Greensleeves (平原綾香の曲)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 02:08 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動「Greensleeves」 | ||||
---|---|---|---|---|
平原綾香 の シングル | ||||
初出アルバム『my Classics 3』 | ||||
B面 | ソルヴェイグの歌 | |||
リリース | ||||
規格 | シングル | |||
録音 | ![]() |
|||
ジャンル | J-POP | |||
レーベル | ドリーミュージック | |||
作詞・作曲 |
|
|||
チャート最高順位 | ||||
平原綾香 シングル 年表 | ||||
|
||||
『Greensleeves』(グリーンスリーブス)は、平原綾香の24枚目のシングル。
解説
シングルとしては前作『威風堂々/JOYFUL, JOYFUL』から約4か月での発売となる。「ソルヴェイグの歌」はアルバム『my Classics 2』からのリカットである。
楽曲解説
Greensleeves
本作はイングランドで最も古く、クリスマス・キャロルとしても親しまれて400年以上にもわたって歌い継がれてきた民謡に、平原が独自の日本語歌詞を付け、大切な人を想う切なくも強く温かい愛を込めたラヴ・ソングとして仕上げたものとなっている[2]。
- 楽曲について
-
平原は本作について以下のように語っている。
- この曲は以前からずっと気になっていた曲なんです。子供の頃から好きな曲で、電話の保留音にもこの曲が使われていたりと私にとっては身近な曲となっていましたね。誰もが知る曲なんですが、とても不思議なオーラを放つ曲だなとも思っていまして、興味が湧きまして今回、この曲を選び出しました[2]。
- メロディーについて
-
以下のように語っている。
-
「Greensleeves」はイングランドで最も古くからある民謡で、クラシックが生まれる以前よりも古くからあった曲なんですよ。作曲者も誰かが分からない。けど、それが逆に納得できるような気がするんですよ。ある時点で誰かが作曲したのではなく、歴史が刻まれていく中で、自然に生まれた、人の手が加えられていないメロディーに思えたんですね[2]。
- 聴いてみて思い浮かんだのは、人がまだ足を踏み入れていない深い森。それこそ妖精が住んでいそうな森ですね。そこに吹いている風と木漏れ陽とか、人の手では到底作り得ない大自然が作り出した風景を感じましたね。そう言う感覚は自分自身に置き換えると、まだ自分でも触れた事のない未知の感情、秘めたるもの、触れたいけど触れたくないような、知りたいけど知りたくないような心の深層部分にあるそんな感覚と繋がるような感じがしますね。それを受けてこの奥の深いメロディーの上に究極の愛に満ちた言葉を綴りたいと思いましたね[2]。
-
「Greensleeves」はイングランドで最も古くからある民謡で、クラシックが生まれる以前よりも古くからあった曲なんですよ。作曲者も誰かが分からない。けど、それが逆に納得できるような気がするんですよ。ある時点で誰かが作曲したのではなく、歴史が刻まれていく中で、自然に生まれた、人の手が加えられていないメロディーに思えたんですね[2]。
- 原曲の歌詞、および作詞について
-
以下のように語っている。
- 実を言うと、今回のカヴァーで初めてこの曲に歌詞が着いていた事を知ったんです。小学校の頃にリコーダーで習った曲でしたし、ずっとメロディーとしての印象でしかなかったんですよ。今回、色々と勉強も兼ねて、原曲の歌詞も初めて読んだんですけど、許されない恋を描いた歌であると知って、驚きました。同時にその歌詞を見てすごく泣けましたね。想いを伝える告白にも、祈りにも感じたし、聴こえた歌でしたね。それを受けてカヴァーするに当たって、私がこの曲から受けたインスピレーション、大切にしたいもの、祈り、告白の歌、それをテーマにした歌詞を書いていこうと思いましたね[2]。
- 歌詞の発想と掘り下げについて
-
以下のように語っている。
- 先程も、言ったことなんですがメロディーが何物にも変えがたい究極とも言えるメロディーのように感じまして、私としてもそれに相応しいと思う愛を伝えるための究極の愛の歌詞を乗せようと思いましたね。出発点としたのは、最後の歌詞の一行にある『あなたを愛しています』と言う部分がそうなんです。最後の所に全てにおいて何を言わんとしたいのか、って所が一番重要なポイントになりましたね。それがあの一行だったんです。歌詞の最後に持っていきましたが、全体の中で一番最初に思い浮かんだ歌詞ですね[2]。
- 曲の雰囲気を掴むために行ったデモ・レコーディングの段階ではまだ歌詞がない状態で、私自身"綾香語"と呼んでいる日本語とも英語ともつかないような言葉を用いりながら自由自在に歌うんですが、その時に出てきたのがあの一文だったんです。『愛してます』って恋愛関係だけに留まらず、親子間でも家族に対しても伝えるし、自分も相手もそれだけで幸せにしてくれるし、温かくもしてくれる魔法のような言葉にも思えて、最後のフレーズとメロディーには絶対に使いたい言葉だと思ったんですよねどんな景色や物を見ても、常に大切に思う人を思う。目にする全ての物の中に愛する人がいる感覚ってきっとどんな方にも理解して貰える事だと思いますね[2]。
- 平原綾香がイメージした物語について
-
以下のように語っている。
- 私は常日頃から、聴いてくれる皆さんの心に寄り添うような歌詞を書いていきたいと思って書いてるので、特にこれといったイメージは持たないようにしていますね。その分、聴く人全てが想い想いに捉えられると思っていますね。ある人には誰かに想いを告げる愛の告白、またある人には別れてしまった恋人への想いだったり、もしかしたら、亡くなった人を想っているのかもしれない。クリスマスの時期に自分は一人だけど、楽しそうに語らい寄り添い合う恋人同士を見ても、家族を見ても、雪を見ても何を目にするにしても、どこかである人を思っている。目に見える景色の中に愛する人がいると言う感覚ってきっと誰しもが持ち得るものだと思う分、きっと理解して貰える事だと思いますね[2]。
- 作詞のタイミング
-
以下のように語っている。
- そうですね。この曲をやってみようと思い立ってからまず、勉強することから始まるんですね。その曲の成り立ちから背景などを調べた上で楽曲のイメージと、詞のイメージが固まってからアレンジの構想を練っていきまして、それら全てが終わってから総仕上げとして、歌詞を書き上げていくと言う感じでしたね[3]。
- サウンドのイメージについて
-
以下のように語っている。
- 真っ先に思い浮かんだのは、やはり大森林のイメージがありましたね。妖精が住んでいそうな雰囲気とかだったり。木々が生い茂っていて太陽光が遮られて、昼間でも薄明るい場所がある、そんなイメージがありましたね。そのイメージから、あまり音を厚くせず、ストリングスも控え目にした上で民族楽器を取り入れて昔を思い起こさせるような懐かしさ溢れるサウンドを意識しました[3]。
- 用いられた楽器について
-
以下のように語っている。
- そうですね。まず、パンパイプという管楽器からになりますね。葦の茎などを束ねた楽器で茎の長さの違いで音階を作ってます。構造的にはパイプオルガンと同じ構造をしていますね。後はアイルランドの縦笛でティン・ホイッスルと言う楽器も用いてますね[3]。
- ストリングスに関しては、普通のバイオリンと違って民族音楽で使われるフィドルと言う楽器があってそれの音色を意識したような感じで弾いて貰ってます。後はこの曲は森林のイメージの他に星のイメージもあって、それを表現するためにシンバルも用いていますね。この曲は季節、時間帯もこれと言って特定しにくい不思議な魅力があるんですよね。この辺りもこのメロディーが持つ力がそのような魅力を放っているのだと思いますね。やはり、400年以上にも渡って歌い継がれていて、時代も国境も越えて伝わってきている曲と言うのは不思議な魅力や力があるんですよね[3]。
ソルヴェイグの歌
この曲はアルバム『my Classics 2』収録曲からのリカットである。原曲は『ペール・ギュント組曲』の中の一曲であったものであり、イプセンの戯曲『ペール・ギュント』のための劇中音楽として書かれたものとなる[4][3]。
- 楽曲について
-
平原は本作について以下のように語っている。
- この曲に登場するペール・ギュントと言う男性はとても自由奔放な男性で、放浪の旅を続けながら、行く先々で様々な女性と関係を持ちながら、時には大金持ち、時には破産してと山あり谷ありの人生を送ってきたんですよね。ソルヴェイグはそんな彼をずっと待ち続けた健気な女性なんです。待ち続ける事とか、一途に想い続ける事って本当に素敵だなってこの曲を聴いて改めて思いましたね。その彼女の想いを私なりに汲み取って歌詞を書いていきましたね[4]。
- ペール・ギュントは放浪の末に最後の最後にソルヴェイグの元へ戻ってくるんですよ。その後、彼女に『君にはとても悪いことをしてしまった。君の口からその罪を言って欲しい。それが僕にとっての生きた証となるから』と。けど、彼女は『いいえ、あなたはなにも悪くはない。あなたと出会い、私が生きた一生が1つの歌になったんです。だから、あなたにはとても感謝していますよ。』って答えたんです。私はその台詞と、そう言い切ってしまえるその強さに感動しましたね[3]。
- この曲は映画『半次郎』の主題歌として起用されましたが、この曲と時代劇の組み合わせになりましたね。とても嬉しく思います。"半次郎"は幕末を生き抜いた武士達の力強い生き様を描いた映画となるんですが、その時代を共に生き抜いた女性たちからの目線も描かれているんですよね。愛する人を見守り、支え、ずっと信じて待っている。そこがソルヴェイグがペール・ギュントを愛し続け、ずっと待っていたと言うその気持ちと強さにリンクするなと感じたんですよね。待つと言うのはとても大変で並大抵の事じゃないと思うんですよね。自分では何も出来ない、ただ信じて待つしかできない。とても難しく大変な事だと思うんです。自分と言うものをしっかりと持っていて強く生き抜いていく女性の美しさと強さがこの曲と通じるものがありますね[3]。
- メロディーについて
-
以下のように語っている。
- メロディーとしても女性の強さと弱さの相反する二面性が感じられるような展開となってるのが、特徴ですね。待ち続ける強い想いもあるけど、それと同時に、そうしている時に醸し出される切ない想いも感じて、その辺りも歌詞に想いを乗せていますね[4]。
- この曲はメロディー自身が独特で、まず、そのメロディー・センスに圧倒されたなと思いましたね。途中、展開する所がとてもメジャーな感じがしていてそこでノルウェーの遊牧民が歌っていたメロディーも入っていたりと、何度歌い込んでも新鮮に聞こえる曲で、とにかく何度も何度も歌って行って一体どんな感じの曲にカヴァーしていこうかなと思ってやっていたら、少しずつ、大陸的な爽やかなイメージが湧いてきたんですよね[3]。
- サウンド作りについて
-
以下のように語っている。
- 最初にイメージしたのは、マイケル・ジャクソンの「You Rock My World」を意識しましたね。次にスティングの「Shape of My Heart」のイメージも出てきましたね。その2曲のイメージからの出発点となりましたが、基本的に静かな感じだけど情熱的などんどん盛り上がっていくような曲にしようと思ったんですよね。そこはやはり、主人公の想いに通ずる所がありましたね。長らくずっと押さえ込んで来たもの、会いたくても会えない気持ちや、帰ってきて欲しくてそばにいて欲しいのに、その人がそばにおらず、ただ待つことしか出来ない、愛する人を待つと言う信念を貫くためにはどれだけ情熱が必要になるのか、その辺りのアレンジメントはまさにソルヴェイグの気持ちそのものになるんじゃないかなと思いますね[3]。
- イントロとアウトロにあるハミングについて
-
以下のように語っている。
- 最初と最後にハミングが入ってる所があるんですが、実を言うとグリークの原曲自体が元々それを入れてたんですよ。最初にハミングから始まってメロディーに繋がって、それを経た後に最後にちょっと展開をしたメロディーのハミングで締め括られていく。これは是非ともカヴァーでもやりたいなと思い、取り入れました。ハミングに挟まれたタイプの楽曲は意外性を感じられる方もいらしてるだろうなと思いますが、クラシックを親しんでいる方が聴くと「おお、これは...」と少しニヤリとしていただけるんじゃないかなと思いますね[3]。
収録曲
- Greensleeves
- 作詞:平原綾香 / 作曲:作者不詳 / 編曲:坂本昌之
- 原曲:イングランド民謡『Greensleeves』
- ソルヴェイグの歌
- 作詞:平原綾香 / 作曲:エドヴァルド・グリーグ / 編曲:坂本昌之
- 原曲:『ペール・ギュント』第1組曲 第4曲「ソルヴェイグの歌」
- 映画『半次郎』主題歌
- Greensleeves(Vocal-less Track)
- ソルヴェイグの歌(Vocal-less Track)
楽曲の収録アルバム
- Greensleeves
- ソルヴェイグの歌
脚注
外部リンク
- Greensleeves (平原綾香の曲)のページへのリンク