アーケードカード その他

アーケードカード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/27 06:43 UTC 版)

その他

発売延期

当初は1993年12月の発売が予定されていたが、アーケードカードに利用する4Mbit DRAM(本製品は4Mbit DRAM×4で16Mbitとなる構成)が世界的に品薄となったため、供給に必要な数が確保できないとの理由により、一度発売が延期されている。

これにより同時発売予定であった専用ソフト第1弾『餓狼伝説2』も、本製品に合わせて発売が延期されている。

市場の反応

商品名からも分かるように、本製品の登場の背景には当時ブームとなっていたアーケード対戦型格闘ゲーム人気が大きく影響している(格闘ゲームでは、1つのステージで大量のキャラクターパターンを用意する必要があり、従来のバッファRAM容量では忠実に移植するのが困難だった)。そのため、発表された専用ソフトにはネオジオで人気を博していた格闘ゲームが名を連ねたが[4]、バッファRAM増強による効果は他にも期待できるため、格闘ゲーム以外のタイトルも発表された。また、アーケードカード専用ソフトのほかにも、アーケードカードを使用すると従来のSUPER CD-ROM2よりも快適にプレイできたり、映像や音声が強化されるといったアーケードカード「対応」ソフトもいくつか発売された。

両対応ソフトの「エメラルドドラゴン」を読み込みエラーによる誤差の少ないハードのレーザーアクティブとアーケードカードDUOを使って、実際どの程度アクセス回数が減少するのかを検証したところ、バッファRAM増設により画面切り替えに伴うマップデータの読み込み回数が減少する。SUPER CD-ROM2では移動によって画面が切り替わる都度、データ読み込みを行っていたが、アーケードカード使用時は1度マップデータの読み込みを行えば画面が切り替わる際は読み込み不要になり、音楽のサーチ(頭だし)だけで済むようになる。[3]

ビジュアルシーンの豊富なゲームにはアーケードカードのメリットはない。[3]

しかし、発売当時は同年に発売されることとなる次世代機(3DOセガサターンPlayStationなど)の情報が公開され始めており、高額な価格設定とも相まって、かつてのCD-ROM2からSUPER CD-ROM2へのような普及には至らず、発売予定であった『天外魔境III』もNEC-HEの次世代機であったPC-FX用ソフトへ移行するなど[5]、最終的に発売された専用ソフトはわずかな本数となった。多部田俊雄は「コンマ数秒のアクセス時間のためにわざわざアーケードカード対応にしていくと制作の現場にも負担がかかるし、また値段の面でユーザーにも負担をかけてしまいます」と現行のSUPER CD-ROM²のスペックは今後も十分通用するものとして意見を出している。[6]


  1. ^ 当初はアーケードカードDUOに相当するものだけをアーケードカードとして発売し、CD-ROM2システムユーザーにはスーパーシステムカードとアーケードカードの2枚を同時に挿入する拡張ユニットが用意される予定であった。しかし、発売前にコスト面などから製品構成の見直しが行われ、2種類のバリエーションでの発売となる。
  2. ^ この形状のものは他に『ポピュラス』、『ストリートファイターIIダッシュ』、スーパーシステムカード、天の声バンクがある。通常のHuCARDよりも容量などが大きいものはプリント基板の面積が広いため、カードの強度を補強するために採用している(ただし、「天の声バンク」のみ、ボタン電池を収納するスペースとして使用)。レーザーアクティブはHuCARDスロットの形状の関係から、厚みのあるこのタイプのHuCARDは抜けなくなる可能性があるので、注意が必要である。
  3. ^ a b c 『PC Engine Fan 通巻64号』徳間書店、1994年3月1日、15,16,17,頁。 
  4. ^ これらのゲームのオリジナル製作元であるSNKは、移植許諾だけでなく各タイトルの内部データも提供している。これは当時、SNKがネオジオCDによるCD-ROM供給を計画しており、ハドソンの持つCD-ROM製作のノウハウと交換する形で両社が技術提携したからである。
  5. ^ 同作は結局PC-FXでも発売されず、長い沈黙ののち、2005年PlayStation 2用ソフトとしてようやく発売された。
  6. ^ HIPPON SUPER! 第9巻. 株式会社宝島社. (1994年6月3日). p. 62 


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