アーリヤバタ (人工衛星) アーリヤバタ (人工衛星)の概要

アーリヤバタ (人工衛星)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/07 08:41 UTC 版)

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アーリヤバタ
所属 ISRO
任務 天体物理学
周回対象 地球
打上げ日時 1975年4月19日
輸送ロケット コスモス3M
COSPAR ID 1975-033A
質量 360.0 kg
消費電力 46 W (太陽パネル)
軌道要素
軌道 LEO
軌道傾斜角 50.7°
遠点高度 619km
近点高度 563km
軌道周期 96分
1984年発行のソ連切手

名称は、古典期インドの天文学者アーリヤバタ(5~6世紀)に由来する[3]。天文学者アーリヤバタの名前をラテン文字転写した際に含まれる接尾辞には "-bhța" と "-bhțța" の2通りの綴りがある[3]。人工衛星アーリヤバタの正式名称の綴りとしては t を重ねる方が採用された[4][3]。しかしながら、本来は t を重ねないものが正しい[3]ので、例えば『ブリタニカ百科事典』やアメリカ航空宇宙局の公式ホームページのように、本人工衛星に言及する際に t を重ねない綴りを採用することも多い[1][2]

インド宇宙研究機関が人工衛星アーリヤバタを製作した目的は、衛星軌道上の宇宙機の操縦方法の確立、宇宙機の発するシグナルを地上で受信し転送し位置を特定する方法の確立、宇宙開発事業のインフラを整えることなどにあった[4]。アーリヤバタの機体は26面の多角形型で、直径1.4m[2]。重量は360kgであった[4]。底面と頂面を除いたすべての面が太陽パネルに覆われていた[2]。また、X線天文学、超高層大気学太陽物理学の実験を行うための実験器具が積み込まれていた[2][4]

人工衛星アーリヤバタは、1975年4月19日ソビエト連邦によってカプースチン・ヤールからコスモス3Mロケットで打ち上げられた[2]。衛星軌道に到達してから4日間が過ぎたところで電力に問題が生じ、実験の中断を余儀なくされた[1][2]。ミッション開始から5日目、人工衛星アーリヤバタからのすべての信号がロストした[2]。5日間のオペレーションではあったものの、有意義な情報が集められたと評価された[1]。人工衛星アーリヤバタは1992年2月11日大気圏再突入した[2]

人工衛星アーリヤバタ打ち上げの後、インド共和国は、同国の宇宙開発計画に沿って、2機のバースカラ衛星をはじめとして複数の人工衛星英語版を打ち上げた。1976年から使用されたインドの2ルピー紙幣の裏面には、人工衛星アーリヤバタの絵が描かれた。この紙幣は、1997年まで使用された[5]。また、1984年に発行されたソ連の切手の一つには、人工衛星アーリヤバタが、その後に打ち上げられた2つのインドの人工衛星(バースカラ衛星)とともに描かれている。


  1. ^ a b c d e “Aryabhata”. The New Encyclopædia Britannica. (2017-02-03). https://www.britannica.com/topic/Aryabhata 2017年6月5日閲覧。. 
  2. ^ a b c d e f g h i NASA HEASARC Page”. 2017年6月5日閲覧。
  3. ^ a b c d K. V. Sarma (2001). “Āryabhaṭa: His name, time and provenance”. Indian Journal of the History of Science 36 (4): 105–115. オリジナルの31 March 2010時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100331152303/http://www.new.dli.ernet.in/rawdataupload/upload/insa/INSA_1/20005b67_105.pdf 2017年6月2日閲覧。. 
  4. ^ a b c d Aryabhatta - India's First Satellite” (2009年10月27日). 2009年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月5日閲覧。
  5. ^ Cuhaj, George S., ed. Standard Catalog of World Paper Money. 3 (10 ed.). Krause Publications. 


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