本体論的証明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 15:36 UTC 版)
アンセルムスやデカルトが、このような形の神の存在証明を試みたので有名である。この証明はいくつかのヴァリエーションを持つが、「存在する」という事態を属性として捉え、例えば次のような論理を展開する。 まず、「可能な存在者の中で最大の存在者」を思惟することができる。ここで、「任意の属性Pを備えた存在者S」と、「Sとまったく同じだけの属性を備えているが(Sは備えていない)『実際に存在する』という属性を余計に備えている存在者S'」では、S'のほうが大きい。よって「可能な存在者の中で最大の存在者」は(最大の存在者であるためには、論理的必然として)「実際に存在する」という属性を持っていなければならない。ゆえに「可能な存在者の中で最大の存在者」は我々の思惟の中にあるだけでなく実際に存在する。ところで、可能な存在者の中で最大の存在者とは神である。したがって、神は我々の思惟の中に存在するだけでなく実際に存在する。 この証明は一見して詭弁じみており、アンセルムスの同時代人ガウニロによっても批判されているが、中世哲学においては一般的な議論であった。
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