伊勢電気鉄道デハニ231形電車
(近鉄モ5820形電車 から転送)
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伊勢電気鉄道デハニ231形電車(いせでんきてつどうデハニ231がたでんしゃ)とは、近畿日本鉄道(近鉄)名古屋線の前身の一つである伊勢電気鉄道(伊勢電)が、1930年に導入した電車である。
- ^ この路線は後に参急伊勢線・関西急行鉄道伊勢線を経て近鉄伊勢線となったが、名古屋線・山田線と路線重複するため、1942年と1961年の2段階に分けて廃止されている。
- ^ 端子電圧750V時1時間定格出力104kW、定格回転数1,125rpm。
- ^ 端子電圧750V時1時間定格出力149kW、定格回転数805(527-A)・710(529-A)rpm。
- ^ その初号機はTDK-528-Aとして伊勢電鉄に納入され、同年製造のデハニ221形に搭載された。TDK-528-Aは端子電圧750V時1時間定格出力75kW、定格回転数810rpmと控えめな性能であったが、引き続いてデハニ231形に搭載された改良型であるTDK-528-Cでは約40%もの出力向上を実現している。この間の技術の進歩が急ピッチであったことと、デハニ231形がクハ471形とのMc-Tc編成による高速運転を前提に企画・設計されたことが伺われる。TDK-528系はその後、絶縁材の種別向上・整流子構造の変更などの地道な改良によって、近畿日本鉄道における最終形式であるTDK-528-17IM(名古屋線モ6301形用TDK-550/2-Bの改修編入モデル)では端子電圧750V時1時間定格出力112kW(約150馬力)にまで向上している。電車用吊り掛け式モーターとしては扱いやすいその出力特性と、17 - 18m級の中型電車に適したクラスのサイズ・出力を評価され、多くの私鉄で採用された。戦前から伊勢電鉄の他、名古屋鉄道等で重用されたが、戦後には運輸省規格形電車の標準電動機の一つとして指定されるなどの要因も手伝ってさらに採用例が増加し、関東私鉄でも東京急行電鉄、東武鉄道などに導入され、特に東武鉄道では特急車である5700系のA・B編成にまで採用されるほどの高評価を得た。製造はカルダン駆動主流の時代となった1965年まで実に37年の長きに渡り継続され、私鉄電車用の吊り掛けモーターとしては異例のロングセラーともなった。伊勢電鉄でのいち早い採用はその揺籃となった。
- ^ 『日本車輛製品案内 昭和5年(NSK型トラック)』 p.3
- ^ 日車の車輌史 図面集-戦前私鉄編 下 pp.154 - 155
- ^ 端子電圧750V時1時間定格出力75kW、定格回転数985rpm。
- ^ 端子電圧750V時1時間定格出力127kW/815rpm。
- ^ 中山嘉彦「戦後飛躍期の近畿日本鉄道新製車両について」(鉄道ピクトリアル・2003年12月増刊号「車両研究」p106)
- 1 伊勢電気鉄道デハニ231形電車とは
- 2 伊勢電気鉄道デハニ231形電車の概要
- 3 登場までの経緯
- 4 概要
- 5 運用
- 6 参考文献
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