フラクタル圧縮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/22 08:36 UTC 版)
フラクタル圧縮(フラクタルあっしゅく、英: fractal compression)とは、コラージュ定理に基づいた高い圧縮率を達成する静止画像の非可逆圧縮手法である。自然の風景写真[注釈 1]でもいわゆるアニメ絵でも同様に圧縮できる。
復号はほぼ線形時間で可能であるが符号化は計算量が非常に多く、特許による制約があることから商業的関心は薄い。
特徴
原画像の縮小画像から生成されたコラージュが原画像を良好に近似しているならば、任意の画像から同様にして生成されたコラージュも反復すれば原画像を良好に近似するようになる、というコラージュ定理に基づいている。このコラージュ定理はフラクタルの一種である反復関数系に関わる定理であり、フラクタル圧縮の発明者であるマイケル・バーンズリーによる。
コラージュ定理がピクセル計算に基づく定理ではないことからフラクタル圧縮は、写真をはじめとしたラスター形式の画像を対象としているにもかかわらず圧縮後は非ピクセルベースの情報を扱う特徴がある。この特徴は、入力も出力もラスター形式であるにもかかわらずベクタ形式と同様に拡大しても基本的に劣化しないという特異性を与えている。この特性は言い換えれば「破綻の少ない引き伸ばしが容易」という事になる。
厳密にはレンジブロック境界に存在するブロックノイズが[注釈 2]拡大されて劣化を生む。また、そもそもが非可逆圧縮であるので原画像と比較すれば劣化はある。
原理
コラージュ定理が、縮小関数の反復関数系は必ず不動点を持つという不動点定理の応用に基づいており、それがそのままフラクタル圧縮の原理となっている。
フラクタル圧縮と同じ種類の言葉
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