象の消滅とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 趣味 > 短編小説作品名 > 象の消滅の意味・解説 

象の消滅

作者村上春樹

収載図書文学 1986
出版社講談社
刊行年月1986.4

収載図書パン屋再襲撃
出版社文芸春秋
刊行年月1989.4
シリーズ名文春文庫

収載図書村上春樹全作品 19791989 8 短篇集 3
出版社講談社
刊行年月1991.7

収載図書象の消滅―村上春樹短篇選集 1980-1991
出版社新潮社
刊行年月2005.3


象の消滅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/05 06:27 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

象の消滅』(ぞうのしょうめつ)は、村上春樹短編小説

概要

初出 文學界』1985年8月号
収録書籍 パン屋再襲撃』(文藝春秋、1986年4月)

英訳

タイトル The Elephant Vanishes
翻訳 ジェイ・ルービン
初出 ザ・ニューヨーカー』1991年11月18日号[1]
収録書籍 The Elephant Vanishes』(クノップフ社、1993年3月)

2005年3月には、『The Elephant Vanishes』の日本語版である『象の消滅 短篇選集 1980-1991』(新潮社)が刊行された。

あらすじ

新聞によれば、人々が象のいないことに気づいたのは5月18日とのことだった。象の足につながれていた鉄の枷(かせ)は、鍵のかかったままそこに残されていた。消えたのは象だけではなかった。飼育係の男も象と一緒に姿を消していた[2]。人々が最後に象と飼育係の姿を見たのはその前日の5月17日の夕方5時すぎだという。

「僕」は新聞記事を最初からもう一度読みなおしたが、それは相当に奇妙な記事だった。記事は「象が脱走した」という表現をとっていたが、脱走なんかしていないことは一目瞭然だ。第一に鍵をかけられたまま残された鉄輪の問題がある。第二に脱出経路の問題がある。第三に足あとの問題がある。明らかに象は「消滅」しているのだ。

1年前、町の郊外にあった動物園が経営難を理由に閉鎖された。そのとき町が動物園から町有財産として無料でひきとったのがこの象だった。山林が切り開かれ、小学校の体育館が象舎として移築され、動物園でずっと象の世話をしていた飼育係と共にそこに住みつくことになった。1年前に行われた象舎の落成式には「僕」もでかけている。飼育係は千葉県館山の出身で年齢は63歳、名前は渡辺昇といった。

9月も終わりに近づいた頃、「僕」は勤め先の会社が催したキャンペーンのためのパーティーで、ある雑誌編集者と出会う。互いに独身者だった。彼女は26で、「僕」は31だった。「僕」は彼女に象の話をする。

備考

  • 2003年と2004年、サイモン・マクバーニー演出の演劇「エレファント・バニッシュ」が東京都内で上演された。同作品は「象の消滅」と「パン屋再襲撃」と「眠り」の3作を原案としたもの。村上は後年、読者からの質問に対し「僕は見ていないんです。恥ずかしいので。でもとても評判がよかったみたいで、何度も再演されました。サイモン・マクバーニーさんには一度会って、話をしたことがあります。なかなか面白い人でした」と答えている[3]
  • 2013年4月から9月までの半年間、NHKラジオ第2の語学番組「英語で読む村上春樹」の最初の教材として本短編が使われた。2015年1月17日には同番組テキストの単行本『村上春樹「象の消滅」英訳完全読解』(NHK出版)が刊行された[4]

脚注

  1. ^ FICTION THE ELEPHANT VANISHES BY HARUKI MURAKAMI. November 18, 1991The New Yorker
  2. ^ 村上は処女長編小説『風の歌を聴け』の冒頭部分でこう書き記している。「それでもやはり何かを書くという段になると、いつも絶望的な気分に襲われることになった。僕に書くことのできる領域はあまりにも限られたものだったからだ。例えば象について何かが書けたとしても、象使いについては何も書けないかもしれない。」(同書、講談社文庫、旧版、7頁)
  3. ^ 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト」 - 「エレファント・バニッシュ」の舞台は観ましたか (2015年2月17日)。
  4. ^ NHK出版 | 村上春樹「象の消滅」英訳完全読解

関連項目



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「象の消滅」の関連用語

象の消滅のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



象の消滅のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの象の消滅 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS