分解型八元数
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/30 21:05 UTC 版)
数学における分解型八元数(ぶんかいがたはちげんすう、英: split-octonion)の全体は、実八次元の分配多元環を成す。通常の八元数とは異なり、非可逆な非零元を含む。またその計量二次形式((二次の)ノルム)の符号数も異なり、通常の八元数のが正定値符号数 (8, 0) を持つのに対して、分解型八元数のは分解型符号数 (4, 4) を持つ。
八元数全体と分解型八元数全体の二者が、同型を除いて可能な実数体 ℝ 上の一般八元数環の全てを尽くす。任意の体 F 上でも対応する分解型の八元数環を考えることができる。
定義
ケーリー=ディクソン構成
八元数全体および分解型八元数全体は、四元数の対の間に乗法を定義することにより、ケーリー=ディクソン構成から得られる。新しい虚数単位 ℓ を導入して、四元数の対 (a, b) を a + ℓb の形に書けば、その積は
分解型八元数の基底元の乗法表を表す簡便な記憶術が右図である。これは(基底元の記号を少し改めて書けば)以下のような計算規則(同値なものが480通りある):