ブエノスアイレスのマリア
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ブエノスアイレスのマリア(es:María de Buenos Aires)とはオラシオ・フェレール(Horacio Arturo Ferrer Ezcurra)の台本をもとにアストル・ピアソラが作曲した全2部16場のタンゴオペレッタ(tango operita)。
初演は1968年にブエノスアイレスで行われた。
なお、ピアソラは「アヴェ・マリア」という曲も作曲しているが、これとは別の曲である。
概要
アルゼンチンに生まれたマリア(タンゴという音楽を擬人化したもの)は、様々な「経験」をし「変化」していく。このタンゴによるオペレッタは、「彼女」の生、栄光、苦悩、そして復活を物語っている。甘美で情熱的でノスタルジックな音楽が繰り広げられる。ナディア・ブーランジェに師事したピアソラの、タンゴへの愛──音楽への愛が表れている。
1954年ナディア・ブーランジェに師事するためにフランスに来たが、彼の労作についてちっとも感心しなかった。しかし、あるとき彼の友人たちが「マドモアゼル」にタンゴの即興演奏で彼を凌ぐことは誰も出来ないということを告げた。そこで「マドモアゼル」は、はじめはピアソラが拒否したので、彼自身がタンゴでどのようなことができるか見せてほしいと熱心に食い下がった。長い時間にわたって彼の演奏を聞いたブーランジェは「これこそがあなたの分野です。交響曲などやめて、タンゴにあなたの力を注ぎなさい」と熱心に告げた。そして彼はやがて、タンゴの王となったのである。ピアソラは、ナディア・ブーランジェを自分の第二の母親だとよく語っていた。 — Spycket Jerome、 大西 穣 訳 『ナディア・ブーランジェ』 彩流社、2015年9月 ISBN 4779121361
曲の構成
第1部 :
第1場 アレヴァーレ(合図) - Alevare
第2場 マリアのテーマ - Tema de María
第3場 狂ったストリートオルガンのバラード - Balada Renga para un Organito Loco
第3場b わたしはマリア - Yo soy María
第4場 (少女マリアに捧げる)カリエーゴのミロンガ - Milonga Carrieguera por María la Niña
第5場 フーガと神秘 - Fuga y Misterio
第6場 ワルツになった詩(フルート、チェロと女声のために) - Poema Valseado Para flauta, cello y voz de mujer
第7場 罪深きトッカータ(バンドネオン、語り手とパーカッションのために) - Tocata Rea para Bandoneón, Recitante y Percusión
第8場 下水道の古い盗賊たちの場末の懺悔の歌 - Miserere Canyengue de los Ladrones Antiguos en las alcantarillas
第2部 :
第9場 マリアの最初の死のための葬儀のコントラミロンガ - Contramilonga a la funerala por la primera muerte de María
第10場 夜明けのタンガータ - Tangate del Alba
第11場 街路樹と煙突に寄せる手紙 - Carta a Los Arboles Y a Las Chimeneas
第12場 精神分析医たちのアリア - Aria de los Analistas
第13部 詩人で酔った小悪魔のロマンサ - Romanza del Duende Poeta y Curda
第14場 アレグロ・タンガービレ - Andante a la Sordina para mi Buenos Aires tan querido (Allegro Tangabile)
第15場 受胎告知のミロンガ - Milonguita de la Anunciación
第16場 タングス・ディ (神のタンゴ) - Tangus Dei
参考文献
- 斎藤充正、西村秀人編 『200discsピアソラ/タンゴの名盤を聴く』 立風書房、2000年3月 ISBN 4651820441
- Maria S. Azzi: A Grand Tango. The Life and Music of Astor Piazzolla. University Press, Oxford, 2000, ISBN 0-19-512777-3.
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