伝説のイリノイ・コンサート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/30 12:05 UTC 版)
『伝説のイリノイ・コンサート』 | |
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エリック・ドルフィー の ライブ・アルバム | |
リリース | |
録音 | 1963年3月10日 イリノイ州シャンペーン イリノイ大学[2] |
ジャンル | ジャズ、ポスト・バップ、アヴァンギャルド・ジャズ |
時間 | |
レーベル | ブルーノート・レコード |
プロデュース | マイケル・カスクーナ[3] |
専門評論家によるレビュー | |
『伝説のイリノイ・コンサート』(でんせつのイリノイ・コンサート、原題:The Illinois Concert)は、アメリカ合衆国のジャズ・ミュージシャン、エリック・ドルフィーが1963年に録音したライブ・アルバム。ドルフィーの死から35年後の1999年に、ブルーノート・レコードから発売された。
背景
1963年にイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で開催された「第11回現代芸術フェスティバル」におけるライブ録音で、このフェスティバルは、現代音楽のコンサートや講義を中心としており、ドルフィーはこの年、ジャズ・ミュージシャンとして唯一招かれた[5]。本作に参加したハービー・ハンコックは、以前にも1962年10月7日のドルフィーのニューヨーク公演でサイドマンを務めており[2]、その模様はライブ・アルバム『レフト・アローン』に収録されている。「サムシング・スイート、サムシング・テンダー」は、本作ではバスクラリネットの独演による「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」へ続く短いイントロダクションとなっているが、後に録音されたアルバム『アウト・トゥ・ランチ』において全体像が披露されている[6]。「レッド・プラネット」および「G.W.」は、イリノイ大学の学生バンドとの共演で、学生時代のセシル・ブリッジウォーターも参加している[5]。なお、ドルフィーは当時、フレディ・ハバードのアルバム『ザ・ボディ・アンド・ザ・ソウル』(1963年3月8日、11日録音・1964年発表)でサイドマンを務めており、本作はその合間に録音された[2]。
当日のライブ音源は、テープのコピーを持っていたラジオ・プロデューサーのブライアン・サンダースによって1970年代中期にラジオでオン・エアされており、サンダースは1996年、このテープをアラン・ソールに渡して、ソールを通じてマイケル・カスクーナのプロデュースにより本作が発表されることとなった[5]。
反響・評価
アメリカでは『ビルボード』のジャズ・アルバム・チャートで12位に達した[7]。
Ken Drydenはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「全体的にドラムスの音が大きすぎるのと、"South Street Exit"におけるフルートの音が十分に拾えていないことを除けば、音質は実に良好」「ドルフィーの演奏は終始聴き応えがある」と評している[4]。また、『CDジャーナル』のミニ・レビューでは「まるで何かに憑かれたように吹き続けるドルフィーと、反応の塊となっているハンコックのプレイは、今聴いてもゾクゾクする」と評されている[1]。
収録曲
特記なき楽曲はエリック・ドルフィー作曲。
- 朝日のようにさわやかに - "Softly as in a Morning Sunrise" (Oscar Hammerstein II, Sigmund Romberg) - 20:19
- サムシング・スイート、サムシング・テンダー - "Something Sweet, Something Tender" - 1:29
- ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド - "God Bless the Child" (Billie Holiday, Arthur Herzog Jr.) - 8:46
- サウス・ストリート・イグジット - "South Street Exit" - 7:29
- アイアン・マン - "Iron Man" - 11:00
- レッド・プラネット - "Red Planet" - 12:29
- G.W. - "G.W." - 7:41
参加ミュージシャン
- エリック・ドルフィー - バスクラリネット(on #1, #2, #3)、フルート(on #4)、アルト・サクソフォーン(on #5, #6, #7)[5]
- ハービー・ハンコック - ピアノ(#3を除く全曲)
- エディ・カーン - ベース(#3を除く全曲)
- J.C.モーゼス - ドラムス(#3を除く全曲)
- イリノイ大学ブラス・アンサンブル(on #6)
- イリノイ大学ビッグ・バンド(on #7)
脚注
- ^ a b “エリック・ドルフィー&ハービー・ハンコック/伝説のイリノイ・コンサート (廃盤)”. CDJournal. 音楽出版社. 2025年3月30日閲覧。
- ^ a b c “Eric Dolphy Discography”. Jazz Discography Project. 2025年3月30日閲覧。
- ^ CD英文ブックレット内クレジット
- ^ a b Dryden, Ken. “The Illinois Concert - Eric Dolphy”. AllMusic. 2025年3月30日閲覧。
- ^ a b c d CD英文ライナーノーツ(Vladimir Simosko)
- ^ Shoemaker, Bill (1999年11月1日). “Eric Dolphy: The Illinois Concert”. JazzTimes. 2025年3月30日閲覧。
- ^ “Eric Dolphy - Awards”. AllMusic. 2015年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年3月30日閲覧。
外部リンク
- 伝説のイリノイ・コンサート - Discogs (発売一覧)
- 伝説のイリノイ・コンサートのページへのリンク