多数与党政権
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多数与党政権(たすうよとうせいけん、英:Majority government)とは、立法府で絶対多数(過半数)の議席を保有する一つ以上の与党による政権。こうした政権は、単独で過半数を握る単独与党から成る場合もあれば、複数政党から成る連立政権の場合もある。これは、政府が過半数を持たず、法案可決のために野党との協力を要する少数与党政権とは対照的である。多数派与党は権力配分を左右する。[1]なお、政府外の政党が閣外協力で支える場合にのみ過半数となるなら、その政府は多数派政権とはみなされない。
多数与党政権は通常、法案可決がほぼ確実で、議会で敗北することを恐れる必要がほとんどない(この状態は活動的多数派と呼ばれる)[2]。対照的に、少数与党政権は、法案成立や不信任決議での敗北回避のために、常に他党の支持を取り付ける交渉を重ねねばならない。単独多数の政権は、多くの場合、選挙での大勝のあとに成立しやすい。
多数与党政権という語は、安定的・長期的な二党以上の連立によって絶対多数を形成する場合にも用いられる。たとえばオーストラリア(英語版)では、オーストラリア自由党とオーストラリア国民党が何十年も保守連合として選挙ブロックを組んできた。オーストラリアで最大の多数派政権が生まれたのは1975年(英語版)で、連合が127議席中91議席(71.65%)を獲得する地滑り的勝利(英語版)を収めた。その後、絶対数としてはより多い多数派政権も成立しており、1996年(英語版)には連合が、2025年にはオーストラリア労働党がいずれも94議席を獲得した。しかし、下院(代議院)の議席総数が1975年より大幅に増加しているため、これらは多数幅・議席占有率としてはより小さくなっている。
一党が単独で過半数を取りやすい単純小選挙区制のような選挙制度では、連立は稀だが、ハング・パーラメントのときには生じうる。例として、英国の2010–2015年連立政権(保守党+自由民主党)がある。保守党は2010年総選挙で最多議席を得たが単独過半数に届かず、自民党と組むことで庶民院の安定多数を形成した。これは第二次世界大戦以来初の本格的な連立政権であった。
多数与党政権は、合意型政府や挙国一致内閣と異なり、全会一致や特別多数を要請しない。
関連項目
脚注
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