フザリウム萎凋病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/10 22:04 UTC 版)
フザリウム萎凋病(フザリウムいちょうびょう、英: Fusarium wilt)は、フザリウム属の菌類によって植物に重篤な萎凋(しおれる病徴)を生じる病害の一種[1]。
F. oxysporumの寄生によって生じる導管病やF. solaniの寄生によって生じる根腐病を総称して「フザリウム病」といい、それぞれの作物に現れる症状に応じて病名が付けられている[2]。このうち萎凋を病徴とするものであるが、つる割病、萎凋病、萎黄病など植物によって名称は異なる[1]。英語のwiltは全身がしおれる症状を示す萎凋を意味する[3]。
病名と病原
つる割病、萎凋病、萎黄病など植物によって病名は異なる[1]。ここでは病名の英名がFusarium wiltのものを挙げる。
- イチゴ萎黄病 - Fusarium oxysporum f. sp. fragariae[4][注釈 1]
- エンドウ萎凋病 - Fusarium oxysporum f.sp. pisi[7]
- カンキツフザリウム立枯病 - Fusarium oxysporum f.sp. citri[8]
- シクラメン萎凋病 - Fusarium oxysporum f.sp. cyclaminis[9]
- トマト萎凋病 - Fusarium oxysporum f.sp. lycopersici[10]
- バナナパナマ病 - Fusarium oxysporum f.sp. vasinfectumなど[11]
- ワタ立枯病 - Fusarium oxysporum f.sp. vasinfectumなど[12]
脚注
注釈
- ^ バーティシリウム・ダーリエ(Verticillium dahliae)を病原とするイチゴ萎凋病とは異なる[5]。糸状菌のバーティシリウム・ダーリエ(Verticillium dahliae)でも萎凋性病害が引き起こされ、こちらは一般的に半身萎凋病と呼ばれるが、同菌が引き起こすものにもかかわらずイチゴ萎凋病のように「半身萎凋病」と名付けられていないものもある[6]。
出典
- ^ a b c 清水 将文. “土壌の病害抑止力を高める拮抗微生物集積誘導剤の開発に向けて”. 日本生物防除協議会. 2025年9月6日閲覧。
- ^ 駒田 旦「野菜のフザリウム病」『化学と生物』第17巻第12号、公益社団法人 日本農芸化学会、1979年、791-798頁。
- ^ “関連用語集 glossary”. 東京農工大学 植物病理学研究室. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “イチゴ萎黄病”. 農研機構 日本植物病名データベース. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “イチゴ萎凋病”. 農研機構 日本植物病名データベース. 2025年9月6日閲覧。
- ^ 宇佐見 俊行、伊藤 瑞穂「植物病原糸状菌の寄生性分化 : 半身萎凋病菌の病原性系統とレース」『土と微生物』第69巻第1号、日本土壌微生物学会、2015年、30-33頁。
- ^ “エンドウ萎凋病”. 農研機構 日本植物病名データベース. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “カンキツフザリウム立枯病”. 農研機構 日本植物病名データベース. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “シクラメン萎凋病”. 農研機構 日本植物病名データベース. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “トマト萎凋病”. 農研機構 日本植物病名データベース. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “バナナパナマ病”. 農研機構 日本植物病名データベース. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “ワタ立枯病”. 農研機構 日本植物病名データベース. 2025年9月6日閲覧。
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