サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 00:42 UTC 版)
内部
教会内部は並外れていて複雑である。基本は上下3層構造で、地表面の下層部、穹隅の移行層、格間のある楕円形のドーム部分に分けられる[3]。
下層部では、主玄関の正面に主祭壇があり、それと交差する軸上に二つの祭壇がある。それらの間に16本の柱が4本ずつ立っていて、その上に幅広いエンタブラチュアが一周取り囲んでいる。したがって基本的には十字形の設計のように思われるが、柱の配置は十字形ではなく斜めに並んでいるため、同時に全ての祭壇が見えるようになっている。柱の間に壁龕や繰形や扉が配され、全体として波打つような動きを感じさせる効果を生んでいる。その独特のリズムのある設計とその根底にある幾何学は建築史上においても重視されており、教会の象徴主義やボッロミーニの業績を語る上でも重要とされている[4][5][6]。
穹隅の層は、下層のほぼ十字形の波打つ形状からドームの楕円形の開口部へと遷移させるための部分である。4つのグループに分かれている下層の柱から対角線的にアーチが伸び、楕円形のエンタブラチュアを支えている。
ドームの基部となる楕円形のエンタブラチュアには木の葉形の「冠」があり、ドーム内壁には八角形と十字形と六角形を組み合わせた格間が施され、上にいくに従って格間が小さくなっている。ドーム基部の四方にある窓と頂上の天窓から光が射し込むようになっている。特に聖三位一体のシンボルが描かれた天窓は最も明るく、ドーム内壁の格間は下にいくに従って徐々に暗くなっている。
地下聖堂
地下聖堂は地上とほぼ同じ形と広さであり、天井は低い。南東部分にはボッロミーニが自身の埋葬を希望していた礼拝室がある。地下聖堂も大小の壁龕が壁に並んでいて、波打つような形状になっている。
回廊
教会の隣には2層構造の回廊がある。玄関方向の軸が長い長方形になっているが、角が斜めに切り取られているため、長い八角形と見ることもできる。12本の柱は上部がアーチになっているところと平らになっているところが交互に並んでいる。角の部分は斜めになっていて、上層の手摺の手すり子は独特の形状をしている。中央に八角形の井戸があり、上層の柱の柱頭が八角形になっていて、全体の幾何学的主題が強調されている。
- ^ Blunt, Anthony. Borromini, 1979, Belknap Harvard, p. 53
- ^ Blunt, A. 1979, p. 71, 76-80. Blunt はこのボッロミーニの設計とピエトロ・ダ・コルトーナのサンティ・ルカ・エ・マルティナ聖堂の設計のどちらが先かを検討し、コルトーナが先だとしている。
- ^ 新建築社『NHK 夢の美術館 世界の名建築100選』新建築社、2008年、104頁。ISBN 978-4-7869-0219-2。
- ^ Blunt, A. Borromini, 1979, p.52-84
- ^ Steinberg, Leo. San Carlo alle Quattro Fontane. A Study in Multiple Form and Architectural Symbolism, New York, 1977
- ^ Wittkower, Rudolf. Art and Architecture in Italy 1600-1750, Pelican History of Art, 1958, p.131-5
固有名詞の分類
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