2005年 の大西洋 におけるハリケーン (大西洋 で発生した熱帯低気圧 )のデータ。
2005年の大西洋地域におけるハリケーンの活動は、発生数の面でも勢力の面でも、史上最高といえるほど活発であった[1] 。また、2005年は大西洋ハリケーンに関する多数の記録が生まれた年でもあった。
発生数は史上最多の27個で、それまでの最多記録であった21個(1933年 )を大幅に更新した[1] 。北大西洋のハリケーンの名前リストは「年次リスト」と呼ばれ、頭文字のアルファベット 順に21種類(Q・U・X・Y・Zの5文字は使わない)の人名のリストをあらかじめ6セット用意し、1年ごとに1セットずつAから順に使用され、6年間かけて6セットのリストを一巡すると再び1セット目に戻るループである[1] [2] 。リストの後半にあるVやWなどから始まる名前は、ハリケーンが多数発生した場合にのみ使用されるため、実際には使用された例がほとんどない[1] 。21個を上回る数のハリケーンが発生しリスト上の名前を使い果たした場合は、「α (アルファ)」「β (ベータ)」「γ (ガンマ)」などのギリシア文字 を順に続けていくことになっているが[2] 、この年は初めてハリケーン発生数が21個を越えたことで、史上初めてとなるギリシア文字のハリケーン「アルファ 」が登場し、これだけでも前例のない事例となったが、そればかりかその後も次々と熱帯低気圧が発生し、最終的には「ζ (ゼータ )」まで使用されるという異例の記録が生まれた[1] 。
「カトリーナ 」「ウィルマ 」「リタ 」など、記録的な勢力になったハリケーンも多く、特にカトリーナはアメリカ合衆国 に甚大な被害をもたらして世界に衝撃を与えたほか、ウィルマは最低気圧882 hPa(ヘクトパスカル )を記録し大西洋におけるハリケーンとしては過去最強の勢力となった[3] 。最大風速64ノット (32.6メートル/秒)以上のハリケーンの発生数は15個に達し、従来の最多記録であった1969年 の12個を上回り、過去最多となった[3] 。
また、12月になってから発生したハリケーンもあり、このような時期におけるハリケーンの発生は異例であった[3] 。
2005年の大西洋ハリケーンの基礎データ 最後の熱帯低気圧消滅:2006年1月6日 最も強かったハリケーン:ウィルマ (882 hPa・185 mph(マイル毎時 )) ハリケーンの総数:27個(過去最多) 総死亡者数:3,912人 総被害額:1717億5500万ドル(2005 USD ) 2005年の大西洋ハリケーン一覧 トロピカル・ストーム・アーリーン トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 6月8日 – 6月13日 ピーク時の強さ 70 mph (110 km/h) (1分間平均 ) 989 mbar (hPa )
トロピカル・ストーム・ブレット トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 6月28日 – 6月30日 ピーク時の強さ 40 mph (65 km/h) (1分間平均 ) 1002 mbar (hPa )
ハリケーン・シンディ カテゴリー1 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 7月3日 – 7月7日 ピーク時の強さ 75 mph (120 km/h) (1分間平均 ) 991 mbar (hPa )
ハリケーン・デニス カテゴリー4 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 7月4日 – 7月13日 ピーク時の強さ 150 mph (240 km/h) (1分間平均 ) 930 mbar (hPa )
ハリケーン・エミリー カテゴリー5 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 7月11日 – 7月21日 ピーク時の強さ 160 mph (260 km/h) (1分間平均 ) 929 mbar (hPa )
トロピカル・ストーム・フランクリン トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 7月21日 – 7月29日 ピーク時の強さ 70 mph (110 km/h) (1分間平均 ) 997 mbar (hPa )
トロピカル・ストーム・ゲルト トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 7月23日 – 7月25日 ピーク時の強さ 45 mph (75 km/h) (1分間平均 ) 1005 mbar (hPa )
トロピカル・ストーム・ハービー トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 8月2日 – 8月8日 ピーク時の強さ 65 mph (100 km/h) (1分間平均 ) 994 mbar (hPa )
ハリケーン・アイリーン カテゴリー2 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 8月4日 – 8月18日 ピーク時の強さ 105 mph (165 km/h) (1分間平均 ) 970 mbar (hPa )
トロピカル・ストーム・ホセ トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 8月22日 – 8月23日 ピーク時の強さ 60 mph (95 km/h) (1分間平均 ) 998 mbar (hPa )
ハリケーン・カトリーナ カテゴリー5 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 8月23日 – 8月30日 ピーク時の強さ 175 mph (280 km/h) (1分間平均 ) 902 mbar (hPa )
トロピカル・ストーム・リー トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 8月28日 – 9月2日 ピーク時の強さ 40 mph (65 km/h) (1分間平均 ) 1006 mbar (hPa )
ハリケーン・マリア カテゴリー3 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 9月1日 – 9月10日 ピーク時の強さ 115 mph (185 km/h) (1分間平均 ) 962 mbar (hPa )
ハリケーン・ネイト カテゴリー1 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 9月5日 – 9月10日 ピーク時の強さ 90 mph (150 km/h) (1分間平均 ) 979 mbar (hPa )
ハリケーン・オフィーリア カテゴリー1 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 9月6日 – 9月17日 ピーク時の強さ 85 mph (140 km/h) (1分間平均 ) 976 mbar (hPa )
ハリケーン・フィリップ カテゴリー1 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 9月17日 – 9月23日 ピーク時の強さ 80 mph (130 km/h) (1分間平均 ) 985 mbar (hPa )
ハリケーン・リタ カテゴリー5 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 9月18日 – 9月26日 ピーク時の強さ 180 mph (285 km/h) (1分間平均 ) 895 mbar (hPa )
ハリケーン・スタン カテゴリー1 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 10月1日 – 10月5日 ピーク時の強さ 80 mph (130 km/h) (1分間平均 ) 977 mbar (hPa )
トロピカル・ストーム・タミー トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 10月5日 – 10月6日 ピーク時の強さ 50 mph (85 km/h) (1分間平均 ) 1001 mbar (hPa )
ハリケーン・ヴィンス カテゴリー1 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 10月8日 – 10月11日 ピーク時の強さ 75 mph (120 km/h) (1分間平均 ) 988 mbar (hPa )
ハリケーン・ウィルマ カテゴリー5 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 10月15日 – 10月25日 ピーク時の強さ 185 mph (295 km/h) (1分間平均 ) 882 mbar (hPa )
トロピカル・ストーム・アルファ トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 10月22日 – 10月24日 ピーク時の強さ 50 mph (85 km/h) (1分間平均 ) 998 mbar (hPa )
ハリケーン・ベータ カテゴリー3 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 10月26日 – 10月31日 ピーク時の強さ 115 mph (185 km/h) (1分間平均 ) 962 mbar (hPa )
トロピカル・ストーム・ガンマ トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 11月14日 – 11月21日 ピーク時の強さ 50 mph (85 km/h) (1分間平均 ) 1002 mbar (hPa )
トロピカル・ストーム・デルタ トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 11月22日 – 11月28日 ピーク時の強さ 70 mph (110 km/h) (1分間平均 ) 980 mbar (hPa )
ハリケーン・イプシロン カテゴリー1 ハリケーン (SSHWS ) 発生期間 11月29日 – 11月8日 ピーク時の強さ 85 mph (140 km/h) (1分間平均 ) 981 mbar (hPa )
トロピカル・ストーム・ゼータ トロピカル・ストーム (SSHWS ) 発生期間 12月30日 – 2006年1月6日 ピーク時の強さ 65 mph (100 km/h) (1分間平均 ) 994 mbar (hPa )
備考 2005年の前後の年における大西洋ハリケーンの活動に関しては、前年の2004年 もハリケーンの連続襲来が話題となっていた[4] 。チャーリー、フランシス、アイバン 、ジーン などのハリケーンが、アメリカ及びカリブ海 の国々を相次いで襲い、ハイチ ではジーンにより2000人以上が死亡するなど大規模な災害となった[4] 。一方翌年の2006年 は、2004年と2005年の活発さから転じて比較的落ち着いており、発生数も9個にとどまって2005年の発生数の3分の1であった[5] 。
関連項目 外部リンク 脚注 ^ a b c d e “デジタル台風:2005年台風のまとめ ”. agora.ex.nii.ac.jp . 2020年8月5日 閲覧。 ^ a b “デジタル台風:台風の名前(アジア名) ”. agora.ex.nii.ac.jp . 2020年8月5日 閲覧。 ^ a b c “地球が見える 2005年(TRMMで観測した2005年のハリケーン) ”. JAXA . 2020年8月6日 閲覧。 ^ a b “デジタル台風:2004年台風のまとめ ”. agora.ex.nii.ac.jp . 2020年8月5日 閲覧。 ^ “デジタル台風:2006年台風のまとめ ”. agora.ex.nii.ac.jp . 2020年8月5日 閲覧。