不利逃避とは? わかりやすく解説

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不利逃避

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/02/23 00:21 UTC 版)

不利逃避(ふりとうひ)とは、詰将棋における手筋の一つ。攻め方にわざと駒をタダ取りさせるによう玉方が応接する方が正解となる手筋をいう。

概説

詰将棋や将棋では、純粋に盤上の駒をタダ取りされることは、多くの場合は不利である。しかし例えば、盤上の駒が邪魔駒である場合に、相手に取らせることで邪魔駒の除去という目的を達成するなど、取らせることが有益である場合もある。

このとき、該当の駒を「タダ取りされた局面」と「タダ取りされない局面」(取られた駒と攻め方持ち駒以外に相違がない局面)を、玉方の応手で選択できるものであって、かつ前者が正解手順となる場合を不利逃避という。

原理と例題

「玉方駒の支障の除去」「攻め方駒の支障の除去」「いずれ取られる駒を先に取らせる」に分類できる。玉方駒の支障除去は、玉の逃路拡大か、味方の飛び駒(飛、角、香など)の利き筋確保である。攻め方の支障除去は、攻め方を強力にするものであり、打ち歩詰めに関連する。

玉方駒の支障の除去

▲持ち駒 銀
図1
▲持ち駒 なし
図2
▲持ち駒 香
図3

図1で▲2五銀には、香を取られることを防いで△1五玉(図2)が良いように見えるが、▲3七馬、△2五玉、▲2六馬、△2四玉、▲3五馬、△1五玉、▲2四銀(または▲2六銀)で詰む。この手順で、玉方の1四香は玉の逃路を妨害していることが分かる。

そこで、2手目に△1三玉として、▲1四銀、△2四玉、▲2五銀、△1五玉(図3)とするのが不利逃避である。図2と比較して、玉方は1四香の除去に成功するため、図2以下と同一手順では詰まなくなる。

(図1は▲2五銀、△1三玉、▲1四銀、△2四玉、▲2五銀、△1五玉、▲3七馬、△2五玉、▲2六馬、△2四玉、▲3五馬、△1四玉、▲1五香、△同玉、▲2四銀、△1四玉、▲2六桂まで17手詰)

攻め方駒の支障の除去

▲持ち駒 銀歩
図4
▲持ち駒 歩
図5
▲持ち駒 桂歩
図6

図4で、▲5五銀に対して4六桂を取られないように△5三玉(図5)とすると、▲5四歩以下容易に詰めることができる。

そこで、2手目に△4五玉として、▲4六銀、△5四玉、▲5五銀、△5三玉(図6)とすると、4六桂が除去されて打ち歩詰めの局面になっていることが分かる。攻め方は獲得した桂を用いて、打ち歩詰めを打開する。

(図4は▲5五銀、△4五玉、▲4六銀、△5四玉、▲5五銀、△5三玉、▲4五桂、△同桂、▲5四歩、△4二玉、▲3三金、△3一玉、▲3二金まで13手詰)

いずれ取られる駒を先に取らせる

▲持ち駒 飛歩
図7
▲持ち駒 歩
図8
▲持ち駒 角歩
図9

図7で▲2六飛に、2五角を取られないように△1七玉(図8)としてみる。以下、▲2七飛、△1六玉、▲1七歩、△1五玉、▲2五飛となり、最終的には角を取ることに成功して詰みに至る。

そこで、2手目に△1五玉として、▲2五飛、△1六玉、▲2六飛、△1七玉(図9)とすると、この間の手順で攻め方には角を用いた有効な手段がないため、結局は図8以下と同じ手順で詰めることになる。玉方は不利逃避をすることで、図8までの手数と図9までの手数の差である4手の手数延ばしに成功する。

(図7は▲2六飛、△1五玉、▲2五飛、△1六玉、▲2六飛、△1七玉、▲2七飛、△1六玉、▲1七歩、△1五玉、▲2五飛、△1四玉、▲2三角、△1三玉、▲1五飛、△2二玉、▲1一飛成、△同玉、▲1二金まで19手詰)

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