シートベルト 日本における状況

シートベルト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/03 21:32 UTC 版)

日本における状況

設置義務

日本においては、車両へのシートベルト設置について道路運送車両法に基づく「道路運送車両の保安基準」(昭和26年日運輸省令第67号)で定められている。

2点式が第1種座席ベルト、3点式が第2種座席ベルトとして規定されている。

従来、シートベルトは高級車におけるオプション装備という位置づけだったが、欧米でのシートベルト設置義務化の動きを受けて道路運送車両の保安基準を改正、1969年(昭和44年)4月1日以降に国内で生産された普通乗用車(定員10人以下、軽自動車を除く)は、運転席にシートベルトの設置を義務付けられた(軽自動車については同年10月1日生産車から)。

このシートベルトの設置義務は運転席についてのみであったが、シートベルトの設置用金具については全席に義務付けられており、1973年(昭和48年)12月1日以降の生産車には助手席、1975年(昭和50年)4月1日以降の生産車には後部座席にも設置が義務付けられた。

当初は腰部で身体を固定する、いわゆる2点式シートベルトが一般的であったが、後に胸部も固定する3点式シートベルトが普及した。

1975年(昭和50年)4月1日以降の生産車の運転席・助手席には基本的に3点式シートベルトの設置をすることとされている[5]ピラーの無いオープンカーなど一部の車については、例外として2点式シートベルトが認められていたが、1987年(昭和62年)3月1日以降はその例外もなくなっている。

1994年(平成6年)4月1日以降は後部座席の側面席、2012年(平成24年)7月1日以降は全ての座席を3点式シートベルトにすることと定められた。

なお、定員11人以上の普通乗合車(バス)については1987年(昭和62年)9月1日以降の生産車に運転席にのみ3点式シートベルトの設置、2006年(平成18年)10月1日以降の生産車に助手席の3点式シートベルトの設置、2012年(平成24年)7月1日以降の生産車に後部座席(補助席を除く)の3点式シートベルトの設置、同時に着用が義務付けられている。

なお、日本の法規制上、シートベルトは平常時には乗員の各種動作を阻害しないように、ベルトが自由に伸縮する機構が必要である。そのため、装着時に完全に体が固定されてしまう、主に4点式以上のアフターマーケットパーツのシートベルト(レース用途などの競技用シートベルト/レーシングハーネス等)に関しては、その極限用途ゆえの安全性は高くても上記法定条件を満たしていないため保安基準には適合せず車検にも通らない。純正のシートベルトを残していれば車検は通るが後部座席がある車両では後部座席区画に肩部ストラップが通るため乗車定員を変更(前席のみの2名乗車に減らすなど)しなければ車検には通らない。公道では純正シートベルトの方を着装しなければならず競技によっては純正シートベルトの上からレーシングハーネスを両方装着することが競技車両規則で義務付けられている場合もある。

着用義務

日本において、乗員のシートベルト着用については道路交通法により定められている。反則金の付加が当初検討されたが、法律の自己決定権への侵害への配慮と、他法(自殺、自傷行為について不可罰)との整合性から国会で討議された結果、見送られた。

1971年(昭和46年)6月2日施行の改定道路交通法より、運転席・助手席でのシートベルト着用について努力義務を課していたが、着用義務の法制化について国会に多数の陳情が寄せられるようになったことから、1985年(昭和60年)9月1日施行の改定道路交通法により自動車高速道・自動車専用道において前席(運転席・助手席)でのシートベルト着用が、罰則付きで義務付けられた(一般自動車道については1992年(平成4年)11月1日から)。

なお、負傷・障害・妊娠中でシートベルト着用が療養上又は健康保持上適当でない場合や、消防用車両、郵便物の集配業務で頻繁に乗降する区間、選挙カーなど、特段の理由がある場合は着用義務が免除されている[6]

また、設置義務がなかった時代に製造された自動車に、シートベルトがないものもある。ただし、製作当時の法規が適用されるため、しなくても法令違反にはならないが、現代とは違った車の耐久性・形状から危険な車種もある[注釈 1]

後部座席シートベルト義務化

2007年に道路交通法が改正され、2008年6月1日から一部の特殊な例外を除いては、従来「努めなければならない」とされていた後部座席のシートベルト着用が、運転席・助手席と同様に義務化された。

これは、非着用者の致死率は着用者の約4倍、非着用の場合、後部座席同乗者が前席乗員に衝突することにより、前席乗員が頭部等に重傷を負う確率が着用の場合の約51倍も増大する、といった調査結果に対し、後部シートベルトの着用率の低さが問題となったことが理由である(高速道路におけるシートベルト着用率は、運転席98.2%・助手席93.0%に対して後部座席12.7%)。諸外国の場合、多くは、すでに後部座席同乗者にシートベルト着用が義務化されており、日本でも義務化に踏みきることとなった。これに違反した場合運転者に対して違反点数(1点)の加点処分が科せられる。なお、警察庁の方針として義務化以後も当面は注意程度に留めるとしていたが、その後に実施した調査の結果、着用率が大幅に上昇したことを理由に、2008年10月以降は加点を伴う取り締まりがされるようになった。

バスの乗客の非着用についても、高速自動車国道及び自動車専用道路では運転手に加点対象となるため、各バス会社は座席にシートベルトの設置及び乗客へのシートベルト着用の呼びかけを行なっている。高速自動車国道及び自動車専用道路以外では反則点の対象になっておらず、また、高速道路等を走行しないバスには、「道路運送車両の保安基準」により運転席及びそれと並列の座席以外への装備が義務づけられていないため、除外される。なお、高速道路等を走行しないバスと同等の構造でありながら、やむをえない理由によって高速道路等を走行する路線バスにおいては、車体後部への保安基準の緩和標章の掲示と、最高時速を60キロ程度に制限する事によって必要最小限の経路の通行が認められている。また、立席乗車さえ禁止すれば、新製時にシートベルトが装備されているかどうかに拘わらず、これらの制限を回避出来るため、南海バス堺・南港線三重交通上野天理線などでは、十分な座席数を確保した高出力エンジンを搭載している路線バス車両を限定運用に充てることで、運転時間の短縮とバリアフリー化の両立を実現している。2019年現在、立ち席用のシートベルトは開発されていない。

シートベルト関係法令年表

  • 1966年(昭和41年)3月1日 : JISに自動車用安全ベルト(シートベルト)の規格が制定。
  • 1969年(昭和44年)4月1日 : 運転席にシートベルトの設置義務付け。
  • 1971年(昭和46年)6月2日 : 高速自動車道・自動車専用道でのシートベルト着用の努力義務(罰則なし)。
  • 1973年(昭和48年)12月1日 : 助手席にシートベルト設置義務付け。
  • 1975年(昭和50年)4月1日 : 後部座席にシートベルトの設置義務付け。
  • 1983年(昭和58年)3月1日 : JISに自動車用幼児拘束装置(チャイルドシート)の規格が制定。
  • 1985年(昭和60年)9月1日 : 高速自動車道・自動車専用道での運転席・助手席でのシートベルト着用義務化(罰則あり)。
  • 1987年(昭和62年)3月1日 : 運転席・助手席にELRシートベルトの設置を義務付け。
  • 1992年(平成4年)11月1日 : 一般道での運転席・助手席でのシートベルト着用義務化(罰則あり)。
  • 1994年(平成6年)4月1日 : 座席ベルト非装着時警報装置(初期警報)の設置を義務付け
  • 1994年(平成6年)4月1日 : 後部側面座席に3点式シートベルトの設置義務化。
  • 2000年(平成12年)4月1日 : 6歳未満の幼児の乗車についてチャイルドシート使用義務化(罰則あり)。
  • 2005年(平成17年)9月1日 : 再警報装置(シートベルト・リマインダー)の設置を義務付け。
  • 2008年(平成20年)6月1日 : 全座席のシートベルト着用義務化(高速道路・自動車専用道のみ罰則あり)。
  • 2012年(平成24年)7月1日 : 後部中央座席に3点式シートベルトの設置義務化。
  • 2012年(平成24年)7月1日 : ISOFIX対応チャイルドシート取付具の設置を義務付け。
    • 基本的に国産普通乗用車(定員10人以下)についての規定。詳細は各法令を参照。
    • 道路交通法については施行日、保安基準については以降の生産車が対象となる日。

注釈

  1. ^ 例外規定・除外規定・車両も大きさ・排気量の規定もあるため、シートベルトをしなくても良いかどうかは確認をとったほうが良い。

出典

  1. ^ ナショナルジオグラフィックス『クラッシュサイエンス』
  2. ^ JAF Traffic Safety Report (PDF)
  3. ^ カーライフマガジン【知って得する、CAR INFO】:シートベルトの正しい装着方法 - タイムズクラブ”. 2009年4月15日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h 第4編付則”. 日本自動車連盟. 2019年10月4日閲覧。
  5. ^ 腹くくりタスキがけ 運転席は3点ベルト」『朝日新聞』昭和49年(1974年)6月8日夕刊、3版、11面
  6. ^ 道路交通法施行令第26条の3の2及び座席ベルトの装着義務の免除に係る業務を定める規則(昭和60年国家公安委員会規則第12号
  7. ^ 海外のシートベルト着用・チャイルドシート使用義務 JAFホームページ 2018年1月28日閲覧






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