出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/02 20:36 UTC 版)
導出
古典的な分配関数による導出
古典系における分配関数を扱うため、十分に温度が高い状態を考える。まず3次元の体積 V の容器の中を運動する1個の粒子を考えると、この1粒子系のハミルトニアン H は
と表される。U(q) は粒子が容器内に囚われていることを示すポテンシャルエネルギーであり、容器の中では 0 になり、外では十分に大きな正の値をとる。このハミルトニアンを使うと、温度 T の平衡状態での分配関数は位相空間上での積分より
となる。ここでは前述の熱的ド・ブロイ波長である。運動量による積分はガウス積分を用いて計算した。
次に粒子数を増やして N 個の粒子を考える。気体粒子同士は相互作用をしないものとする。さらに各粒子は区別できないものとすると、N 粒子系の分配関数は
となる。ここからヘルムホルツエネルギーは
となる。ここで階乗の対数はスターリングの近似 ln N! ≈ NlnN − N を用いて評価している。従って、エントロピーは
となり、ザックール・テトローデ方程式が導かれる。
さらに圧力は
となり、この系が理想気体の状態方程式を満たすことが分かる。また、内部エネルギーは
となる。