オペラ 著名な歌劇場

オペラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/06 04:12 UTC 版)

著名な歌劇場

歌劇場#日本国内の主要な歌劇場歌劇場#世界の主要な歌劇場または歌劇場の一覧を参照

著名なオペラ演出家

オペラの上演に関してはしばしば、かつては「歌手の時代」であり、次に「指揮者の時代」となり、現在は「演出家の時代」である、と言われることがある。近年は原作のト書きや設定を完全に無視、または異化した、人によっては奇抜とさえ感じられるような斬新な演出も増えており、これについては賛否両論がある。特に上演数が多いドイツ圏では保守的な演出の繰り返しでは観客を引きつけられないという事情もあってか斬新な演出が多く、それに比較すると英米のほうがオーソドックスな演出が多い。

録音と映像

レコードの発明はオペラの世界にも変革をもたらした。当初は録音時間の制約が大きかったため、代表的なアリアや序曲が独立して録音、発売されることが多く、エンリコ・カルーソーなどは20世紀初頭に一世を風靡した歌手である。一方では数枚組のセット用に全曲をスタジオ録音する試みも始まっており、1907年の「こうもり」と「道化師」が世界初のオペラ全曲録音といわれる。このころは録音環境の問題からオーケストラなどは極度に人数省略されていたが、そうした状況は徐々に改善。やがて劇場公演の実況録音なども開始されたが、やはり音質のいいスタジオセッションのほうが長らく主流を占め、優れた録音効果などによって「耳で聞くオペラ」という鑑賞ジャンルを打ち立てることになる。1950年代後半からはステレオ化したスタジオ録音に対し、実況は部分的には1970年代にまでモノラル録音が残っており、ノイズ処理や解像度の点で大きく立ち遅れていた。ただし、これは制作会社や環境のばらつきが非常に大きく、スタジオでもモノラルが主流だった1955年にバイロイト音楽祭『ニーベルングの指環』の実況がデッカ・レコードによってステレオ録音で試みられており、21世紀になって日の目を見て大きな反響を呼んだ。1980年代ごろから実況録音の音質が向上すると、スタジオセッションは次第に減少し始め、映像ソフトの普及にともなってさらに激減、21世紀に入ると滅多に行われなくなってしまった。映像へのシフトは実況録音盤も減少させ、一時は年間100点前後に及んでいたオペラ全曲録音盤の国内新譜は、2010年代においては年に数点という有様である。

映像におけるオペラは、まず劇場用映画として登場。プレスコで収録された音声にあわせて、歌手(または別人の俳優)の口パク演技を撮影する方式で、このやり方は今日までオペラ映画として存続している(ただし、70年前後からは劇場上映よりもテレビ用途で制作されることのほうが多い)。舞台の枠組みにとらわれず、自由に野外ロケや特殊撮影などを織り込めるのが特長である。音質、画質の面でも(特に70年代あたりまでは圧倒的に)有利である。公演に映画カメラを持ち込んでの実況収録も1950年代から始まっているが、当初は撮影時の機械音やズームレンズの未発達、フィルムの感度が悪い、などの問題があり、たとえば1960年制作の「ばらの騎士」(カラヤン指揮)などでは、音声のみ実況で収録、映像は終演後に無人の劇場で口パクで撮り直すことによって照明やカメラ位置の自由を確保するという擬似実況方式(前後の拍手やカーテンコールは実況映像)を採用している。今ではカメラの性能が向上したためこの方式は見られなくなったが、一部分のみ映像を撮り直したり、ゲネプロ収録と組み合わせたり(全部がゲネプロという場合もある)するケースはある。また、ゲネプロ収録およびプレスコの併用だが舞台のフレームを一切画面に写さないため、実質的に映画となっているケース(カラヤン指揮の「カルメン」など)も存在する。1980年代ごろからの実況映像はビデオカメラに、1990年代からはさらにハイビジョン方式に切り替わっていった。現在では映画カメラ(フィルム)によるライブ撮影はほとんど見られない。

テレビ、ビデオ再生装置の普及と映像技術の進歩はオペラの映像収録を飛躍的に増加させた。今日ではかつてのレコード、CD全曲盤に変わってビデオディスクがオペラのパッケージとして主流を占めている。


注釈

  1. ^ 「スタンダード・オペラ鑑賞ブック」全5巻(音楽之友社1998)、「オペラ・ガイドブック」(成美堂出版2008)、堀内 修, 石戸谷 結子編「オペラ・ハンドブック」(三省堂2009)など、オペラをイタリアオペラとドイツオペラに分けて紹介した書籍は例外なくモーツァルト全作品を後者に入れている(それ以外は国別分類をしないか、古典派として国別とは別の枠を設けている)。また、武田好「イタリアオペラに行こう」(2010年日本放送出版協会)、「イタリアの都市とオペラ」(2015年水曜社)、河野典子「イタリア・オペラ・ガイド」(星雲社2017)など、イタリアオペラ入門書の多くはモーツァルトには触れていない。

出典

  1. ^ 松田 亜有子『クラシック名曲全史 ビジネスに効く世界の教養』ダイヤモンド社、2019年10月3日、39頁。ISBN 9784478109212 
  2. ^ 水谷 彰良「新イタリア・オペラ史」音楽之友社、2015年、162ページ。本書はイタリア語で書かれたオペラはイタリアオペラと呼ぶべきという主張からモーツァルトにも筆を割いている。
  3. ^ 季刊誌「OPERA」の欧州歌劇場上演スケジュール、雑誌「音楽の友」の海外ニュースなど
  4. ^ 『オペラ史(下)』P476~477
  5. ^ dtv-Atlas zur Musik、Deutscher Taschenbuch Verlag、日本語訳は白水社から出ている。
  6. ^ 野村三郎「ウィーン国立歌劇場 すみからすみまで」18ページ音楽之友社、2014年
  7. ^ 野村三郎「ウィーン国立歌劇場 すみからすみまで」音楽之友社、2014年、106ページ。
  8. ^ 野村三郎「ウィーン国立歌劇場 すみからすみまで」音楽之友社、2014年、107ページ。
  9. ^ 野村三郎「ウィーン国立歌劇場 すみからすみまで」117ページ音楽之友社、2014年。
  10. ^ 野村三郎「ウィーン国立歌劇場 すみからすみまで」音楽之友社、2014年、129ページ。
  11. ^ 野村三郎「ウィーン国立歌劇場 すみからすみまで」音楽之友社、2014年、181ページ。
  12. ^ 野村三郎「ウィーン国立歌劇場 すみからすみまで」音楽之友社、2014年、30ページ。
  13. ^ 野村三郎「ウィーン国立歌劇場 すみからすみまで」音楽之友社、2014年182ページ。
  14. ^ UNESCO - The practice of opera singing in Italy” (英語). ich.unesco.org. 2023年12月9日閲覧。
  15. ^ 江戸時代の日本で歌われたオランダ歌曲 - International Association of Music Libraries, Archives and Documentation Centres Japanese Branch
  16. ^ GIOVANNI VITTORIO ROSI'S MUSICAL THEATRE:OPERA, OPERETTA, AND THE WESTERNISATION OF MODERN JAPAN1 p.9
  17. ^ 増井 1984, pp. 18–21, 二人の世界的プリマ・ドンナが続いて来日した.
  18. ^ 増井 1984, pp. 100–113, 第2章第1節. 明治三十六年の「オルフェウス」上演.
  19. ^ 2018年1月6日23時NHKEテレ放送ETV特集シリーズよみがえるアーカイブ第1回「日本とイタリア」
  20. ^ a b c 日本(語)のオペラと「不気味の谷」
  21. ^ イルデブランド・ピッツェッティ歌劇『大聖堂の殺人』カラヤン指揮、ヴィーン国立歌劇場によるCD(POCG-10096/7)の解説書、6、7頁。
  22. ^ 野村三郎「ウィーン国立歌劇場 すみからすみまで」音楽之友社、2014年、187、188ページ。
  23. ^ “小澤征爾さんに米グラミー賞=長野でのオペラ公演、渡辺さんは及ばず”. 時事ドットコム. (2016年2月16日). オリジナルの2016年2月24日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160224084216/http://www.jiji.com/jc/zc?k=201602/2016021600087 2016年2月16日閲覧。 
  24. ^ The History of the Opera Dress Code





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「オペラ」の関連用語

オペラのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



オペラのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのオペラ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS