湖の見知らぬ男とは? わかりやすく解説

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湖の見知らぬ男

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/30 07:16 UTC 版)

湖の見知らぬ男
L'Inconnu du lac
監督 アラン・ギロディ
脚本 アラン・ギロディ
製作 シルヴィー・ピアラフランス語版
出演者
撮影 クレール・マトン
編集 ジャン=クリストフ・イムフランス語版
製作会社
配給
公開
上映時間 97分
製作国 フランス
言語 フランス語
製作費
  • $1,000,000[1]
  • €1,248,918[2]
興行収入 $2,697,234[1]
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湖の見知らぬ男』(みずうみのみしらぬおとこ、L'Inconnu du lac)は、2013年フランスサスペンススリラー映画[3]アラン・ギロディ監督の長編4作目の作品で[3][4]、出演はピエール・ドゥラドンシャンクリストフ・パウフランス語版など。 ゲイ男性が集まる場で起きた殺人事件の行方を描いた官能ミステリ映画[5]

第66回カンヌ国際映画祭では「ある視点」部門監督賞とクィア・パルムを受賞した[3][6]。また、第39回セザール賞フランス語版では作品賞をはじめとする8部門でノミネートされ、主演のドゥラドンシャンが有望若手男優賞フランス語版を受賞した[7]

日本では、2014年の1月から2月にかけて開催された第17回カイエ・デュ・シネマ週間[8]や、同年7月に開催された第23回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映された[9]他、2023年1月27日から3月27日までJAIHOで配信された[3][6]。その後、2025年3月22日から「〈特集上映〉アラン・ギロディ監督特集」として『ミゼリコルディアフランス語版英語版』と『ノーバディーズ・ヒーローフランス語版英語版』とともに劇場公開された[4][10]

ストーリー

フランクは、ゲイの男性に人気の発展場である湖のヌーディストビーチとその周囲の森を定期的に訪れている。そこでフランクは、恋人の女性と別れてビーチで孤独を求めている年上の男性アンリと、フランクが一目惚れしたハンサムな男性ミシェルと親しくなる。

​​ある晩、フランクはミシェルが湖で男性を溺れさせているのを目撃する。その光景に恐怖を感じながらも、ミシェルに惹かれる気持ちを抑えられないフランクはミシェルを追い続ける。溺れた男の死体が発見され、身元が判明すると、刑事がビーチにいた男たちを尋問し始める。フランクは、事件が起きた夜には何も異常なことは見なかったと刑事に証言する。フランクとミシェルの関係は進展していくが、ミシェルがビーチ以外で会うことを拒むことにフランクは次第に不満を募らせる。

ここ数日に起きた出来事を直感で正確に捉えたアンリは、フランクにミシェルのことを警告する。フランクが泳ぎに行くと、アンリはミシェルと対峙し、殺人犯だと知っていると告げる。アンリは森に散歩に出かけると、意味ありげにミシェルを振り返る。フランクが戻ってくると、ビーチは閑散としていた。森に入ると、背の高い草むらからミシェルが立ち去るのを目撃する。草むらに入ると、喉を掻き切られたアンリがいた。アンリはフランクに、望みは叶ったと告げて事切れる。ミシェルに追われたフランクは、木々の間に逃げ込んで隠れる。フランクはそこから、ミシェルがナイフでダムローダー警部の腹を刺すのを目撃する。

夜が訪れ、辺りが暗闇に覆われても、フランクは隠れたままである。ミシェルは隠れているフランクに向けて声をかけ、フランクの愛が必要だから一緒に夜を過ごしたいと告げる。フランクが応えないでいると、ミシェルはさらに森の奥深くへとフランクを探しに行く。しばらくして、フランクはうずくまって隠れていた場所から立ち上がり、ミシェルの名前を何度も呼び続ける。

キャスト

製作

サント=クロワ湖フランス語版

本作には本番シーン(非擬似性交シーン)があり、アラン・ギロディ監督と俳優たちは、自分たちでそのシーンを撮影するのは気まずいとの判断に至り、ボディダブルを使って撮影された[11][12][13]

主要撮影は全て屋外で行われるため、フランスで最も日照時間が長い2つの地域に協力を要請したところ、最終的にプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュールサント=クロワ湖フランス語版ロケ撮影することになった[14]

作品の評価

映画批評家によるレビュー

アロシネによれば、フランスの26のメディアによる評価の平均点は5点満点中4.2点である[15]Rotten Tomatoesによれば、103件の評論のうち高評価は94%にあたる97件で、批評家の一致した見解は「セクシーでスマート、そしてダークなユーモアに満ちた『湖の見知らぬ男』は、示唆に富むドラマを求める成人映画ファンにとって観応えのある作品である。」となっている[16]Metacriticによれば、26件の評論のうち、高評価は25件、賛否混在は1件、低評価はなく、平均点は100点満点中82点となっている[17]

2013年カイエ・デュ・シネマ誌ベストテン第1位を獲得している[4]

受賞歴

部門 対象者 結果 参照
第66回カンヌ国際映画祭 「ある視点」部門監督賞 アラン・ギロディ 受賞 [3]
クィア・パルム
第39回セザール賞フランス語版 作品賞フランス語版 ノミネート [7][18]
監督賞フランス語版 アラン・ギロディ
助演男優賞フランス語版 パトリック・ダスンサオフランス語版
有望若手男優賞フランス語版 ピエール・ドゥラドンシャン 受賞
脚本賞フランス語版 アラン・ギロディ ノミネート
撮影賞フランス語版 クレール・マトン
音響賞フランス語版
編集賞フランス語版 ジャン=クリストフ・イムフランス語版

出典

  1. ^ a b L'inconnu du lac” (英語). The Numbers. 2025年5月30日閲覧。
  2. ^ L'Inconnu du lac (Stranger By the Lake) (2013)” (フランス語). JP Box-Office. 2025年5月30日閲覧。
  3. ^ a b c d e 湖の見知らぬ男”. JAIHO. 2025年5月30日閲覧。
  4. ^ a b c 湖の見知らぬ男”. キネマ旬報WEB. 2025年5月30日閲覧。
  5. ^ 湖の見知らぬ男”. 映画.com. 2025年5月30日閲覧。
  6. ^ a b カンヌで監督賞、クィアパルム受賞「湖の見知らぬ男」JAIHOにて配信」『映画ナタリー』2023年1月26日。2025年5月30日閲覧。
  7. ^ a b 2013年 第39回 セザール賞”. allcinema. 2025年5月30日閲覧。
  8. ^ 上原輝樹「第17回カイエ・デュ・シネマ週間」『OUTSIDE IN TOKYO』2014年1月14日。2025年5月30日閲覧。
  9. ^ 湖の見知らぬ男”. 第23回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭. 2025年5月30日閲覧。
  10. ^ 「湖の見知らぬ男」から最新作までアラン・ギロディ監督3作品ポスター、予告編、場面写真公開」『映画.com』2025年2月21日。2025年5月30日閲覧。
  11. ^ Osenlund, R. Kurt (2014年1月24日). “Interview: Alain Guiraudie on Stranger by the Lake” (英語). Slant Magazine. https://www.slantmagazine.com/features/interview-alain-guiraudie/ 2025年5月30日閲覧。 
  12. ^ Stranger by the Lake - Q&A Toronto Film fest, Lightbox (9-11-2013) - actor Pierre Deladonchamps” (英語). YouTube. The Festival Circuit (2013年9月16日). 2025年5月30日閲覧。
  13. ^ Actor Pierre Deladonchamps talks about his film, Stranger by the Lake” (英語). YouTube. Xtra Magazine (2014年1月11日). 2025年5月30日閲覧。
  14. ^ Mandelbaum, Jacques (2013年6月11日). “Alain Guiraudie : "La libération sexuelle a produit plus d'aliénation qu'on ne le pense"” (フランス語). Le Monde. https://www.lemonde.fr/culture/article/2013/06/11/alain-guiraudie-la-liberation-sexuelle-a-produit-plus-d-alienation-qu-on-ne-le-pense_3427670_3246.html 2025年5月30日閲覧。 
  15. ^ Critiques Presse pour le film L'inconnu du lac” (フランス語). AlloCiné. 2025年5月30日閲覧。
  16. ^ "Stranger by the Lake". Rotten Tomatoes (英語). 2025年5月30日閲覧
  17. ^ "Stranger by the Lake" (英語). Metacritic. 2025年5月30日閲覧。
  18. ^ Richford, Rhonda (2014年2月28日). “France’s Cesar Awards: ‘Me, Myself and Mum’ Wins Best Film” (英語). The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/news/general-news/cesar-awards-winners-list-684357/ 2025年5月30日閲覧。 

外部リンク




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