古典ロコ (同人誌)とは? わかりやすく解説

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古典ロコ (同人誌)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/25 01:23 UTC 版)

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古典ロコ(こてんロコ)は、1940年(昭和15年)から1941年(昭和16年)まで発行された会員制の同人誌である。第10号まで発行された[1]

太平洋戦争以前の日本鉄道趣味の営業誌としては、1929年(昭和4年)から1938年(昭和13年)まで発行された『鉄道』と1933年(昭和8年)から1937年(昭和12年)まで発行された『鉄道趣味』があるが、戦時色が濃くなると国策に沿う形で休刊となった。そのような時代の中で、会員制の同人誌である本誌と『つばめ』が発行された。

関東地方では高松吉太郎らが『つばめクラブ』を、関西地方では西尾克三郎らが『クラシカル・ロコ・クラブ』を立ち上げるために会員を募集し、それぞれ同人誌である『つばめ』と本誌『古典ロコ』の発行を開始した。ともに創刊は1940年である。

『古典ロコ』(第4号)に貼付された流山鐵道のボールドウィン製サドルタンク機(腰高康治撮影)[2]

本誌はA5判ガリ版印刷で、写真は印刷ではなくプリントの貼付であった。プリントが貼付されていることが本誌の最大の特徴である。本誌2号に貼付された松森(牧野)俊介の写真「会陽[3]西大寺鉄道」は『西大寺鉄道』[4]に再録されている。また、本誌4号に貼付された流山鐵道ボールドウィンサドルタンク機の写真は『鐵道模型趣味』(No.33 1951年6月號)の「口絵写真」に再掲されている[5]

本誌の目的は古典機関車と私鉄研究である。記事の寄稿は、今村潔、臼井茂信、金田茂(茂裕)、谷川義春、牧野俊介らによって行われ、記事の質は高く、各号は約30ページほどであるが充実した内容であった。記事の内容は誌名の「古典ロコ」にはとらわれず、1940年(昭和15年)に製造された蒸気機関車「C57 135」に関することも寄稿されている。各号の発行部数は90部で、非売品であった。

1941年(昭和16年)2月10日発行の第10号が、本誌の終刊号となった。終刊に至る経緯が本号の「編輯余禄」に綴られている[6]

昨秋以来急に防諜取締りが厳になりました。之迄軍機保護法、軍用資源秘密保護法等[7]の法規による撮影禁止より以上に行政上の取締り範囲が多くなり今迄は何等制限もなかった私鉄での撮影も出来ぬようになってしまいました。車輌だけの写真なら許されるだろうと一応は考えられますが車輌を写す為には駅とか機関庫へ行く訳ですからどうしても場所柄禁止されて終うのは止むをえないことでありませう。我々の立場からすれば甚だ残念な事ですが今やとやかく申すべき時ではなく御互に守るべき事は固く守って行き度いと思います
「編輯余禄」『古典ロコ 第10号』

本号「終刊の辞」には次のようにある。

当初目的として掲げました各地私鉄の研究が時局の急進展により誌上発表を見合わすべきが至当と考えられるに到りました...
「終刊の辞」『古典ロコ 第10号』

脚注

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  1. ^ 本項目は、特記以外『編集長敬白』を参考文献とする。
  2. ^ 鐵道模型趣味』(No.33  1951年6月號「口絵写真」)に再掲された写真より。
  3. ^ 読みは「えよう」--「会陽」『デジタル岡山大百科』より。
  4. ^ 安保彰夫『西大寺鉄道』ネコパブリッシングRM LIBRARY 89〉、2006年12月。ISBN 978-4777051892
  5. ^ 鐵道模型趣味』(No.33  1951年6月號 p183)より。
  6. ^ 鉄道ファンが阿波池田駅で機関車を撮影したところ駅員にみつかり、スパイ容疑で警察に留置され取り調べをうけた。その際に所持していた「古典ロコ」が当局の目にとまり発行元への照会となり、廃刊のきっかけとなった。青木栄一「鉄道趣味のあゆみ」『鉄道ピクトリアル』(No703 2001年7月号)
  7. ^ 「鉄道省令第17号 国有鉄道軍用資源秘密保護規則」『官報』1939年9月28日(国立国会図書館デジタルコレクション)

参考文献

ウェブサイト

出版物

  • 中尾豊「設計から塗装まで - 流山鐵道サドルタンク」『鐵道模型趣味』No.33  1951年(昭和26年)6月號、機芸出版社、 「口絵写真」, p183。



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