高エネルギーレーザー科学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 04:56 UTC 版)
高エネルギーレーザー科学(こうエネルギーレーザーかがく)は、科学の分野の一つ。
超高強度レーザーを物質に照射すると、レーザーのきわめて強い電界によって電離させることができる。高エネルギーレーザーと物質との相互作用は、非線形的かつ相対論的(特殊相対性理論)になる。この現象の物理の解明や、応用分野を高エネルギーレーザー科学、あるいは高強度場科学や高エネルギー密度科学などと呼ぶ。
超高強度レーザーの出現
ルビーレーザー発振の成功以来、レーザーの出力はQスイッチやモード同期などの技術によって飛躍的に増大してきた。またMOPA (Master Oscillator and Power Amprifier) システムによって、高エネルギー化が図られてきた。
MOPAシステムでは、発振器と増幅器を多段に配置することで高出力を得ることができる。しかし、ナノ秒以下の発振器でのピーク出力はMW(Mega Watt、メガワット、106 W)からGW(Giga Watt、ギガワット、109 W)より高くなるため、光学素子の損傷閾値を超えてしまう。
1985年、Strickland博士とMourou博士のCPA(Chirped Pulse Amplification、チャープパルス増幅)の発明により、レンズなどの光学素子を損傷することなくこれまで以上の出力を得ることができるようになった。近年CPAによって得られる超高強度・超短パルスレーザーは、高速点火レーザー核融合実験(加熱・点火レーザー)に用いられるような大型装置のみならず、テーブルサイズの小型レーザー装置においても高いピーク出力を得られるようになっている。このようなレーザーの集光強度は1020 W/cm2を超える。
超高強度レーザーの応用
集光強度が1018 W/cm2を超える頃から、電子の速度は光速にほぼ等しくなる。これにより相対論的な現象がおきる。すなわち、電子の質量がローレンツ因子分だけ増倍され重くなる。
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