T-35 (航空機・チリ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/06 20:16 UTC 版)
T-35 ピラン
エナエル T-35 ピラン(スペイン語:ENAER T-35 Pillán)は、チリのエナエルによって生産されたレシプロ練習機。ピランとは悪魔の意。
概要
チリ空軍が運用していたT-41およびT-34の後継としてパイパー・エアクラフトに開発を依頼した練習機であり、同社の軽飛行機でエナエルがライセンス生産も行っていたPA-28 チェロキーシリーズをベースにタンデム複座化したものである。胴体は拡大モデルであるPA-32R サラトガのものをベースにしており、曲技飛行ができるように構造を強化したチェロキー・アローの主翼を組み合わせている。
試作型PA-28R-300の1号機XBTは1981年始めに初飛行し、2号機YBTも同年後半に初飛行した。その後エナエルでの製造が始まり、翌年7月からT-35の名称でチリ空軍への配備が開始された。当初はパイパーが供給したキットによって製造されていたが、次第に国産化率が高められていった。中南米諸国を中心に輸出もされ、スペイン空軍でもE.26 タミズ(Tamiz)の名称で採用されCASAが機体の組み立てを行った。
後にエンジンをターボプロップ化したモデルも試作されたが、量産には至らなかった。
採用国
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チリ
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ドミニカ共和国
- 2024年時点で、ドミニカ共和国空軍が4機のT-35Bを保有[1]。
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エクアドル
- 2024年時点で、エクアドル海軍が3機のT-35Bを保有[2]。
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エルサルバドル
- 2024年時点で、エルサルバドル空軍が3機のT-35を保有[3]。
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グアテマラ
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パナマ
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パラグアイ
- 2024年時点で、パラグアイ空軍が6機のT-35A、3機のT-35Bを保有[4]。
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スペイン
要目
- 乗員:2名
- 全長:7.97 m
- 全幅:8.81 m
- 全高:2.34 m
- 翼面積:13.64 m2
- 空虚重量:929 kg
- 最大離陸重量:1,387 kg
- エンジン:ライカミング AEIO-540-K1K5 水平対向エンジン(300馬力) × 1
- 最大速度:311 km/h(海面高度)
- 航続距離:1,269 km(出力75%、燃料余裕なし)
- 実用上昇限度:5,820 m
脚注
出典
参考文献
- The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7
- 航空ジャーナル 12月号臨時増刊「世界の軍用機1985」1984年12月5日発行 航空ジャーナル社 P194
外部リンク
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