酒を飲む女 (デ・ホーホの絵画)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/02 07:58 UTC 版)
フランス語: La Buveuse 英語: Woman Drinking with Soldiers |
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作者 | ピーテル・デ・ホーホ |
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製作年 | 1652-1661年 |
素材 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 69 cm × 60 cm (27 in × 24 in) |
所蔵 | ルーヴル美術館、パリ |
『酒を飲む女』(さけをのむおんな、仏: La Buveuse)、または『兵士と酒を飲む女』(へいしとさけをのむおんな、英: Woman Drinking with Soldiers)は、17世紀オランダ黄金時代の画家ピーテル・デ・ホーホがキャンバス上に油彩で制作した絵画である。デ・ホーホの画業初期[1]の1652-1661年に描かれた[2]。作品は1974年にジャックリーヌ・ド・ロットシルド (Jacqueline de Rothschild) から寄贈されて以来[2]、パリのルーヴル美術館に所蔵されている[1][2][3]。
作品

この絵画は、窓から差し込む陽光に満たされた部屋の一角の情景を表している。こうした情景はただちにフェルメールを想起させるが、この設定を確立したのはフェルメールより3歳年長の同僚画家デ・ホーホであった[1]。白壁に掛けられた都市図版画 (アムステルダム) も、絵画に地図をしばしば描き込んだフェルメールと共通の関心を示している[1]。
隣室や街路を垣間見させるドアの開口部というモティーフはこの初期作品で登場して以来、デ・ホーホを特徴づけるものとなる[1]。彼の作品では空間がきわめて明確に規定されており、確固たる存在感を備えている。その一方で、人間の存在感はいくぶん希薄で、その衣服の質感描写にもあまり注意が払われていない[1]。
表現されている内容という面で、本作は節酒の奨励という文脈において解釈すべき作品である[3]。中央の娼婦は少し酔っていて、背後の男性からもう1杯注いでもらっている。彼は女衒と商談をまとめようとしているように見える。右側の壁には「キリストと姦淫の女」を主題とする絵画が掛けられており、教訓的戒めが提示されている。人間は自分を節制する術を心得、控えめに、けっして羽目を外しすぎず、楽しむ術を学ばなければならないのである[3]。
脚注
参考文献
- 坂本満 責任編集『NHKルーブル美術館V バロックの光と影』、日本放送出版協会、1986年刊行 ISBN 4-14-008425-1
- 『ルーブル美術館展 日常を描く 風俗画にみるヨーロッパ絵画の神髄 LOUVRE Musée du Louvre de genre. Scènses de la vie quotidienne』協力:国立新美術館、ルーヴル美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、日本テレビ放送網、2015年。
外部リンク
- 酒を飲む女_(デ・ホーホの絵画)のページへのリンク