MITSUI OCEAN FUJIとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > MITSUI OCEAN FUJIの意味・解説 

MITSUI OCEAN FUJI

(三井オーシャンフジ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/06 04:15 UTC 版)

MITSUI OCEAN FUJI
シーボーン・オデッセイ時代
(2011年・スプリト港にて)
基本情報
運用者 シーボーン・クルーズ・ライン(2009-2024)
商船三井クルーズ(2024-)
経歴
起工 2007年7月11日[1]
竣工 2009年6月[2]
要目
総トン数 32,477 トン[3]
全長 198.15 m[3]
25.6 m[3]
喫水 6.4 m[3]
主機関 ディーゼル・エレクトリック[3]
出力 32,632馬力[3]
航海速力 19.0ノット[3]
旅客定員 458名[3]
乗組員 330名[4]
テンプレートを表示

MITSUI OCEAN FUJI(ミツイ・オーシャン・フジ)は、商船三井クルーズが運航しているクルーズ客船。運航会社名の漢字表記を用いた「三井オーシャンフジ」とも表記される[5]

概要

シーボーン・クルーズ・ラインの「シーボーン・オデッセイ(Seabourn Odyssey)」として、2009年6月、イタリアのT.マリオッティ造船所で竣工[2]。船価は2億5千万ドル[6][4]。6月24日にヴェネツィアで行われた命名式ではデビュークルーズの乗船客全員が命名者(ゴッドペアレント)となり、就航した[2]

ラグジュアリークラス[7]のクルーズ船である。スペースレシオ約71t/人、パセンジャークルーレシオは約1.4。客室数は229室でオールスイート、うち89%はベランダ付き[4][3]、全客室28平方メートル以上[7]。2019年5月にイタリア ジェノバで改修が行われ、内装・什器等の更新が行われている[8]

ディーゼルエンジン4基、電動機2基、2軸のディーゼル・エレクトリック方式を採用。各軸7.5 MW、合計15 MWのバルチラ製推進ドライブで駆動する。これはシンクロ変換器と同期モーターによる、正・逆両回転方向での加速・減速が可能なシステムである[9]バウスラスターは2軸。

同型の2番船が2010年[10]、3番船が2011年[11]に建造された。

2023年2月には商船三井がクルーズ事業拡大策の一環として購入、1年半程度シーボーン・クルーズでの運航を継続し[12]、2024年末を目処に改装の上で商船三井客船(現・商船三井クルーズ)に移籍し日本近海を中心とした運航を行う計画とした[13]。2023年10月に商船三井クルーズの新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」と合わせて新船名「MITSUI OCEAN FUJI」を発表[14][15]。富士山や1989年に就航した日本の近代的なクルーズ客船の先駆けとなった「ふじ丸」を意識したものとした[16]。2024年9月2日から25日のシアトル発横浜行きのクルーズを最後にシーボーンでの運航を終了[17]。25日に横浜港にて商船三井クルーズへの引渡式を実施、シーボーン時代の15年間で総航行距離859,554海里(約1,591,894 km)・乗客数180,454人・寄港地数426港を数えた[5]

船尾の船名と船籍港表示 (2024年12月)

2024年12月1日より「MITSUI OCEAN FUJI」として就航し横浜港新港ふ頭を起点に別府・釜山・下関を経由し東京港までの7日間のデビュークルーズを行い[18]、12月7日には東京国際クルーズターミナルでの就航記念イベントにて命名式を行い、四代目池坊専好が命名を行った[19]。従来の「にっぽん丸」によるショートクルーズや日本国内での運航と差別化し本船はバハマ船籍で海外寄港を含む5-10泊程度の運航を中心とし[20]、就航後1年半程を目処に日本船籍に移行する計画としている[15]。商船三井のファンネルデザインはオレンジ一色[21]であるが、2024年12月就航に際して色の変更は行われておらず、シーボーン・クルーズのロゴマークを商船三井クルーズのロゴマークに付け替える形としている[22]

船内

旧はシーボーン・オデッセイ時代の名称。

11階
  • サンライズデッキ - 旧サンテラス
  • アクティビティエリア「来光」 - 旧サンデッキ「ザ・リトリート」
10階
オブザベーションバー 36
  • ペントハウススイート(10室)
  • オーシャンビュースイート(4室)
  • ベランダスイート(1室)
  • オブザベーションバー「36」
9階
  • ペントハウススイート(12室)
  • ベランダスイート(2室)
  • バー「スカイバー」
  • フィットネスセンター
  • モーションスタジオ(ヨガ、エアロビクス、ピラティス、太極拳プログラムに使用)
  • スパ&ウェルネス「木霊 KODAMA」
  • ヘアサロン
  • トリートメントルーム
8階
テラスレストラン 八葉
  • オーナーズスイート(2室)
  • ベランダスイート(30室)
  • プールサイドレストラン&バー「湖畔」 - 旧カジュアルレストラン「ザ・パティオ」・バー「パティオバー」
  • プール「湖畔」
  • ダイニング「北斎FINE DINING」 - 旧グリルレストラン「ザ・グリルbyトーマス・ケラー」 三國清三が監修[20]
  • ビュッフェレストラン「テラスレストラン 八葉」 - 旧「ザ・コロナード」
7階
  • MITSUI OCEAN スイート - 旧シグネチャースイート(2室、隣接のベランダスイートと合わせ「グランドシグネチャースイート」として利用可)
  • ウィンターガーデンスイート(2室、隣接のベランダスイートと合わせ「グランドウィンタースイート」として利用可)
  • オーナーズスイート(1室)
  • ベランダスイート(44室)
  • 宝石・時計店「ザ・コレクション」
  • ショップ
  • コーヒーバー
  • ラウンジ・レセプション・ライブラリー・ワークスペース「MITSUI OCEANスクエア」[20] - 旧「シーボーンスクエア」
  • カードルーム
6階
  • オーナーズスイート(2室)
  • ベランダスイート(57室)
  • 劇場・ラウンジ「オーシャンステージ」 - 旧「グランドサロン」
5階
  • ベランダスイート(35室)
  • 会議室
  • ゲームルーム「オーシャンカジノ」 - 旧カジノ
  • オーシャンクラブ&バー - 旧ラウンジ「ザ・クラブ」・クラブバー
  • プール
4階
  • オーシャンビュースイート(26室)
  • メインレストラン「ザ・レストラン富士」(452席[20]) - 旧「ザ・レストラン」
3階
  • 診療室
2階
  • マリーナ

客室

全室をオーシャンビューとしオーシャンビュースイートを除く9割にバルコニーを備える[22]。上位5タイプの客室にはバトラーサービスを設定し、有料レストランの1回無料や「ザ・レストラン富士」の専用エリアを設定した[22]

船室タイプの一覧[22]
種別 部屋数 最大定員 面積 設備
MITSUI OCEANスイート 2室 82.4m2 リビングルーム、ウォークインクローゼット、
エンクローズドソラリウムバス、デイベッド
、テレビ、ジェットバス、洗浄機能付きトイレ、冷蔵庫
シグネチャースイート 2室 87m2 リビングルーム、ウォークインクローゼット、
テレビ、ジェットバス、洗浄機能付きトイレ、
冷蔵庫
ラグジュアリースイート 5室 55.7-
872
ペントハウススパスイート 4室 48.8-
49.4m2
リビングエリア、ウォークインクローゼット、
テレビ、バスタブ、洗浄機能付きトイレ、
冷蔵庫
ペントハウススイート 23室 39.7-
54.82
ベランダスイート 167室 26.4-
30.22
オーシャンビュースイート 26室 25.3-
29.4m2

同型船

2番船 「シーボーン・ソジャーン(Seabourn Sojourn)」
2010年5月26日竣工[10]
3番船 「シーボーン・クエスト(Seabourn Quest)」
2011年5月31日竣工[11]

脚注

  1. ^ 『世界の艦船』2007年10月号、p.191
  2. ^ a b c 『世界の艦船』2009年9月号、p.136
  3. ^ a b c d e f g h i 『世界の艦船』2025年2月号、p.118
  4. ^ a b c 『クルーズ客船データブック 2022・2023』、p.349
  5. ^ a b 全室スイートの客船「MITSUI OCEAN FUJI(三井オーシャンフジ)」、12月デビュークルーズに向けて引き渡し完了 - トラベルWatch
  6. ^ 『世界の艦船』2009年7月号、p.157
  7. ^ a b 3万2千トン型クルーズ船購入~2024年末、ラグジュアリークルーズ船を追加投入~”. 株式会社商船三井 (2023年3月17日). 2025年1月8日閲覧。
  8. ^ Isabella Sullivan (2019年7月15日). “Take a Look Inside Seabourn’s Multi-Million Dollar Renovation of Seabourn Odyssey”. World of Cruising. 2025年1月8日閲覧。
  9. ^ Wärtsilä (2016年). “Diesel-Electric Propulsion Systems”. 2025年1月3日閲覧。
  10. ^ a b 『世界の艦船』2010年8月号、p.134
  11. ^ a b 『世界の艦船』2011年8月号、p.151
  12. ^ 世界一周運航へ、商船三井が購入したクルーズ船の全容 - ニュースイッチ(日刊工業新聞)
  13. ^ ビジネス短信 商船三井、米シーボンクルーズからクルーズ船購入、2024年末に運航開始へ - 日本貿易振興機構
  14. ^ 新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」と船名「MITSUI OCEAN FUJI」を発表~日本発祥のウェルビーイングを実現~ - 商船三井
  15. ^ a b 商船三井、新クルーズブランド名と第1弾船名を発表、世界一周も - WEB CRUISE
  16. ^ 豪華クルーズ船さらに投入!!「ミツイ・オーシャン・フジ」全貌あきらかに 「にっぽん丸」と2隻体制へ - 乗りものニュース
  17. ^ 「シーボーンオデッセイ」 USPHの船舶衛生検査で100点満点 - みなと総合研究財団
  18. ^ 新クルーズ船 MITSUI OCEAN FUJI デビュー出航歓迎イベント - 横浜観光情報(横浜市観光協会)
  19. ^ 新クルーズ船「MITSUI OCEAN FUJI」就航記念イベントを実施~華道家元池坊の池坊 専好氏が命名~
  20. ^ a b c d 日本の新たな高級クルーズ船「三井オーシャンフジ」が就航、40代・50代も呼び込む船内を取材した - トラベルボイス
  21. ^ 船のファンネルデザインに隠された秘密とは”. 商船三井. 2020年12月4日閲覧。
  22. ^ a b c d 全室スイートのラグジュアリー客船「三井オーシャンフジ」見てきた! 三國清三シェフ監修ダイニングなど美食と美麗な船内にうっとり - トラベルWATCH

参考文献

  • 海人社『世界の艦船』2007年10月号 No.680
  • 海人社『世界の艦船』2009年7月号 No.708
  • 海人社『世界の艦船』2009年9月号 No.711
  • 海人社『世界の艦船』2010年8月号 No.728
  • 海人社『世界の艦船』2011年8月号 No.745
  • 海人社『世界の艦船』2025年2月号 No.1034
  • 海事プレス社『クルーズ客船データブック 2022・2023』CRUISE 2022年5月臨時増刊

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、MITSUI OCEAN FUJIに関するカテゴリがあります。




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  MITSUI OCEAN FUJIのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「MITSUI OCEAN FUJI」の関連用語

MITSUI OCEAN FUJIのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



MITSUI OCEAN FUJIのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのMITSUI OCEAN FUJI (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS