970年代から活発な活動をしていたZ-BOYSのトニー・アルバが設立した「アルバスケーツ」を筆頭に、スケートボードの宣伝が各社により活発になった。また本格的にスケートボードウェアーを開発するメーカーも現れた。「THRASHER」をはじめとするスケートボード専門誌が設立され、世界的にも広く普及し始めた。
1990年代(第四世代)
ヒールフリップ・スライド・マニュアルなどのプレイスタイルを主体とし、文字どおり街頭の建造物を使用したストリートスタイルが発展する。デッキ裏面には時代の流行音楽を反映し、ハードコアパンクやオルタナティブロック、ヒップホップ調のグラフィックがあしらわれた。また、有名企業の商標をパロディしたものも流行した。
- ボード
- デッキの寸法は(幅187.5×縦800mm (7.5"×32"))程に収斂されて行く。ボードを水平回転させるトリックが発達したため、どちらが前後になっても問題ないようにノーズとテールは同じ形になり、トリックの成功率を上げるためコンケーブも強めになる。トリックの多様化でボード全面を使う為、デッキ表側全面にテープが貼られる。ウィールの直径は50〜56mm。
- 逆にそういった主流からはずれ、サーファーやスノーボーダー向けに意図的なスライドやボードの傾斜を意識した特殊なボードも開発されてゆく(下記ギャラリー参照)。
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ロングスケートボード(en:Longboard)。長さや形状は様々。
-
フローボード(en:Flowboard)。深いバンクが可能。
- 競技・環境
- スケートボードの宣伝がさらに活発になり、ビデオマガジンが発売された。また、スケートボードやシューズのブランドがスポンサーとなり、プロスケートボーダー4〜6名のチームによる活動を始めた。[5]
2000年代
従来のスケートボードはストリートスタイル普及の結果、街頭の建造物がスケートボーダーにより意図的に破壊される犯罪問題が発生し、街頭でのスケートボーディングが一部制限される。代わりにストリートセッション中心の公共スケートパークが増え、パークスケートボーディングが発展した。スケートボーダーによる麻薬使用といった犯罪行為は、社会問題になりつつある。
2020年代
2021年に開催された2020年東京オリンピックにて、初めて夏季オリンピックの競技として実施された。
東京オリンピック開催後、日本人選手のメダル獲得が相次いだことなどからスクールに通う子供が増加したとされ、上述の社会問題化していた状況から一転して習い事のスポーツの一つになった[6]。
ただし、素行不良のスケーターの問題は依然として改善せず、公園や駅前ではスケートボーダーの退去を命じることができる条例が制定された例もある。これらのトラブルの原因の一つにスケートボード場の料金の高さや営業時間等が挙げられており、環境整備が課題となっている[7]。
- ^ Dutra, Guto (2021年7月25日). “Prata de Kelvin é a primeira medalha brasileira em Tóquio” [ケルビンシルバーは東京で最初のブラジルのメダルです] (Portuguese). Jornal O Maringá. 5 Agust 2021閲覧。
- ^ Dutra, Guto (2021年7月26日). “Tóquio 2020: Rayssa Leal consegue a terceira medalha olímpica para o Brasil” [東京2020RayssaLealがブラジルで3度目のオリンピックメダルを獲得] (Portuguese). Jornal O Maringá. 5 Agust 2021閲覧。
- ^ 映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」にそのパロディがあり、時代こそ1955年となっているが、舞台はスケートボーディング発祥の地カリフォルニアである。
- ^ 特にカリフォルニアの一角には、ゴンザレスが特に攻め込んだ『ザ・ゴンズ』というポイントもあった。
- ^ 具体的には「FLIP」「ALIEN」「DC SHOE」など。
- ^ 徹, 川岸 (2022年3月4日). “ストリートカルチャーがなじまない日本が「スケートボード大国」になった理由 日本のスケーターは、なぜ世界で勝てるのか?(前編)”. JBpress autograph. 2024年5月7日閲覧。
- ^ “スケボーの迷惑行為、東京五輪後に急増…新潟駅前では4月から条例で禁止”. 読売新聞オンライン (2024年1月29日). 2024年5月7日閲覧。
- ^ GATE スケートボード BLOG: 迷惑スケボー男を逮捕=駅前で乗り回し、苦情85件−大阪
- ^ 繁華街でスケボー、4人検挙 道交法違反容疑 大阪 朝日新聞 2013年8月31日
- ^ 朝日新聞デジタル:繁華街でスケボー、4人検挙 道交法違反容疑 大阪 – 社会 ソース アーカイブ
- ^ 「車道でスケートボード 道交法違反で摘発 | レスポンス(Response.jp)」『レスポンス(Response.jp)』。2018年11月11日閲覧。
- ^ 「車道をスケートボードで走行していた男性、ひき逃げされて重傷 | レスポンス(Response.jp)」『レスポンス(Response.jp)』。2018年11月11日閲覧。
- ^ スケボーでベンチ・路面に傷、迷惑行為が深刻化…男子学生「街中の方が爽快感ある」 読売新聞 2022年3月31日
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