富士通 A64FXとは? わかりやすく解説

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富士通 A64FX

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/04 04:56 UTC 版)

A64FX
生産時期 2019から
販売者 富士通
設計者

富士通

Broadcom
生産者 TSMC
アーキテクチャ ARMv8.2-A with SVE and SBBA level 3
マイクロアーキテクチャ 社内
コア数 CPUあたり48[1]+オプションのアシスタントコア[2][3]
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A64FXは、富士通が設計した64ビットARMアーキテクチャマイクロプロセッサである[1][4]。このプロセッサは、富士通のスーパーコンピュータ向けプロセッサとして、SPARC64 VIIIfxに代わるものである[4]。2020年6月現在、TOP500ランキングで世界最速のスーパーコンピュータ「富岳」に搭載されている[5][4][6]他、同社のPRIMEHPC FX700や同FX1000として計算サーバを提供している[7]

設計

富士通はARMと共同でこのプロセッサを開発し、512ビットのベクトル実装を備えたARMv8.2-A Scalable Vector Extension SIMD命令セットを使用した初のプロセッサとなる[5]。このプロセッサを使用したプロトタイプのコンピュータは、2019年11月のTop500リストで世界で159番目に速いコンピュータとしてランク付けされた[8]

このプロセッサは、毎秒256GBの帯域を持つ8GBの容量のHBM2メモリを4つ接続して毎秒1TBの帯域幅を持つ32ギガバイトの主記憶を構成している[5]。プロセッサには、GPGPUFPGAなどのアクセラレータに接続するためのPCI Express Gen 3レーンを16個搭載している[1]。報告されているトランジスタ数は約87億個である[5]。HBM2のメモリコントローラなどはBroadcomが設計した[9]。CPUチップとHBM2の統合は、TSMCのパッケージ技術「CoWoS」が用いられた[10]

各CPUは「ノード」として構築された48個のコアを内蔵している(CPU内部はメモリとの接続に関係してそれぞれ12コアからなる4つのコアメモリグループCMGに分かれて構成されている)。富岳ノードには4個の「アシスタントコア」を搭載しているが、富士通は0個または2個のアシスタントコアを搭載した低スペック機を生産するとしている[2][3]

実装

富士通は富岳のためにA64FXを設計した。2020年6月現在、富岳はTOP500のランキングで世界最速のスーパーコンピュータである[11]。富士通は、A64FXプロセッサを搭載した小型機を販売する意向である[2][3]。Anandtechは、2020年6月に、A64FXノードを2基搭載したPRIMEHPC FX700サーバーのコストは¥4,155,330 (c. US$39,000) であると報告している[12]

CrayはA64FXを使ったスーパーコンピュータApollo 80システムを開発し販売している[13][14]。Isambard 2 スーパーコンピュータは、ブリストル大学を中心に、富士通のプロセッサを使用して英国気象庁を含む英国のコンソーシアムのために構築されている[15][16]。これは、別のARMアーキテクチャのマイクロプロセッサであるMarvell ThunderX2英語版で構築されたIsambardスーパーコンピュータのアップグレードである[16]

関連項目

脚注

  1. ^ a b c Hot Chips 30 conference; Fujitsu briefing”. Toshio Yoshida. 2020年10月31日閲覧。
  2. ^ a b c “Fujitsu Launches New PRIMEHPC Supercomputers Using Fugaku Technology - Fujitsu Global”. www.fujitsu.com. (13 November 2019). https://www.fujitsu.com/global/about/resources/news/press-releases/2019/1113-02.html 28 June 2020閲覧。 
  3. ^ a b c FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC Specifications”. www.fujitsu.com. 28 June 2020閲覧。
  4. ^ a b c Morgan, Timothy Prickett (24 August 2018). “Fujitsu’s A64FX Arm Chip Waves The HPC Banner High”. The Next Platform. https://www.nextplatform.com/2018/08/24/fujitsus-a64fx-arm-chip-waves-the-hpc-banner-high/ 8 March 2020閲覧。 >
  5. ^ a b c d Fujitsu Successfully Triples the Power Output of Gallium-Nitride Transistors - Fujitsu Global”. www.fujitsu.com. Fujitsu. 8 March 2020閲覧。
  6. ^ https://www.r-ccs.riken.jp/en/postk/project/outline
  7. ^ https://www.fujitsu.com/jp/products/computing/servers/supercomputer/
  8. ^ A64FX prototype - Fujitsu A64FX, Fujitsu A64FX 48C 2GHz, Tofu interconnect D | TOP500 Supercomputer Sites”. www.top500.org. 8 March 2020閲覧。
  9. ^ 富岳スパコンに搭載されるメニーコアCPU「A64FX」 - ISC 2019 製造プロセスはTSMCの7nm FinFET”. 株式会社マイナビ. 2024年5月11日閲覧。
  10. ^ CoWoS The Chronicle of CoWoS”. Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited. 2024年5月11日閲覧。
  11. ^ https://www.top500.org/system/179807/ SUPERCOMPUTER FUGAKU - SUPERCOMPUTER FUGAKU, A64FX 48C 2.2GHZ, TOFU INTERCONNECT D
  12. ^ Cutress, Dr Ian (26 June 2020). “HPC Systems Special Offer: Two A64FX Nodes in a 2U for $40k”. www.anandtech.com. https://www.anandtech.com/show/15885/hpc-systems-special-offer-two-a64fx-nodes-in-a-2u-for-40k 28 June 2020閲覧。 
  13. ^ HPE:Crayブランドをキープ、HPE Crayスーパーコンピューティングラインを発表”. 2024年4月19日閲覧。
  14. ^ HPE Apollo 80 System”. 2024年4月19日閲覧。
  15. ^ February: GW4 Isambard - News and features - University of Bristol”. www.bristol.ac.uk. 8 March 2020閲覧。
  16. ^ a b Burt, Jeffrey (9 March 2020). “Isambard 2 Is About Driving Technology Diversity”. The Next Platform. https://www.nextplatform.com/2020/03/08/isambard-2-is-about-driving-technology-diversity/ 9 March 2020閲覧。 

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