訴訟物の同一性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/13 00:27 UTC 版)
XのYに対する所有権確認とYのXに対する(同一物についての)所有権確認では、訴訟物がそれぞれ「Xの」所有権と「Yの」所有権であるから別個であり、二重起訴の禁止には触れないとする見解もあるが批判も強い。批判する見解は、このような場合には反訴としてのみ後訴を許すべきとする。 しかし給付訴訟の被告が債務不存在確認訴訟を起こす場合は、これも二重起訴の禁止には触れないとする見解もあるが、確認の訴えの利益とも関係して複雑な問題となる。具体的には、給付の訴えは既判力による確定のみならず執行力をもたらすことから、既判力による確定しかもたらさない確認の訴えの利益を包含し、給付の訴えが起こされると確認の訴えの訴えの利益(確認の利益)が消滅するのではないかが問題となるのである。しかしこれを肯定すると、債務不存在確認訴訟が先に提起され、給付訴訟が後からおこされた場合でも、先に起こされていた債務不存在確認訴訟の確認の利益]消滅してしまうのではないかも問題になる。この点、最判平成16年3月25日民集58巻3号753頁は、債務不存在確認訴訟に対して反訴として給付訴訟を起こした場合、本訴である債務不存在確認訴訟の確認の利益が消滅するとした。
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