ロイガレ・ブアダハとは? わかりやすく解説

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ロイガレ・ブアダハ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/22 09:45 UTC 版)

ロイガレ・ブアダハ勝利のロイガレアイルランド語: Lóegaire Búadach[1]アルスター物語群に分類される説話に登場する人物。 クー・フーリンコナル・ケルナッハ英語版と同じくルズリゲ氏族英語版 [2] の出身とされ、コンホヴァル・マク・ネサは彼の再従兄弟にあたる。コナル・ケルナッハ、クー・フリンと並び立つアルスターの大英雄。彼の武具の名前はニーハ(Nithach)。

ロイガレ・ブアダハの名は歴史上の人物であるオソリ族英語版の有力者Lóegaire Birn Búadach英語版[3]に由来するかもしれないと推定されている[4]

家系図

ホーガン英語版の王立アイルランドアカデミーにおける講義集には ルズリゲ氏族の伝統的な家系図が、正確とは言えない[5]との断り付きで掲載されている[6]

ルズリゲ ()
コンガル () Ros
?Catbad drai? Macclách ロイフ Caas イレフ Glas Athclo
フィンハイウ ()[7] Irgalach フェルグス[8] () ファフトゥナ () コナズ ?Ferfiled? Atherne Algessach
コナル・ケルナッハ () デヒテラ () コンホヴァル王 ロイガレ Cairell Coscarach Aed Anglonnach ウテヒル
Aed Caem Iriel Glumnar クー・フーリン フェデルム[9] () Clothra ケルトハル ()
Fínscoth[10] エルク[11] ()

概要

ロイガレはアルスターの重要な武者の一人であるが、クー・フーリンのような超人的な英雄としてではなく やや滑稽な役割を担った人物として語られる。 『ロイガレ・ブアダハの最期ドイツ語版』において、 彼は自らの家の前の湖で溺死させられようとするフィリ英語版のアイド・マク・アンニネ [12] を救おうと勇ましく家から飛び出すが、その際にまぐさに頭をぶつけ死に至る。

アイルランドの神や伝説上の人物はその性質を時に変えつつもウェールズの伝承の中で語られることがしばしばあり、 このロイガレもそうした例の一つに挙げることができる。 『キルッフとオルウェン』におけるキルッフがアルスル王の戦士たちの名を列挙する場面では、 アルスター物語の登場人物を指すと推定される複数の人物の名に触れられる。 この中でスベル・ボイサッハ[13] はこのロイガレの事を指すと推定されている[14]

 注 

  1. ^ 金光訳ではレーアラ・ブアダッハ(リース 2001, p. 641)。英国風の名が用いられているサトクリフの再話では栄光のライリー(サトクリフ 2003)。
  2. ^ アルスターの人々が自らを指して呼んだ名。名祖となったルズリゲ (Rudraige) のRudは「赤」を意味すると考えられている。 『フリディッシュの牛捕り英語版』ではデザ、ガヴァンラズと共に3つの戦士の氏族の一つとして挙げられている。
  3. ^ 金光訳ではレーアラ・ベルン・ブアダッハ(リース 2001, p. 641)。
  4. ^ リース 2001, p. 641.
  5. ^ "This pedigree of the Clann Rudraige in not quite as authentic as that of the descendants of the Godolphin Arabian; but it is here given as throwing some light on our story."
    Godolphin Arabianとはサラブレッド三大始祖の一つゴドルフィンアラビアンの事。ホーガン流のジョークか。
  6. ^ Hogan 1892, p. viii.
  7. ^ コンホヴァル・マク・ネサの姉妹とされることも。
  8. ^ フェルグス・マク・ロイヒ。この家系図ではRosの孫だが、息子とされることも。
  9. ^ Fedelm Noíchrothach.フェデルム・ノイヒリデ。「9つの心を持つ」フェデルム。『クーリーの牛争い』ではカルブレ王英語版との間に息子エルクを儲ける。一方、『ブリクリウの饗応英語版』ではロイガレの妻とされている。
  10. ^ クー・フーリンの娘。彼女がクー・フーリンの娘だとされるのは『クーリーの牛争い』成立より後の事である。
  11. ^ Erc mac Cairpri. エルク・マク・カルブリ
  12. ^ Aed mac Ainninne. コンホヴァル・マク・ネサの妻と関係を持った罪で処刑されるところであった。
  13. ^ Lluber Beuthach. 中野訳ではスベル・ボイサッハ(Anonymous 2000, p. 165)。井辻訳ではフルベール・ボイサッハ(ゲスト 2003, p. 123)。
  14. ^ Anonymous 2000, p. *14.

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