ジョジョリオン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 15:43 UTC 版)
用語・キーワード
- 杜王町(もりおうちょう)
- 本作の舞台となる杜王町は物語の中でM県S市紅葉区にある町とされている。町の名産品は牛たんミソ漬けで[12]、別荘地帯と観光およびマイクロ・チップ部品製造産業が主な財源となっている[12]。町は大震災で深刻な被害を受けた上に、地面の下から隆起してきた「壁の目」によってライフラインが絶たれたのが大きな問題となっている。
- 単行本には杜王町地図が掲載されている。Part4の杜王町とは町のシンボルロゴが異なる。同名の地も存在するほか、およそ10年後となっており、「密漁海岸」など『岸辺露伴は動かない』からこちらに導入された箇所も存在する。
- 壁の目(かべのめ)
- 3月11日の震災の際に海岸から内陸へ数百メートルの地点で突然隆起してきた壁。町の小学生により名付けられ、その高さは1 - 3m(特に高い部分は15m)、幅は5 - 8m、距離は全長10kmにも及び、これによって道路・水道・電気・ガスなどが遮断されている[13]。ここで康穂が定助を発見したところから物語は始まる。
- スタンド能力を引き出す土地であることが示唆されている。笹目桜二郎や東方大弥はこの土地でスタンドを身につけ、広瀬康穂や東方常秀もここで傷を負い発熱した後にスタンド能力に目覚めている。作者いわく、この場所はPart7『スティール・ボール・ラン』に登場する「悪魔の手のひら」と同じ意味(役割)を持っているとのこと。
- さらに周辺の地面には秘密があり、物と物を一緒に埋めるとそれらが混ざり合う、等価交換の特性がある(レモンとミカンを一緒に埋めれば、皮はそのまま実の小袋がシャッフルされる)。これを知っているのはごく一部の人間だけ。定助がその影響を受けた人間であることを示すように、彼の眼球とシャボンは中間あたりで境目ができている。東方憲助や常敏の病が全快したのもこの土地の影響。
- 等価交換(とうかこうかん)
- Part8作中のキーワード。代償と引き換えに獲得する、というような意味の一般語。「壁の目の土地」と「ロカカカの果実」と「聖なる遺体」が、それぞれ異なる等価交換現象を起こす。仗世文と吉影に等価交換がねじれて作用し定助が誕生した。
- スティール・ボール・ラン・レース全記録
- Part7のレース記録を詳細に綴った初代・東方憲助(Part7のノリスケ・ヒガシカタと同一人物)による著作。1989年出版の改版版が四代目憲助の書斎にある。巻末に家系図が収録されており、東方家、ジョースター家、吉良家の関係が描かれている。定助(仮名)は、家系図に載っていないのに星のアザを持つという、謎の人物である。
- 家系図には「初代憲助が1846年生」「二代目憲助が1872年生でジョニィと同い年、妹の理那が1874年生」とあり、これはPart7の「1890年に憲助が68歳」という設定と異なっている。
- TG大大学病院(TG医大、T大)
- 杜王駅の北側に、大学と共に位置している大病院。2009年(作中の2年前)に建てられた新築の建物で、モールも入っている。「TH大」という大学もあるが、別物。
- 吉良ホリーがかつて勤務し、現在は入院している。#012(3巻)にて、定助を行かせないために虹村京がスタンドで妨害してきて戦闘になる。康穂はホリーと対面に成功する。田最環の死亡後に、定助はホリーの面会に訪れている。果樹園火災の後で、定助、礼、康穂、密葉が訪れている。秘密ラボがあり、何十個ものロカカカが栽培研究されていた。
- カツアゲロード
- 支倉高校(はぜくらこうこう)の北にある通り。別名を「デッドマンズ・カーブ」。
- この道を通過するとなぜかカツアゲに遭う。カツアゲする者はここの住人であるが一定していない。スタンドの力を利用していて証拠がろくに上げられないせいか、警察もここの事件にはあまり介入しないようにしている模様。その隙を突いて、違法な取引にも使われている。
- ジョースター地蔵
- 水兵帽をかぶった地蔵。ジョニィ・ジョースターが1901年11月11日に落石事故で亡くなったとされる現場に「異国の地で命を落とした米国人騎手の死を悼む」として1902年5月23日に祀られた地蔵。カツアゲロードの南にある。
- 「病」
- 東方家の人間がかかる謎の奇病。長男が罹患すると伝わるが、その限りではない。初期症状では記憶が少しずつ無くなっていき、やがて皮膚に折り紙のような線が入り、体が岩のように固くなって死に至る。死を回避する方法として、発病する12歳の時に二本松の根本に奉っている「祠」へ赴き、もう一人の誰かを生贄として共に一晩中過ごして移す(土地のパワーである)と東方家に代々伝えられ、代々長男の母親が生贄の役となる習わしになっている。
- 岩人間(いわにんげん)
- 皮膚が硬質化して石のようになる体質をもつ、人型の知的生命体。人間とは別の種族だが、岩にならない限り目視では人間と区別がつかない。
- 皮膚を「石」のようにすることで、生物としての活動のほとんどを停止させる。この状態で、自然界の高低温や乾燥に耐えることができる。数十日岩になって眠り、数十日覚醒し続けるという活動サイクルを持ち、覚醒期間中は自分の意思で岩化もできる。「S&W」のラッシュでも傷つかないほど硬いが、身体が欠けると出血する。活動を再開するには微弱ながらも皮膚呼吸が必要であり、これができないと体細胞が急激に劣化して窒息死する。
- 作中では八木山夜露が初めて岩人間として登場した。人間よりも頑丈なために、群れも文明も不要とする。だが中には人間社会で生活する者がおり、主に近親者のいない行方不明者などの戸籍を裏で改ざんし、その人物になりすまして生活する。彼らは岩人間種としては異質な者たちである。
- #046(11巻)・#081(20巻)・#099(25巻)には詳細な解説が書かれている。設定上は雌雄(男性・女性)があるとされている。岩人間の男性と人間の女性の間には子供はできず、岩人間の女性の子供は必ず岩人間として産まれる。岩人間の95%がスタンド使いとされ、登場した岩人間の全員がスタンド使いである。SFのケイ素生物に相当する。
- 岩動物(いわどうぶつ)
- ケイ素生物種。岩人間が飼い慣らして使役する。
- ロカカカ
- つるぎやホリーの奇病を治す可能性を持つ果実、および樹木の本体。果実名は#041(10巻)にて明らかにされている。
- 正確には樹木というより、果実のなる多年草植物である。実の形状はイチジクに似ている。
- 元々はニューギニア島の高地に自生していた植物。原住民から病を治す「奇跡の果実」として重宝されてきたが、太平洋戦争の日本軍占領を機に島から消失した。岩人間たちが輸入して日本国内で所有・鉢植の形で栽培している。輸入時の税関や検疫には引っかからず合法である。
- この実を食べるとケガや病気が治る。欠損した身体すら再生する。ただしその効果は等価交換であり、代償に身体のどこか一部が岩となって粉々になる。岩人間が1個2億円で秘密裏に売買する。
- 田最環と大年寺山愛唱の鉢植えから、枝を仗世文と吉影が盗む。この枝を仗世文が接ぎ木して東方家の林に隠し、接ぎ木または壁の目の土地の影響を受けて性質が変質し、10ヶ月後に新種の果実「新ロカカカ」が2個実る。
- 新ロカカカは、摂取して他人に触れると、自分ではなく触れた相手が等価交換のダメージを引き受け、接種者本人はダメージを押し付けてノーリスクで治ることができる。新ロカカカの効果で、生きた仗世文と死んだ吉影が等価交換することで、定助と死体へと変わり、不死への可能性ともいえる代物であることが証明される。接ぎ木の枝について、礼は越冬できないと予測しており、特別な「虫」を用いて栄養を与えて果実を収穫できる状態にした。定助・礼とプアー・トムの戦いを経て、常敏が秘密裏に枝を入手し、表向きは再び行方不明になる。枝は鉢植えのサボテンに接ぎ木され、あと十日で収穫という現状にある。時を同じくして、院長は新薬として表社会に発表した。
- 新ロカカカは、収穫直前に争奪戦が激化し、2個の実を康穂と透龍がそれぞれ摂取し、残りゼロ個となった。つるぎを助けるために、花都が枝全てを使い切ったことで、新ロカカカは完全に失われた。
- 虫
- 礼が飼育している昆虫で、カイコガの幼虫のような姿をしている。植物の管に潜り込み、三角形の糞をして栄養を与える共生の習性を持ち、礼はこの虫を使って品質の高い果物を栽培している。ロカカカの樹を観て越冬できない状態だと判断した礼が、この虫を使って果実を収穫できる状態にした。
- ごま蜜団子
- #002で杜王銘菓として登場した「ごま蜜団子」は実際にある岩手県の和菓子店が製造している「生菓子」がモデルで、劇中と同じく8個入りと16個入りがある。2012年に開催された原画展ではパッケージを「ごま蜜団子」に変えた商品が限定販売された[14]。
注釈
出典
- ^ 荒木飛呂彦・著『ジョジョリオン』第1巻、表紙カバー
- ^ 『ジョジョベラーHISTORY』
- ^ 『朝日新聞夕刊』2011年7月2日『震災後の世界 マンガに 「ジョジョリオン」など』
- ^ “ジョジョ、連載開始から28年目で「文化庁メディア芸術祭」大賞”. MSN(発信元・ORICON STYLE) (2013年12月5日). 2013年12月21日閲覧。
- ^ “『ジョジョリオン』は『ジョジョ』史上最大の問題作かーー「呪い」の正体とは?”. Real Sound|リアルサウンド ブック. 2020年6月3日閲覧。
- ^ a b c d e 「Commented by Hirohiko Araki」『JOJOVELLER完全限定版 STANDS』302-312頁。
- ^ a b c d e f g “<インタビュー>荒木飛呂彦『ジョジョ』シリーズでともに歩んできたプリンスを語る”. 2021年8月29日閲覧。
- ^ a b c d e “ジョジョの奇妙な元ネタ特集│ブックオフオンライン”. www.bookoffonline.co.jp. 2021年8月29日閲覧。
- ^ a b 『ジョジョリオン』14巻著者コメント
- ^ 『ジョジョリオン』第20巻 pp.94
- ^ コミックス27巻著者コメント
- ^ a b 『ジョジョリオン』第1巻 p.13
- ^ 『ジョジョリオン』第1巻 pp.16-17
- ^ 松栄堂公式サイト
- ^ 杜王新報 特別版 p10『アラキ×カタル』 - 2017年の原画展で配布された新聞
- ^ “ジョジョリオン 1”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 2”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 3”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 4”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 5”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 6”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 7”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 8”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 9”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 10”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 11”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 12”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 13”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 14”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 15”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 16”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 17”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 18”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 19”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 20”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 21”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 22”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 23”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 24”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 25”. 集英社. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 26”. 集英社. 2021年5月19日閲覧。
- ^ “ジョジョリオン 27”. 集英社. 2021年9月17日閲覧。
- 1 ジョジョリオンとは
- 2 ジョジョリオンの概要
- 3 登場人物
- 4 用語・キーワード
- 5 書誌情報
- 6 脚注
- ジョジョリオンのページへのリンク