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UGST

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/14 15:15 UTC 版)

UGST
種類 長魚雷(HWT)
原開発国 ロシア
運用史
配備期間 2002年-
配備先 ロシア海軍
開発史
開発者
開発期間 1980年代末
諸元
重量
  • 2,200 kg(7,200 mm型)
  • 1,678 kg(6,100 mm型)
全長
  • 7,200 mm(ロシア向け)
  • 6,100 mm(輸出向け)
直径 533 mm

射程
  • 20 - 40 km (50 kt 駛走時)
  • 35 - 50 km (30 - 35 kt 駛走時)
速度
  • 50 kt
  • 30 - 35 kt(巡航速度)
炸薬量
  • 300 kg 以上(ロシア標準)
  • 205 kg(輸出向け)

エンジン 斜板式ピストンエンジン+
ポンプジェット
深度
  • 500 - 550 m(最大作動深度)
  • 400 m(最大発射深度)
誘導方式 有線+音響誘導(アクティブ/パッシブ)+航跡波誘導
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UGST(ロシア語: УГСТ: Универсальная глубоководная самонаводящаяся торпеда、「汎用深々度ホーミング魚雷」の意味)は、ロシアで開発された長魚雷[1][2]。計画名は「フィジク」(Физик)[3]。対艦・対潜両用の熱機関魚雷である[2][3]。

来歴

ソ連海軍の誘導魚雷のルーツは、第二次世界大戦中にドイツ海軍から鹵獲した電池魚雷であるT-Vにある[4]。ソ連における誘導式電池魚雷は、まず対艦兵器として実用化されたものの、後には主として対潜兵器として用いられるようになった[4]。一方で、ソ連海軍は電池魚雷よりも高速で射程も長い熱機関魚雷にも関心を抱いており、1960年代以降、こちらが対艦兵器として用いられるようになった[4]。その後、対潜用・電池式のホーミング魚雷であるSET-65を基にして、有線誘導に対応したTEST-71や航跡追尾に対応して対艦攻撃能力を備えたUSET-80が登場するなど、まずは電池魚雷の汎用化が進められた[4]。

ソ連海軍は、これらの電池魚雷の静粛性を評価しつつも、さらなる高速化と長射程化を達成するため、1980年代末より、新世代の熱機関魚雷の開発に着手した[3]。これが「フィジク」計画であり、モルフィスプリボル研究所、NPOレギオン、およびモルテプロテフニカが設計・開発を担当した[1][2]。

1995年のランカウイ海事航空展覧会(LIMA 1995)において、初めて国外に公表された[1]。1996年当時の単価は80万 - 100万米ドルとされる[1]。2002年にロシア海軍へ正式配備されたほか、2004年には静粛性を大幅に向上させた改良型のUGST-Mが就役した[2]。

設計

UGSTは高度なモジュール設計を採用しており、用途やプラットフォームに応じて各セクションの変更や近代化が可能である[2]。この特性を活かして、輸出市場には、ロシア本国用よりも短い全長のモデルが提示されている[2]。

魚雷本体と弾頭は個別に気体充填容器に納められた状態で供給・搬送される[1]。演習時には実弾頭セクションを録音・記録装置付きの演習用セクションに置換し、燃料の充填量を調整することで回収用の正浮力を確保して分析が可能である[2]。

誘導装置

UGSTはロシア製魚雷として初めて本格的なデジタル・オンボード・コンピュータを搭載した[1]。誘導方式には、有線誘導、航跡波誘導(ウェイクホーミング)、フリーランニング(自律走行)の3つのモードを選択可能である[1][2]。誘導ワイヤーは魚雷本体側のリールに最大 25 km 格納されており、発射艦側の 5 km 分と合わせて最大 25 - 30 km の有線誘導が可能である[1][2]。

ソナーの送受波器は平面アレイ(Planar array)として配列されており、探信・聴音両用で、マルチチャネルに対応し、深海および浅海のいずれにも対応可能である[1][2]。潜水艦に対する探信での探知距離は 2,500 - 2,800 m、終末誘導範囲は対水上艦で 1.2 km、対潜モードで 2.5 km である[1][2]。航跡波誘導では、水上艦通過後の航跡を最大 5.8 分間探知・追尾できる[1]。

ソフトウェアには「プランシェット」と呼ばれる戦術状況モデル化アルゴリズムが組み込まれており、検知した目標のシグネチャを分析してデコイや誤標的を排除し、標的の最も脆弱な部位へ自動誘導する[1][2]。発射前に母艦の火器管制装置から目標シグネチャをロードするほか、誘導ワイヤーを介して魚雷が検知したシグネチャデータを受信・処理することも可能である[1][2]。また、充実した電子防護(ECCM)能力を備え、対魚雷ジャミングや自然干渉に対抗する[2]。

弾頭部

弾頭重量は 300 kg 以上(仕様により 205 kg または 425 kg)であり、標的の最も効果的な部位で起爆するよう制御される[1][2]。

信管には、音響近接信管(作動距離:潜水艦に対し 2 m、水上艦に対し 6 - 8 m)、電磁近接信管、および電気機械式接触信管(着発信管)と電子安全起爆装置が搭載されている[1][2]。

推進装置

上記の経緯より、本魚雷は動力源として熱機関を採用しており、一液系推進剤を用いた斜板式ピストンエンジン (axial piston engine)  であるモルテプロテフニカ製APD(制式名は16DT)を搭載した[1][2]。このエンジンはアメリカ合衆国のMk 48魚雷の影響を受けているものと見られており[1]、推進剤も、同魚雷のオットー燃料IIとほぼ同一成分であろうと推測されている[3]。出力350 kW、回転燃焼室を備え、高圧(最大 35 MPa)プランジャーポンプにより液体推進剤を噴射する[2]。燃焼室内には発射直後の急加速(ブースト)および魚雷管からの即時進出のために粉末装薬が組み込まれている[2]。またUGST-Mではモルテプロテフニカ製19DTタービンモーターに変更され、自己騒音が大幅に低減された[2]。

推進装置としては、低騒音型のウォータージェット推進器を採用している[1][2]。発射直後には尾部からフリップアウト式の双対制御フィンが展開し、発射直後の機動性や低速・高速走行時の安定性を確保する[1][2]。

速力および射程は、50ノット駛走時に 20 - 40 km(13.5 - 27海里)、35ノット(または30ノット)駛走時に 35 - 50 km(21.5 - 27海里)である[1][2]。作動深度は最大 500 - 550 m であり、最大 400 m の深度から発射可能である[1][2]。

バリエーション

UGST(フィジク-1)
基本型であり、全長 7.2 m(ロシア標準)および 6.1 m(NATO/輸出標準)のモデルが存在する[1][2]。
UGST-M
2004年に就役した改良型であり、19DTタービンモーターを搭載して自己騒音を大幅に低減した[2]。
TT-1
UGSTの派生型とされる533mm熱機関魚雷であり、全長 5,895 mm または 7,200 mm(重量 1,700 / 2,000 kg)、425 kgの大型弾頭を備え、最高速度48ノットを発揮する[1]。
UTST
対潜兵器に特化したUGSTの派生型であり、弾頭を 200 kg に軽量化する代わりに燃料容量を拡大し、50ノット時に 50 km の長射程を実現した[1]。
フィジク-2(フトリャル)
UGSTの発展型であり、誘導システムの性能向上とさらなる高速化が図られている[3]。

運用者

脚注

出典

参考文献

関連項目




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