地上軍航空隊 (国家人民軍)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 地上軍航空隊 (国家人民軍)の意味・解説 

地上軍航空隊 (国家人民軍)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/14 06:45 UTC 版)

Jump to navigation Jump to search
第5攻撃ヘリコプター航空団ドイツ語版(KHG-5)所属のMi-24Pヘリコプター

地上軍航空隊ドイツ語: Armeefliegerkräfte)は、ドイツ民主共和国(東ドイツ)国家人民軍を構成する軍種の一つである国家人民軍地上軍の航空部門(陸軍航空隊)である。

歴史

1970年代中頃、東ドイツ指導部では西ドイツの軍隊であるドイツ連邦軍レオパルト2主力戦車およびPAH-1対戦車ヘリコプター採用を受け、これに対向する形で戦闘ヘリコプター連隊(Kampfhubschrauber-Regiment)の設置を決定した[1]。また1980年代にはワルシャワ条約機構軍総司令部が各国軍に対して地上部隊支援能力の強化を命じていたことも関係している[2]

当初設置された戦闘ヘリコプター部隊は航空軍が管轄しており、その戦力は第34ヘリコプター航空団(Hubschraubergeschwaders 34, HG-34)、第57攻撃ヘリコプター航空団(Kampfhubschraubergeschwader 57, KHG 57)、第67攻撃ヘリコプター航空団(KHG 67)の3個飛行隊であった。第57攻撃ヘリコプター航空団は1981年から第54ヘリコプター航空団(HG-54)と名称を改めており、1976年からはMi-8T/TBを、1978年からはMi-24Dを主力機として配備していた。また1980年3月1日には「アドルフ・フォン・リュッツォウ」の名が部隊に冠されている。第67攻撃ヘリコプター航空団も1982年頃までにMi-8T/TBやMi-24Dを主力機として配備した。1984年9月29日には「フェルディナント・フォン・シル」の名が部隊に冠された。

1984年、航空軍から地上軍へ地上軍航空隊の指揮権が移ると共に、地上軍航空兵の兵科が設けられた。1984年3月1日にはKHG-57が第5軍管区ドイツ語版に、1984年11月1日にはKHG-67が第3軍管区ドイツ語版にそれぞれ割り当てられた。1986年12月1日、KHG-57はKHG-5に、KHG-67はKHG-3に改称された[3][4]

国家人民軍の解体後、地上軍航空隊の戦力は連邦陸軍航空隊ドイツ語版(Heeresfliegertruppe)に移管された。1991年4月1日、KHG-3は第70陸軍飛行隊(Heeresfliegerstaffeln 70)、KHG-5は第80陸軍飛行隊(Heeresfliegerstaffeln 80)と改称され、第61兵器技術センタードイツ語版に移された。

地上軍航空隊の装備のうち、Mi-2ヘリコプターは使用されなかったものの、Mi-24ヘリコプターは1993年まで、Mi-8ヘリコプターは1994年まで連邦陸軍航空隊で使用された。

任務

  • 戦闘に際しての地上戦力に対する航空支援の提供
  • 国境監視・防衛およびワルシャワ条約機構における防空担当制度ドイツ語版への参加

訓練

飛行士たる地上軍士官は、航空軍高級士官学校(Offizierhochschule der LSK/LV)および航空軍高級士官学校付部隊である第35ヘリコプター訓練航空団(Hubschrauberausbildungsgeschwader 35)にて教育を受けた。またMi-24ヘリコプターの操縦訓練はソ連領内でも行われた。

地上勤務員たる地上軍士官は、カーメンツにあった航空軍高級士官学校「フランツ・メーリング」ドイツ語版にて教育を受けた。

それ以外の下士官および士官候補生は、バート・デューベンにあった航空軍軍事技術学校「ハリー・クーン」ドイツ語版にて教育を受けた。

主要装備

ガートー航空博物館(Luftwaffenmuseum Gatow)に展示されているMi-9。地上軍航空隊から接収され連邦陸軍航空隊で運用されていた機体。双方の国籍マークが確認できる。
  • Mi-2ヘリコプター - 各種特殊任務/偵察用派生型を含む。
  • Mi-8ヘリコプター - 派生型を含む。
    • Mi-8T輸送ヘリコプター
    • Mi-8TB戦闘ヘリコプター
    • Mi-8S旅客・特殊輸送ヘリコプター
    • Mi-9空中指揮通信ヘリコプター
  • Mi-24ヘリコプター - 派生型を含む。
    • Mi-24D
    • Mi-24P -1989年以降、KHG-5のみ装備。

組織

当初、KHGはいずれも航空軍司令部ドイツ語版直属の戦力として扱われていたが、1981年に前線における指揮統制組織として前線及び地上軍航空隊指揮所(FO FAFK)が設置されるとこれの指揮下に移った[2]

1984年、KHGの指揮権が地上軍に移り、2個軍管区それぞれの指揮下に配置される。制服等は航空軍のものをそのまま使用した。

第3軍管区付の第3攻撃ヘリコプター航空団「フェルディナント・フォン・シル」ドイツ語版(KHG-3)は北コトブス飛行場ドイツ語版を拠点としており、また第5軍管区付の第5攻撃ヘリコプター航空団「アドルフ・フォン・リュッツォウ」ドイツ語版(KHG-5)はバセポールドイツ語版を拠点とした。

攻撃ヘリコプター航空団は最大3個戦闘ヘリコプター飛行隊(Kampfhubschrauberstaffeln)[5]と1個指揮偵察ヘリコプター飛行隊(Hubschrauberstaffel zur Führung und Aufklärung)で構成された。

なお、第40航空突撃連隊の展開を含む地上部隊の戦術的な航空輸送は、地上軍航空隊ではなく第24輸送航空隊など航空軍所属部隊が担当した[5]

脚注

  1. ^ Protokoll der 45. Sitzung des Nationalen Verteidigungsrats der DDR am 3. Mai 1974
  2. ^ a b Rüdiger Wenzke: Die Nationale Volksarmee (1956–1990). In: Torsten Diedrich, Hans Ehlert, Rüdiger Wenzke (Hrsg.): Im Dienste der Partei. Handbuch der bewaffneten Organe der DDR. Links, Berlin 1998, ISBN 3-86153-160-7 (Forschungen zur DDR-Gesellschaft).
  3. ^ KHG-5 auf der Homepage des Militärarchivs
  4. ^ KHG-3 auf der Homepage des Militärarchivs
  5. ^ a b Helmut Göpel: „NVA-Landstreitkräfte“ In: Klaus Naumann (Hrsg.): NVA. Anspruch und Wirklichkeit. Nach ausgewählten Dokumenten. Mittler, Berlin u. a. 1993, ISBN 3-8132-0430-8 (Offene Worte).



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「地上軍航空隊 (国家人民軍)」の関連用語

地上軍航空隊 (国家人民軍)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



地上軍航空隊 (国家人民軍)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの地上軍航空隊 (国家人民軍) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS