マルクス・アウレリウス騎馬像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/30 13:15 UTC 版)


マルクス・アウレリウス騎馬像[1](伊: Statua equestre di Marco Aurelio)は、ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの騎馬像。2世紀後半の作[1]。カピトリーノ美術館蔵[2]。カピトリーノ広場にレプリカがある[2]。
解説
青銅製[1][2]。蝋型鋳造により作られた[4]。長年の風雨に晒され、白濁している[2]。元来は全面に鍍金されていた[2][4]。皇帝と馬の顔などに金が残っている[4]。
皇帝は落ち着いた表情で、群衆の歓呼に応えるようなポーズをしている[2]。軍装ではなく、トゥニカに外套を羽織った普段着に近い姿をしている[2]。
気品・威厳・運動感が調和した、人馬一体の名品とされる[2]。
歴史
当初は近衛騎兵隊の兵舎にあったが、166年ごろ、皇帝のパルティア戦役の勝利を記念するため、ローマの凱旋門の上に置かれたと推定される[2]。
歴代ローマ皇帝の騎馬像は20体以上あったが、現存するのは本作のみである[2]。中世にはコンスタンティヌス大帝像と誤解され、10世紀以降はラテラノ教会前に放置されていた[2]。
1538年、ローマの都市整備に際し、本作の価値を再発見したミケランジェロの進言により、教皇パウロ3世がカピトリーノ広場に移した[2]。以降、君主の騎馬像の典型として、欧州各国の騎馬像に影響を与えた[2]。
1983年のアンドレイ・タルコフスキー監督の映画『ノスタルジア』には、登場人物が本作によじ登って演説したのち焼身自殺する、というシーンがある[2]。
1990年、保全のためカピトリーノ美術館に移転され、跡地に精巧なレプリカが置かれた[2]。
関連項目
脚注
- ^ a b c ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『マルクス・アウレリウス騎馬像』 - コトバンク
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 荻野弘之『マルクス・アウレリウス『自省録』精神の城塞』岩波書店〈書物誕生 あたらしい古典入門〉、2009年。ISBN 978-4000282932。99-100;108-109頁。
- ^ “Equestrian statue of Marcus Aurelius | Musei Capitolini”. www.museicapitolini.org. 2025年8月27日閲覧。
- ^ a b c 鈴木徹;秋山信茂「イタリア美術の一考察 (ローマの彫刻)」『教育学部紀要』第34号、文教大学、2000年。 NAID 110000330540 。116-117頁。
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