甘粕事件
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甘粕事件（あまかすじけん）は、1923年（大正12年）9月16日にアナキスト（無政府主義思想家）の大杉栄と、作家で内縁の妻・伊藤野枝、大杉の甥である橘宗一（6歳）の3名が憲兵隊特高課に連行され、憲兵隊司令部で憲兵大尉の甘粕正彦らによって殺害されたのち、遺体が井戸に遺棄された事件である。軍法会議の結果、甘粕と部下である曹長・森慶次郎ら5名[注 1]の犯行と断定されたが、憲兵隊の組織的関与は否定された。
注釈
- ^ 伍長・平井利一の関与は証拠不十分とされ、判決で不法行為を行ったとされたのは4名。
- ^ a b 現在の横浜市鶴見区。
- ^ 父親の橘宗三郎は渡米中で不在だった。宗一はアメリカとの二重国籍を持っており、失踪後にあやめはアメリカ大使館に駆け込んで真相究明を訴えたため、隠蔽が難しくなった。
- ^ 安成は、村木源次郎（アナキスト）と共に、大杉一家の死体検分と火葬にも立ち会った。
- ^ 後藤はこの年の6月にアドリフ・ヨッフェを招請して日ソ国交回復の端緒をつくったことで、陸軍の一部から「赤」呼ばわりされていたので陸軍との関わりを避けた。
- ^ 東京朝日新聞は震災と検閲で印刷できず。このため大阪朝日新聞が発行した。
- ^ 軍法会議は同師団の管轄となった。
- ^ 第1回公判は10月4日に始まったが供述の撤回により一時中断し、10月8日にやり直された。11月16日から第2回公判が始まり、11月22日に結審した。
- ^ 甘粕の供述はその後に行われた検死調書の結果とは合わないものであった。検死では両名には長時間暴行された形跡があったが、甘粕の供述では尋問らしい尋問は行われておらず、わずか10～15分で死に至っている。
- ^ この話は上砂勝七の回顧録とも内容が一致する。
- ^ 当時、軍隊に対する支持は高く、反対に社会主義者やアナキスト、共産主義者に対する評価は低かった。
- ^ 特に証拠は無いようだが古田や村木、和田ら無政府主義者は、指揮命令系統のトップだった福田が大杉を殺す命令を出したに違いないと判断して暗殺を計画した。
- ^ 森と刑務所で面会した憲兵大佐・斉藤美夫が「大杉を殺したのは麻生三連隊だ」という森の証言を聞いたというもの。
- ^ 大山郁夫と安成二郎（質問者本人）であろうと想像するが正力は明言せず。
- ^ 1924年10月14日読売新聞前編輯局長招待会での談話の記録｡（当時は第5部長/婦人部であった）安成二郎が後に『自由思想』2号で「大杉栄虐殺に関するメモ」として寄稿したもの。
- ^ 吉薗はユダヤ陰謀論者のようでユダヤつながりの話が度々登場する。
- ^ 藤根大庭のこと。建築家・請負師。周恩来の日本での下宿先の大家。
- ^ ただし特にゆすりについては吉薗も確信があったわけではなく、想像の範囲を出ていない。別の記述で、甘粕の処遇を上原にたずねて、甘粕を庇い無政府主義者の終焉を喜ぶ上原の言葉で、吉薗は事件が上原の命令であったに違いないと思うに至るわけであるが、上原の発言は当時の一般的な保守論調に沿ったものであって、特に命令を示唆した内容ではないので、あくまでも私見に過ぎず異説である。
出典
- ^ 我妻栄 1969, p. 437.
- ^ 松村, 明 編『大辞林』（3版）三省堂、2006年。ISBN 978-4385139050。
- ^ 帝都罹災児童救援会 1924, p.301
- ^ 帝都罹災児童救援会 1924, pp.300-301
- ^ 帝都罹災児童救援会 1924, p.306
- ^ a b 帝都罹災児童救援会 1924, pp.306-307
- ^ 上柳延太郎『危険思想に面して』松華堂、1924年。[要ページ番号]
- ^ a b c 安成二郎『無政府地獄―大杉栄襍記』新泉社、1973年。ISBN 978-4787773067。[要ページ番号]
- ^ 佐野 2008, p.126
- ^ 山川均; 賀川豊彦; 和田久太郎; 村木源次郎; 安成二郎; 山崎今朝弥; 岩佐作太郎; 内田魯庵 ほか『新編 大杉栄追想』土曜社、2013年。ISBN 978-4990558796。[要ページ番号]
- ^ 佐野 2008, pp.64-69
- ^ a b 帝都罹災児童救援会 1924, pp.298-299
- ^ 小野秀雄『号外百年史』読売新聞社、1969年。
- ^ 帝都罹災児童救援会 1924, pp.299-301
- ^ 帝都罹災児童救援会 1924, p.302
- ^ 塚崎 1937, pp.110-113
- ^ a b 角田 2005
- ^ 塚崎 1937, p.113
- ^ 塚崎 1937, p.114
- ^ 高田 1932, p.293
- ^ 佐野 2008, pp.76-77, 105
- ^ 塚崎 1937, pp.114-119
- ^ 『ある軍法務官の日記』(株)みすず書房、2000年8月10日、222頁。
- ^ 『地震・憲兵・火事・巡査』岩波文庫。
- ^ 塚崎 1937, p.115
- ^ 友納友次郎『国立国会図書館デジタルコレクション 教育革命焦土の中から』明治図書、1925年、207-214頁。
- ^ 佐野 2008, p.69
- ^ 近親にも知らせず、既に仮出獄『時事新報』大正15年10月17日夕刊（『大正ニュース事典第7巻 大正14年-大正15年』本編p10 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年）
- ^ 武藤富男 著「満州建国の黒幕・甘粕正彦」、平塚柾緒 編『目撃者が語る昭和史 第3巻 満州事変』新人物往来社、1989年、183-184頁。
- ^ 佐野 2008, pp.460-462
- ^ ｢ニューリーダー｣2001．06月号[要文献特定詳細情報]
- ^ 上砂勝七『憲兵三十一年』東京ライフ社、1955年。ASIN B000JB544W [要ページ番号]
- ^ 佐野 2008, pp.70-71
- ^ 佐野 2008, pp.135-141
全文は1984年版（復刻判）の「大杉栄追想」に収録。2013年版の新編には付いていないので注意。
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