飛騰とは? わかりやすく解説

ひ‐とう【飛騰】

読み方:ひとう

[名](スル)高くあがること。

熱泉噴出し、硫気(りゅうき)—して煙霧をなす」〈鉄腸雪中梅


飛騰

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/20 16:08 UTC 版)

飛騰
CPU周波数 0.8 GHz から 1.0 GHz
アーキテクチャ SPARCv9
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飛騰 (ひとう、中:飞腾、fēiténg、英:FeiTeng)は、中国の国防科技大学(NUDT)が開発しているDSPおよびCPUの名称[1]

概要

飛騰プロセッサは、中国国防科技大学(NUDT)の邢座程(Xing Zuocheng)教授が開発しているプロセッサである[2]。中国電子信息産業集団(中:中国电子信息产业集团、英:China Electronics Corporation)の傘下である飛騰信息技術(中:天津飞腾信息技术有限公司、英:Phytium Technology)が商用版の販売を行っており、中国のスーパーコンピューターや商用サーバーなどに搭載されている。

銀河飛騰(中:银河飞騰、英:YinHeFeiTeng、YHFT、Galaxy FT)ともいう。「銀河」とは国防科技大学が開発を行っているサーバーやスパコンなどに使われる名称で、1983年にリリースされた中国初のスパコン「銀河」(中:银河、英:Galaxy)から継承している。

2004年に公開された飛騰の第1世代はIntel Itanium 2のバイナリ互換であった。飛騰の第2世代の飛騰64は、CPUと64-bitストリーム・プロセッサとのSoCであり、飛騰64チップはスパコンの銀河シリーズのハードウェア・アクセラレータとして使われた[3]

現行の飛騰プロセッサは、飛騰ファミリーの第三世代CPUで、飛騰-1000(中:飞腾-1000、英:FT-1000、FeiTeng-1000)から始まる一連のシリーズである。「銀河飛騰」プロセッサは、「银河玉衡」コアルータとともに銀河シリーズの中核をなす。

飛騰-1000

飛騰-1000は65nmテクノロジで製造され、3億5千万ゲートで構成される。周波数は0.8–1GHz。SPARCv9と命令セットレベルで互換である[4]

各チップは8コア、64スレッドを実行可能。コヒーレントリンクのために3チャネルのハイパートランスポートを持ち、DDR3メモリコントローラーを4つ、PCIe 2.0を8つ持つ。 [5]

天河一号は2,048基の飛騰-1000プロセッサを搭載している[6]。天河一号Aは理論性能4.701ペタフロップスで、7,168基のNvidia Tesla M2050 GPUと14,336基のIntel Xeon X5670 CPUに飛騰-1000が接続されている[5][7]。飛騰-1000は8コアのSPARCシステムで、天河1号のサービスノードを制御するために使われている[1][5]

European High Performance Computing serviceへの2012年の報告によると、飛騰-1000はOpenSPARCプロジェクトの成果を利用しているという。[8]

銀河飛騰-1500

OpenSPARCアーキテクチャ、16コア、65W TDP。40nmテクノロジで製造され、周波数は1.8GHz[9]。ピーク性能は115–144 GFLOPS、各コアは8本のインターリーブなスレッドを実行することが出来、融合積和演算(Fused Mul-Add 、FMA)を含む256-bitワイドSIMDベクタ命令をサポートする。このSoCのキャッシュは周波数2GHzで動作し、各コア当たり16 KB L1i、16 KB L1d、512 KB L2、のキャッシュを持ち、全コアで4 MB L3キャッシュをシェアする。L3キャッシュは4セグメントを持ち(4CPUコアを1つのブロックとして、各ブロックごとに1セグメント)、1MBごとに32ウェイのアソシアティブを持つ。キャッシュはディレクトリ型キャッシュコヒーレンスプロトコルを持つ。銀河飛騰-1500はまた、以下の要素も持つ[10]

  • Links to connect several processors into NUMA machine
  • 4 integrated DDR3 memory controllers
  • 2 PCI-express controllers
  • 10 Gbit Ethernet ports

天河二号は銀河飛騰-1500を4096基搭載している。

銀河飛騰-1500A

銀河飛騰-1500Aは飛騰信息技術によって設計されたARM64 SoCである。16コアのARMv8プロセッサで、32レーンのPCIeホスト、2 GMAC オンチップイーサネットコントローラとGICv3 割り込みコントローラ(ITSサポート有り)を持つ[11]

サーバ市場向けに特化しており、銀河飛騰-1500との関連性はあまりない。

銀河飛騰-2000

飛騰2000(FT-2000)は天河三号のプロトタイプ機に搭載されて2017年に公開された。ARMファミリーであり、単コア性能ではIntel社の製品に劣るが、メニーコア性能で見た場合はIntelのサーバー向け製品であるCPU E5と同等であるという。

天河2号は、国防科大によってIntel Xeon Phiアクセラレータが飛騰2000アクセラレータに置き換えられ、天河2号Aにバージョンアップされた。天河三号の性能は神威太湖之光の8倍になるという。

銀河飛騰-2000 PlusはTSMCの16nmプロセスで製造され、2.0GHz-2.4GHzで動作し、DDR4コントローラを内蔵している。

銀河飛騰-2000 Plusを2GHz周波数で動作させた実測テストによると、GCC4.8コンパイラを使用したSPEC2006ベンチマークのスコアは

  • SPECint_rate2006 : 570ポイント
  • SPECfp_rate2006 : 482ポイント

とのことで、これはIntel Xeon E5-2695 v3 の性能に相当する。ただし、単コア性能ではSPECint_base2006のスコアは14ポイントであり、Xeonの25ポイントに劣っている。

銀河飛騰-2000 Plusプロセッサはいくつかの商用サーバーに採用されている。

関連項目

参照

  1. ^ a b Patrick Thibodeau (2010年11月4日). “U.S. says China building 'entirely indigenous' supercomputer”. Computerworld. 2016年6月17日閲覧。
  2. ^ HKUST - Department of Electronic & Computer Engineering”. Ee.ust.hk (2011年10月20日). 2016年6月17日閲覧。
  3. ^ HKUST - Department of Electronic & Computer Engineering”. ust.hk. 2016年6月17日閲覧。
  4. ^ China introduces homegrown Feiteng CPU server - People's Daily Online”. English.people.com.cn (2011年3月25日). 2016年6月17日閲覧。
  5. ^ a b c The TianHe-1A Supercomputer: Its Hardware and Software by Xue-Jun Yang, Xiang-Ke Liao, et al in the Journal of Computer Science and Technology, Volume 26, Number 3, May 2011, pp. 344-351 Archived copy”. 2011年6月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年2月8日閲覧。
  6. ^ Top100爆冷门 天河一号力压星云再夺魁-IT168 服务器专区”. Server.it168.com (2010年10月28日). 2016年6月17日閲覧。
  7. ^ “China builds world's fastest supercomputer”. ZDNet UK. (2010年10月29日). http://www.zdnet.co.uk/news/emerging-tech/2010/10/29/china-builds-worlds-fastest-supercomputer-40090697/ 
  8. ^ INFRA-2010-2.3.1 – First Implementation Phase of the European High Performance Computing (HPC) service PRACE” (PDF). Prace-project.eu. 2016年6月17日閲覧。
  9. ^ Dongarra, Jack (3 June 2013). "Visit to the National University for Defense Technology Changsha, China" (PDF). Netlib. (英語) page 9
  10. ^ MilkyWay-2 supercomputer: system and application. Xiangke LIAO, Liquan XIAO, Canqun YANG, Yutong LU. Front. Comput. Sci., 2014, 8(3): 345–356 DOI:10.1007/s11704-014-3501-3 (September 6, 2013)
  11. ^ '[PATCH 0/3 Add support for Phytium FT-1500A SoC' - MARC]”. marc.info. 2016年6月17日閲覧。


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