放蕩息子の帰還 (プレーティ)とは? わかりやすく解説

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放蕩息子の帰還 (プレーティ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/02 05:06 UTC 版)

『放蕩息子の帰還』
イタリア語: Ritorno del figliol prodigo
英語: The Return of the Prodigal Son
作者 マッティア・プレーティ
製作年 1656年
種類 キャンバス上に油彩
寸法 206 cm × 283 cm (81 in × 111 in)
所蔵 カポディモンテ美術館ナポリ

放蕩息子の帰還』(ほうとうむすこのきかん、: Ritorno del figlio prodigo: The Return of the Prodigal Son)は、イタリアバロック期の画家マッティア・プレーティが1656年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。現在、ナポリカポディモンテ美術館に所蔵されている[1]

作品

マッティア・プレーティ『放蕩息子の帰還』 (1658年ごろ)、王宮 (ナポリ)

作品は、『新約聖書』中の「ルカによる福音書」にある「放蕩息子のたとえ話」(15章11-32) を主題としている[2]。ある男に2人の息子がいた。兄は堅実な性格であったが、弟はわがままで、父に相続する財産を分けてほしいと頼む。父は、彼が財産を浪費してしまうことを知りつつも財産を渡した。実際に、しばらくして彼は財産を使い果たしてしまい、食べる物にも困るようになる。その後、悔い改めた彼は、雇人にしてもらおうと父の元に帰るが、父は彼を赦す。この物語の父は神を、弟は人を表す。人が心から悔い改めれば、神は赦しを与えるという物語である[2]

この主題は、プレーティが最も頻繁に取り上げたものの1つである[1]。その中で最大の大きさを持つ本作以外にも、3点の作品があり、それらはすべてプレーティのナポリ時代に制作された。すなわち、制作順にル・マン美術館の作品 (1650年ごろ)、レッジョ・カラブリア絵画館の作品 (1656年ごろ)、そして様式的に最も円熟した[3]ナポリ王宮の作品 (1658年ごろ) である[1]

本作の画面には、父親の元に戻った放蕩息子が彼の前で跪き、許しを乞う瞬間が描かれている。王宮にある作品に比べ、多くの人物が登場する本作の方がより煽情的で演劇的に見える[1]

歴史

この絵画は、マッダローニ公爵ディオメーデ5世・カラファ (Diomede V Carafa) のコレクションに由来する。公爵のコレクションには、ほかにも4点のプレーティの作品、すなわち『キリストとカナンの女』 (シュトゥットガルト州立美術館) 、『悪魔を打ち倒すキリスト』 (カポディモンテ美術館) 、『悪魔に試されるキリスト』 (アヌンチアータ教会、マッダローニ) 、『キリストと百人卒長』 (パレルモ) である[1]。記録文書によれば、カラファはプレーティのこれら5点の絵画に220ドゥカートに相当する金額を支払った[1]。5点のうち、『悪魔を打ち倒すキリスト』、『キリストと百人卒長』、および本作『放蕩息子の帰還』はナポリの民事裁判官フランチェスコ・アントニオ・ロベルティ (Francesco Antonio Roberti) のコレクションに入り、後に2,000ドゥカートでブルボン家に購入された[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g (イタリア語) Nicola Spinosa, Mattia Preti. Tra Roma, Napoli e Malta, Napoli, Electa, 1999, ISBN 978-8851001292, p. 138.
  2. ^ a b 大島力 2013年、146頁。
  3. ^ Template:Cita.

参考文献

  • 大島力『名画で読み解く「聖書」』、世界文化社、2013年刊行 ISBN 978-4-418-13223-2
  • (イタリア語) Nicola Spinosa, Mattia Preti. Tra Roma, Napoli e Malta, Napoli, Electa, 1999, ISBN 978-8851001292.
  • (イタリア語) N. Spinosa, Pittura del Seicento a Napoli - da Mattia Preti a Luca Giordano, natura in posa, Napoli, Arte'm, 2010.



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