ラプラスの方法
(Laplace's method から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 03:50 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動数学においてラプラスの方法(らぷらすのほうほう、英: Laplace's method)とは、ピエール=シモン・ラプラスにちなんだ積分
- 関数 f(x) = sin(x)/x は原点 0 において最大値をとる。被積分関数 enf(x) を n = 0.5 のとき(上図)と n = 3 のとき(下図)に青色で示した。数 n が大きくなるにつれて、被積分関数のガウス関数(赤色)による近似がよくなる。この観察がラプラスの方法の背後にある。
関数 f(x) が点 x0 においてのみ最大値をとると仮定する。数 n に対して、次の関数を考える。
点 x0 において関数 g と h も最大値をとることに注意する。また、このとき
である。
数 n が大きくなるにつれて h の比は指数的に大きくなる一方で g の比は変化しない。したがって、関数の積分における支配的な寄与は点 x0 の近傍における点 x のみから来るため近似ができる。
厳密な主張
f(x) は区間 [a, b] 上の二回連続微分可能な関数で、ある点 x0 ∈ (a, b) でのみ
を満たすと仮定する。このとき
である[1]。(ここで ∼ は両辺の比が n → ∞ の極限で 1 に収束することを意味する。)
他の定式化
ラプラスの方法は
と書かれることもある。
例:スターリングの公式
ラプラスの方法はスターリングの公式
の導出に用いることができる。ガンマ関数の定義から
が得られる。変数変換 t = nx を考えると dt = ndx ゆえ
この積分はラプラスの方法が適用できる形である。いま f(x) = ln x − x とおけば、これは二階微分可能で、
よって関数 f(x) は点 x0 = 1 でのみ最大値 f(x0) = −1 をとり、f′′(x0) = −1 である。したがって
となる。
脚注
- ^ Bell, Jordan (2014), Watson’s lemma and Laplace’s method
参考文献
- Laplace, P. S. (1774), “Mémoires de Mathématique et de Physique, Tome Sixième”, Statistical Science 1 (3): 366–367, JSTOR 2245476
関連項目
- 停留位相の方法
- 大偏差理論
- ラプラス原理
この記事は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示-継承 3.0 非移植のもと提供されているオンライン数学辞典『PlanetMath』の項目saddle point approximationの本文を含む
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