ニュージーランド・ファースト党とは? わかりやすく解説

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ニュージーランド・ファースト党

(NZファースト党 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/07 04:15 UTC 版)

ニュージーランド政党
ニュージーランド・ファースト党
New Zealand First
Aotearoa Tuatahi
党首 ウインストン・ピータース
成立年月日 1993年7月18日
代議院
8 / 122   (7%)
(2023年10月14日)
政治的思想・立場 政治的シンクレティズム(社会:右派・経済:中道)
社会保守主義 [1]
ポピュリズム [2][3][4]
ナショナリズム [5]
シンボル
公式サイト New Zealand First
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ニュージーランド・ファースト党(ニュージーランド・ファーストとう、英語: New Zealand Firstマオリ語: Aotearoa Tuatahi)は、保守主義、ポピュリズムナショナリズムを政治理念とするニュージーランド政党。元ニュージーランド国民党所属のウインストン・ピータースが離党し1993年に結成した。現在も党首はピータースが務める。ニュージーランド第一党とも。

政治理念

主な政策として、以下の3つの主張を訴えている。

  1. ニュージーランドの文化を守るため移民流入に反対(特にアジア地域からの移民)
  2. 犯罪抑制のため刑罰の強化、懲役刑の強化
  3. ワイタンギ条約に関連する負担費用の軽減化

高齢者利益の増幅・保護、マオリ族出身者の地位向上、権利の保護を主張し、移民流入、ヘイトスピーチ法の制定、国有財の民営化(特に海外への国有資産の売却)などに強く反対する。他方、減税や、全国民への医療や教育を受ける機会には賛成している。ニュージーランドに移住して来るアジア系移民の数が(総人口に対して)多すぎると政府の移民政策を批判している。ニュージーランドはニュージーランド人を最優先にすべきと主張する。しかし、政党として反アジア人政策を掲げているわけではない。

歴史

1993年の総選挙前にニュージーランド国民党を離党したウインストン・ピータースがニュージーランド・ファースト党を結成。同年の総選挙では、トゥ・ヘナレ議員(当時)と共に2議席を獲得する。ピータースの政治理念・主張が党の主張になることから、ニュージーランド・ファースト党はピータースの自家用車と揶揄されている。

1996年の総選挙では、マオリ族出身者の票や高齢者票を中心に17議席を獲得する。結成3年目の政党の躍進にニュージーランド政界は衝撃を受ける。ニュージーランド国民党との連立政権に参加を表明し、ピータースは副首相兼収入役に就任する。ニュージーランド国民党の党内事情からボルジャーが党首を辞任し、ジェニー・シップリーが党首に就任する。ピータースは留任する。

1998年8月に国有資産であるウェリントン国際空港の民営化案を巡り、シップリーとの関係が悪化、シップリーはピータースを更迭し、ニュージーランド国民党とニュージーランド・ファースト党との連立政権は崩壊する。

連立政権の崩壊はニュージーランド・ファースト党内でも亀裂を生じさせ、離党する議員が出る。1999年の総選挙では大敗し、5議席に減らす。連立政権を結成していたニュージーランド国民党も敗北し、ニュージーランド労働党が政権を奪回する。

2002年の総選挙では、移民政策、ワイタンギ条約の不公平さの是正、刑罰強化を柱に選挙戦を展開し、13議席を獲得する。社会的弱者やマオリ族出身者、高齢者からの票を獲得する。野党を支持する票が集まり議席を伸ばすも、ニュージーランド国民党の党首にドン・ブラッシュが就任すると国民党支持へと情勢が変わる。

2005年の総選挙で、ニュージーランド国民党が議席を伸ばすも、ニュージーランド・ファースト党は大敗し、7議席に終わる。ピータースはヘレン・クラーク首相の要請を受け、閣外協力に同意する。ピータースは外務大臣に就任する(所掌事項の審議の際のみ、閣議に参加する閣外大臣)。2008年の総選挙でも引き続きピータースが党首を務めると宣言していたが大敗し、党首のピータース自身も含めた全ての議席を失った。

2011年の総選挙で8議席を獲得し、国政に復帰した。次の2014年の総選挙でも飛躍し、議席数を2桁に乗せたが、2017年の総選挙英語版では9議席(得票率7.20%)にとどまった。しかし与党国民党が単独過半数を確保できなかったため、連立工作が活発化する[6]。10月19日にピータースが労働党党首ジャシンダ・アーダーンを首班とする連立政権の樹立で合意し、政権に復帰した[7]。2020年の選挙では再び、全議席を失っている[8]2023年総選挙では8議席を獲得し、議会に再び議席を得た[9]

脚注

  1. ^ Karl R. DeRouen; Paul Bellamy (2008). International Security and the United States: An Encyclopedia. Greenwood Publishing Group. p. 528. ISBN 978-0-275-99255-2. https://books.google.com/books?id=CpckqY51AUEC&pg=PA528 
  2. ^ Boston, Jonathan (2003) (英語). New Zealand Votes: The General Election of 2002. Victoria University Press. p. 240. ISBN 9780864734686. https://books.google.com/books?id=N-ql-Xs9hhkC&pg=PA240&lpg=PA240 
  3. ^ Bale, Tim; Blomgren, Magnus (2008), “Close but no cigar?: Newly governing and nearly governing parties in Sweden and New Zealand”, New Parties in Government (Routledge): p. 94, ISBN 9780415404990 
  4. ^ Betz, Hans-Georg; Immerfall, Stefan, eds. (1998). "New Zealand First". The New Politics of the Right: Neo-populist Parties and Movements in Established Democracies. St Martin's Press.
  5. ^ Webb, Paul (2002) (英語). Political Parties in Advanced Industrial Democracies. Oxford University Press. p. 409. ISBN 9780199240555. https://books.google.com/books?id=8E4TDAAAQBAJ&pg=PA409 
  6. ^ “NZ総選挙:国民党単独の過半数確保できず-小政党と連立模索へ”. bloomberg.co.jp (ブルームバーグ). (2017年9月23日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-09-23/OWQFYJ6JIJUP01 2017年9月24日閲覧。 
  7. ^ “Jacinda Ardern to be New Zealand's next PM after Labour coalition deal”. The Guardian (ガーディアン). (2017年10月19日). https://www.theguardian.com/world/2017/oct/19/jacinda-ardern-new-zealand-prime-minister-labour-coalition-deal-winston-peters 2017年10月20日閲覧。 
  8. ^ ニュージーランド総選挙、与党が単独過半数で圧勝 アーダーン首相の続投確実”. BBC (2020年10月18日). 2023年5月3日閲覧。
  9. ^ “Live election 2023 updates on 15 October: All the results, all the reaction”. ラジオ・ニュージーランド. (2023年10月15日). https://www.rnz.co.nz/news/political/500191/live-election-2023-updates-on-15-october-all-the-results-all-the-reaction 2023年10月16日閲覧。 

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