中村 和弘とは? わかりやすく解説

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中村和弘

中村和弘の俳句

あまたなる車轍をふみて梅見かな
いっせいに造花はためき雷雨くる
すっぽんのゼラチン質のはにかめり
はればれと浮輪ふっ飛ぶ砂丘かな
ぼうたんの忿怒の相を描きだす
むらさきに犀は烟りて大暑なり
やや遠く椅子の倒れて菊の宴
コンドルの何か吐瀉する花の下
コークスの多孔哀れに春めける
トロ箱の疵を埋めて霜の花
バックミラーのまつ黒に見え油照り
一穴にて大鬼蓮の腐りそむ
三伏の蔓の這いいる磧かな
上げ潮の泡がじわりと千鳥鳴く
不夜城の虚空飛び交う夏鴉
中空に空室多し桜咲く
人間の目玉明しと糠蚊くる
仰向けの車体虫めき夏に入る
休む船腹水陽炎の巣となりぬ
借景は蛭ケ小島の植田かな
偕老とともに消えたり夏柳
冬晴の魚網ちりりと韻きたり
凧の骨ささりし春の渚かな
刃のように馬追とまる板戸かな
初夏の頭大きく鴨翔てり
初夏の顧眷にミヤコタナゴかな
初鰹常夜の奥へ滑り落つ
原爆地影絵のごとく梅を干す
原発の無臭無音や敷松葉
咀嚼音牛舎に充ちて涅槃雪
喉仏のあたりが痒し麦の秋
城砦のほろほろ崩れ帰燕かな
夏芝居鬼火あやつる人せわし
大安のこの赤剥けの牡丹の芽
大寒のひろがりいたる臼の創
大寒のストレッチャーが突っこみ来
大寒の古傷眉の中とおる
大鐘に化けて鮟鱇鎮もれり
大鯉の屍をぬけて秋の水
夫婦岩をやや蔑みて土用波
奔放な枝を虜に水澄めり
子安貝の殻に溢れて花の雨
宇宙飛行士倒立したり菊日和
安定せざる栄螺の殻を座右にす
実像の消ゆるほど澄み独楽まわる
寒月光ぴしと小枝を落しけり
屋上にモップ崩れて雛祭
山桃の染浜名湖に及びおり
干梅の怨の字に似る一つ見ゆ
愛の宿りくるかに夕鯰
 

中村和弘

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/24 07:10 UTC 版)

中村 和弘(なかむら かずひろ、1942年1月15日 - )は、日本の俳人。「陸」俳句会主宰、現代俳句協会特別顧問。静岡県出身。

経歴

静岡県周智郡森町に生まれる[1]1961年に上京し、シナリオ広告理論等を学ぶ[2]。1968年に俳人の田川飛旅子に師事し、田川の紹介で「寒雷」句会にて加藤楸邨に学んだ。田川飛旅子が主宰する俳句会「陸」の句誌編集を担当し、1999年田川の逝去に伴い「陸」主宰を継承した。

2018年に現代俳句協会会長に就任し(第7代、2018年-2024年)、同会の法人化に尽力した。2024年から同会特別顧問。国際俳句交流協会顧問[3]。日本文藝家協会会員。1996年に第47回現代俳句協会賞を受賞[4]。2025年に『荊棘』で第40回詩歌文学館賞(俳句部門)[5]、第17回小野市詩歌文学賞(俳句部門)を受賞[6]

句集・著書

  • 『蠟涙』角川書店 1998年
  • 『黒船』角川書店 2007年
  • 『鑑賞 女性俳句の世界 第五巻 いのちの賛歌』角川学芸出版 2008年(共著)
  • 『中村和弘句集』(現代俳句文庫65)ふらんす堂 2009年
  • 『東海』角川書店 2012年
  • 『荊棘』ふらんす堂 2024年

脚注

  1. ^ 第47回 中村和弘”. 現代俳句協会. 2025年3月8日閲覧。
  2. ^ 句集『蠟涙』著者経歴より
  3. ^ 国際俳句交流協会役員 https://www.haiku-hia.com/about/chiefs.html
  4. ^ 現代俳句協会 https://gendaihaiku.gr.jp/about/award/association_award/page-4121/
  5. ^ 朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/DA3S16164669.html
  6. ^ 第17回(令和7年)受賞者 https://www.city.ono.hyogo.jp/soshikikarasagasu/kyoikuiinkai_kyoikukanribu_ikiikishakaisozoka/gyomuannai/5/1/1/13686.html

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