マルチボールシステムとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > マルチボールシステムの意味・解説 

マルチボールシステム

(Multiball system から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/10 12:33 UTC 版)

マルチボールシステムとは、主にサッカーの試合において複数の予備ボールを準備し、試合の進行を迅速にする仕組みのことである。1990年代中ごろから試行され、その後いくつかのサッカーリーグや大会において正式に採用されている。

導入の経緯

サッカーのルール(Laws Of The Game)では、試合中は原則としてただ1つのボールを用いることになっている。ボールの交換が認められるのは、ボールが破損するなどした場合に限られ、レフェリーの許可を必要とする。この制約のため、たとえばボールが観客席に入ったり、競技場の外に出てしまったような場合でも、そのボールを回収してフィールドに戻す必要があるため、試合は中断することになる。

特に熱狂的なサポーターが観戦する試合の場合、観客席に入ったボールをサポーターが返却しないといったトラブルもしばしば起きた。またテレビ中継が広まるにつれて、ボール回収のための中断が試合のスピード感を損ねるといった問題も指摘されるようになった。

こうしたことから、国際サッカー連盟(FIFA)は1995年女子ワールドカップ、およびU-17世界選手権において、マルチボールシステムを試験的に導入した。結果的に中断時間の短縮効果が認められ、その後さまざまな大会で導入されることになった。

日本Jリーグでも、試験導入の結果を受けて1996年からマルチボールシステムが導入された。UEFAチャンピオンズリーグでも実施されている。

実施例

マルチボールシステムでは、一般に7個のボールを試合前に準備する[1]。このうち1つを試合用のボールとし、残りの6個はフィールド周辺で待機しているボールパーソンが保持する。ボールの配置は大会ごとに指定されるが、Jリーグの場合は両ゴールラインそばに1つずつ、両タッチラインそばに2つずつとなっている。

試合用のボールがフィールド外に出て、試合再開の位置までボールを戻すのにかなりの時間が掛かると判断される場合、再開位置に最も近い場所でボールを保持しているボールパーソンが、手持ちの予備ボールを選手(またはレフェリー)に投げ渡す。こうして、回収を待たずに試合を再開することが可能となっている。回収された(試合用)ボールは予備ボールとなり、しかるべきボールパーソンに戻される。

多くのボールを準備することが困難な下位カテゴリーの大会では、5個あるいはそれ以下の予備ボールで運用することもある。

問題点

レフェリーの許可を待たずに予備ボールが供給されるため、ボールパーソンの判断ミスなどで複数の予備ボールがフィールド内に入ってしまうことがある。この場合、かえって試合の進行が妨げられる場合もある。例えばイングランドのサッカーリーグでは、いくつかのチームがマルチボールシステムを導入しているものの、こうしたトラブルが起きたためにレフェリーがマルチボールシステムを試合中に停止させるといった事態も起きている[2][3]

マルチボールシステムの導入により試合の中断時間が減ったことは、選手の疲労にも影響している。特に選手の給水時間が確保できなくなることに対する懸念が、FIFAのテクニカルレポート[4]で提起されている。

その他

いくつかのフットサルバレーボールのリーグおよび大会においても、マルチボールシステムが導入されている。

参考文献

関連項目




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「マルチボールシステム」の関連用語

マルチボールシステムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



マルチボールシステムのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのマルチボールシステム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS