Incretinとは? わかりやすく解説

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インクレチン

英訳・(英)同義/類義語:incretin

インスリン分泌促進する消化管ホルモン総称

インクレチン

(Incretin から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/28 16:48 UTC 版)

インクレチン (incretin) は、以下に述べるような消化管ホルモンの総称である[1]

食後には血糖を低下させるホルモンインスリンが膵臓から分泌されるが、糖を経口投与すると経静脈投与時よりも大きなインスリン作用が現れることが明らかになり、このことがインクレチンの概念の元となっている。その刺激は主に門脈血のブドウ糖であるとされてきたが、消化管由来因子にも分泌刺激を行う能力があるものとされてきた。

「インクレチン」と総称されているホルモンとして、GLP-1GIPがある。

GLP-1とGIPとはいずれも血糖値依存的に膵臓β細胞からのインスリン分泌を促進する[1]。しかし、2型糖尿病においてはGIPによるインスリン分泌促進作用は障害されているとの報告がある。[2]。また、GLP-1は膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制し、血糖低下に働くが、本作用がGLP-1によるα細胞への直接的な作用なのかどうかは議論が分かれている。さらに、GLP-1は胃の内容物排出速度を遅らせ、満腹感を助長することで食欲を抑制したり、食後の急峻な血糖上昇を抑制したりする作用がある。一方GIPは脂肪細胞にそのGIP受容体が存在し、脂肪細胞への糖の取り込みを促進することで肥満を助長させる。

GLP-1(7-37)とGIPはNH2末端から2位のアラニンが共通しており、DPP-IV(CD26とその可溶性分子)により、GLP-1(7-37)はヒスチジルアラニンと残りのペプチドに、GIPはチロシルアラニンと残りのペプチドに、分解され、それぞれの受容体との親和性が低下する。それらの血中半減期は2分から5分程度とされている。前述のとおり2型糖尿病の治療薬としてはGLP-1がその候補としてターゲティングされ、開発研究が進められた。ひとつの方向性は分解酵素であるDPP-IVを阻害することで血中濃度を保つもの、もう1つの方向性は血中で分解されにくいGLP-1様の化合物を創薬することであった。DPP-IV阻害薬としてはシタグリプチンsitagliptin)などが開発された[1]。DPP-IV阻害薬はGLP-1とGIP両者の血中半減期を延長させ、両ホルモンに基づく作用が発現する。CD26欠損マウスやDPP-IV欠損ラットでは耐糖能が改善しているという報告がある。GLP-1とGIPの両方の受容体を欠損させたマウス (double incretin receptor knockout, DIRKO) では、経口血糖負荷試験で耐糖能の低下がみられるが、腹腔内に注射した糖負荷試験では差がみられないという。 血中で分解されにくいGLP-1様の化合物、すなわちGLP-1受容体作動薬としては、アメリカ毒トカゲの唾液の分泌物から血糖降下作用を持つホルモンを発見し(エキセンジン‐4と呼ぶ)、これを人工合成により最初のGLP-1受容体作動薬が開発された。1日2回の皮下注射であるが、DPP-IV阻害薬に比べて高い血糖降下作用と、体重減少効果を有し、欧米では既に市販されている。また、ヒト型のアナログ製剤として、リラグルチドが後に開発された。

GLP-1

グルカゴン様ペプチド-1 (glucagon-like peptide-1, GLP-1) は、小腸下部のL細胞から分泌される[1]グルカゴンと同じ遺伝子 proglucagon の配列から作られるペプチドであり、GLP-1(7-36)amide がおもに検出され、GLP-1(7-37) のものも認められる。DPP-4によって分解されるため、血中半減期は12分と短い。

以上の作用がある。

2型糖尿病治療薬として、遺伝子操作されDPP-4に容易に分解されないGLP-1受容体作動薬の注射薬や経口薬の処方箋医薬品が提供されている。副作用としてグルカゴン同様に消化器運動が抑制されるので、嘔気嘔吐が挙げられる。肥満は世界的な問題のひとつであるが、2型糖尿病治療薬リラグルチドは、肥満の治療薬として有望視されている[3]

GLP-1アゴニストとしては他に、週1回投与型のタスポグルタイド(taspoglutide)が第3相臨床試験まで進んだが、2013年以降は新たな臨床試験は行われていない。帝人ファーマは開発を中断しその代わりになる自社創製品の開発を急いでいる[4]

GIP

グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド (glucose-dependent insulinotropic polypeptide, GIP) は脂肪が刺激になって十二指腸のK細胞から分泌される。スルホニルウレア薬とGIPを同時に投与すると、インスリン濃度が増加する一方で、Cペプチドが増加しないので、肝臓などでのインスリンクリアランスに作用してインスリン濃度を保つのではないかと指摘されている。脂肪細胞の表面に発現しているGIP受容体を欠損させたマウスでは高脂肪食時にも内臓脂肪の増加がみられなかった。GIPは脂肪代謝の酵素であるLPL活性を高めるとともにインスリン存在下での脂肪細胞によるブドウ糖の取り込みを促進する。このような同化促進作用がGIP受容体欠損マウスではみられず、肥満が抑制されていると考えられる。

2型糖尿病患者にGIPを投与してもGLP-1と異なり、インスリン分泌促進効果が僅かである。マウスの解析では耐糖能異常があると、スプライシングを受け短縮したGIP受容体が生じ、作用のない短縮GIP受容体に結合した分GIPの効果が減弱するのではないかと言われている。

薬剤名

出典

脚注

  1. ^ a b c d 内山郁子「2型糖尿病に期待の新薬:消化管ホルモン『インクレチン』の薬理作用を応用」『日経DI』第145号、2009年、pp.24-28、ISSN 1347-491X 
  2. ^ Vilsbøll et al. Diabetologia 2002:45:1111–9
  3. ^ Lancet 2009 Nov 7; 374:1606
  4. ^ 株式会社 化学工業日報社. “化学工業日報 2014年03月04日”. 2014年5月8日閲覧。

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