Mircとは? わかりやすく解説

Mirc

名前 マーク

mIRC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/11 06:48 UTC 版)

mIRC
作者 ハレド・マルダム・ベイ
開発元 mIRC Co. Ltd.
初版 1995年2月28日 (30年前) (1995-02-28)
最新版
7.77[1]  / 2024年6月11日 (10か月前)
プログラミング
言語
C / C++[2]
対応OS Windows XP以降
プラットフォーム IA-32
種別 IRCクライアント
ライセンス プロプライエタリ / シェアウェア
公式サイト www.mirc.com
テンプレートを表示

mIRCは、Windows向けのInternet Relay Chat (IRC) クライアントである。統合されたスクリプト言語を備えており、拡張機能の作成を可能にしている[3]。mIRCは1995年に初めてリリースされ、それ以降「Windowsで利用可能な最も人気のあるIRCクライアントの一つ」と評されてきた[3]。mIRCはシェアウェアであり、30日間の評価期間後に登録のための支払いが必要となる[4]

歴史

mIRCはというイギリスプログラマであるハレド・マルダム・ベイによって開発された[5]。彼はシリア人の父とパレスチナ人の母のもと、ヨルダンで生まれた[6][7]。彼は1994年後半に開発を開始し、1995年2月28日に最初のバージョンをリリースした[8]

マルダム・ベイによれば、Windows向けの最初のIRCクライアントには基本的なIRC機能が欠けていると感じたため、mIRCの開発を決意したという。その後、人々に評価されたことと技術的な挑戦が理由で開発を継続したと述べている。彼は、mIRCの人気が高まったことで生活の糧を得られるようになったとも述べている[9]。また、冗談交じりに「mIRCの“m”は“moo”または“MU”(無)」を指すとも語っている[10]

mIRC 5.91は16ビットWindowsをサポートする最終バージョンであり[11]、6.35はWindows 95NT 4.098MEをサポートする最後のバージョンである。現行バージョンはWindows XP以降に対応している[12]

このアプリケーションは、2006年のベースハンターによる楽曲「Boten Anna英語版」のミュージックビデオにも登場している[13]

主な機能

mIRCにはいくつかの特徴的な機能がある。その一つはバージョンごとに改良されてきたスクリプト言語である。このスクリプト言語により、カスタムコマンド(エイリアス)などの軽微な変更だけでなく、mIRCの動作や外観を完全に変更することも可能である。また、もう一つの機能としては、DCCプロトコルを用いたファイル共有機能があり、内蔵ファイルサーバーも備えているとされている[14]

mIRC 7.1からは、2010年7月30日のリリース以降[15]UnicodeおよびIPv6をサポートしている。

mIRCスクリプティング

mIRCの機能や動作は、内蔵されたmIRCスクリプト言語によって変更・拡張することができる。mIRCには独自のGUIスクリプトエディタが搭載されており[3]、そのヘルプは「極めて詳細」と評されている[3]

このスクリプト言語は、たとえばファイルの名前変更や削除など、ユーザーのコンピュータに対して高いレベルのアクセス権限を持つため、悪意あるスクリプトがいくつも作られてきた。たとえば、$decode識別子を用いたものがあり、これはエンコードされた文字列をデコードするものである[16][17]。この問題は2001年8月に報告され、5か月後でもユーザーが騙されてコマンドを実行し、「自分のmIRCの制御を他者に渡す」ような事態に陥る事例が報告されていた[18]。この事態を受け、mIRCのバージョン6.17では変更が加えられ、$decodeはデフォルトで無効化され、その他の危険とみなされる機能についてもロック可能とされた[15]

評価

mIRCはCNETDownload.comから4,000万回以上ダウンロードされている[19]。2003年には、ニールセン/ネットレイティングスによって、最も人気のあるインターネットアプリケーションのトップ10の一つにランク付けされた[20]

脚注

  1. ^ "Latest News: mIRC 7.77 has been released!".
  2. ^ mIRC: Personal FAQ - Language”. mirc.com. 2023年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月19日閲覧。
  3. ^ a b c d Smith, Chris (2004). “Hack #20 Automate IRC with Scripting”. In Paul Mutton\. IRC Hacks: 100 Industrial-Strength Tips & Tools. O'Reilly Media, Inc.. pp. 71–74. ISBN 9780596006877. https://books.google.com/books?id=MbHAnBh9AqQC&q=mIRC+scripting+language&pg=PA71 
  4. ^ "Registration". mirc.com.
  5. ^ Mattson, Bill (1998年). “Chatting With Other Sailors”. thebeachcats.com. 2024年6月1日閲覧。
  6. ^ mIRC: Personal FAQ”. www.mirc.com. 2023年10月21日閲覧。
  7. ^ mIRC: Personal FAQ”. www.mirc.com. 2023年12月27日閲覧。
  8. ^ mIRC: Khaled Mardam-Bey”. www.mirc.com. 2025年5月11日閲覧。
  9. ^ mIRC: Personal FAQ”. mirc.com. 2023年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月19日閲覧。
  10. ^ mIRC: Personal FAQ - Meaning”. mirc.com. 2023年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月19日閲覧。
  11. ^ "mIRC 6.0 drops 16bit support". mirc.com.
  12. ^ "mIRC download for 6.35 and latest version". mirc.com. Retrieved 2018-12-10.
  13. ^ Ernie Smith (2018年2月13日). “Why Did Slack Win Out Over IRC, Anyway?”. Vice. 2020年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月12日閲覧。
  14. ^ mIRC FAQ: Section 6”. mirc.com. 2018年12月10日閲覧。
  15. ^ a b mIRC: Latest News”. mirc.com. 2018年12月10日閲覧。
  16. ^ "mIRC Backdoors - An Advanced Overview". originally by ReDeeMeR. Securiteam.com Windows NT Focus. 24 February 2002.
  17. ^ Ahmadi Bidakhwidi, Mohammad (2005) "mIRC Worm" Archived 2012-11-03 at the Wayback Machine.. The Ethical Hacker.
  18. ^ Lo, Joseph, ed. (January 4, 2002). "IRC News Jan 04 02 Happy 2002 - //$decode trojan keeps going and going... " Archived 2012-08-01 at the Wayback Machine.. and
    "Aug 30 01 mIRC $decode() exploit." IRChelp.org.
  19. ^ mIRC”. Download.CNet.com. 2018年12月10日閲覧。
  20. ^ InternetNews Traffic Patterns 2003”. InternetNews.com (2003年10月22日). 2008年8月13日閲覧。

参考文献

外部リンク



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  Mircのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Mirc」の関連用語

Mircのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Mircのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのmIRC (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS