Encrypted_Media_Extensionsとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Encrypted_Media_Extensionsの意味・解説 

Encrypted Media Extensions

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/14 14:16 UTC 版)

Encrypted Media Extensions (EME)は、ウェブブラウザデジタル著作権管理 (DRM) ソフトウェアの間のコミュニケーションチャンネルを提供するW3C仕様である[1]。EMEはHTML5のMedia Source Extensionsに基づいた仕様で[2]、これによってHTML5でMPEG-CENCによって保護されたMPEG-DASHのようなアダプティブ・ビットレート・ストリーミングが可能になる[3]。EMEはYouTubeNetflixといったサービスで利用されている[4]

EMEで使用される復号用モジュールはプロプライエタリであるためにオープンソースのブラウザに組み込んだ状態での配布が困難であり、大きな議論を巻き起こしたが[5]、W3CはEMEをウェブ標準とした[1]

歴史

2013年4月、Chromebookを利用して、Netflixが初めてEMEによってHTML5ビデオを提供した企業となった[6]。W3Cは2017年7月6日にEMEをウェブ標準とする意思を表明し[7]、9月18日にそれを実施した[1]。2017年現在、EMEはすべての主要なブラウザが実装している[8]

反響

EMEは、自由かつオープンなソフトウェアにプロプライエタリで非公開のコンポーネントを投入する必要があるために、激しい議論の的となった[5]Mozillaは他のブラウザがEMEをサポートしていく流れには逆らえず、2014年5月14日にFirefoxがEMEを実装することを表明した。MozillaはDRMがユーザーに過度の負担を強いることと、EMEがプロプライエタリで仕様が非公開であることを批判していた。Firefoxはオープンソースであるために直接EMEを実装することができず、Googleから提供されたWidevine Content Decryption Moduleをオープンソースのサンドボックス内にダウンロードするという形で実装した。Mozillaは、「当面の間はW3C EMEベースのDRMが定着するかもしれないが、いずれはウォーターマーキングのようなもっと優れたシステムが普及すると信じる」としている[9]

W3CがEMEをウェブ標準としたことに不満を持った電子フロンティア財団 (EFF) は、W3Cを脱退した。EFFは、W3CがEMEへの反対意見を無視したことを問題視していた。W3Cのティム・バーナーズ=リーは、コンテンツの制作者が制作にかかった費用を回収するためにEMEを利用することに理解を示した。また、W3CのCEOであるJeff Jaffeは、DRMが認められなければ、コンテンツ所有者がインターネットでコンテンツを公開しなくなる可能性について言及していた。一方でEFFのコリイ・ドクトロウは、DRMがうまくいくと考えている技術者はいないとW3Cを批判した[8]

脚注

  1. ^ a b c Encrypted Media Extensions W3C Recommendation”. W3C (18 September 2017). 18 September 2017閲覧。
  2. ^ HTML5 MSE
  3. ^ David Dorwin. “ISO Common Encryption EME Stream Format and Initialization Data”. W3C. 2015年2月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月23日閲覧。
  4. ^ Lederer, Stefan (February 2, 2015). “Why YouTube & Netflix use MPEG-DASH in HTML5”. Bitmovin. 2017年9月23日閲覧。
  5. ^ a b Lucian Constantin (24 February 2012). “Proposed Encrypted Media Support in HTML5 Sparks DRM Debate on W3C Mailing List”. IT World. IDG News Service. 12 October 2015閲覧。
  6. ^ Anthony Park and Mark Watson (April 15, 2013). “HTML5 Video at Netflix”. Netflix. 2017年10月6日閲覧。
  7. ^ W3C Announcement”. 12 July 2017閲覧。
  8. ^ a b Duckett, Chris (2017年9月20日). “EFFがW3Cを脱退、EMEの標準化過程に不満”. ZDNet. 2017年9月23日閲覧。
  9. ^ 鈴木聖子 (2014年5月16日). “Mozilla、FirefoxにDRMのためのW3C仕様「EME」実装を表明”. ITmedia. 2017年9月23日閲覧。

「Encrypted Media Extensions」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Encrypted_Media_Extensions」の関連用語

Encrypted_Media_Extensionsのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Encrypted_Media_Extensionsのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのEncrypted Media Extensions (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS