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フィリップ・ン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/28 02:04 UTC 版)

フィリップ・ン
伍允龍
2024年
生年月日 (1977-09-16) 1977年9月16日(47歳)
出生地 香港
職業 俳優、アクション監督、武術家
活動期間 2001-
主な作品
トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦
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フィリップ・ン
各種表記
繁体字 伍允龍
簡体字 伍允龙
拼音 Ng5 Wan5-lung4 ン ワンロン(粤拼
Wǔ Yǔn-lóng ウー ユェンロン (拼音
英語名 Philip Ng
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フィリップ・ン伍允龍、Philip Ng,1977年9月16日 - )は香港の俳優、アクション監督、武術家。映画業界での活躍のほか、蔡李佛拳詠春拳の武術師範としても活動している[1]

来歴

幼年~青年時代

フィリップ・ンは1977年9月16日に香港で生まれた。7歳の時に家族でアメリカ合衆国へ移住し[1]。少年時代の大部分をイリノイ州シカゴで過ごした[2]

シカゴ在住中に、両親がチャイナタウンで借りてきた、ジャッキー・チェン主演の『ドランクモンキー 酔拳』のビデオを観て大きな衝撃を受け、アクション俳優に憧れを抱くようになる[3]

父親の伍紹華は蔡李佛拳の継承者であり[1]、2人の叔父も中国武術の師範(1人は洪拳、1人は詠春拳[4])という家庭環境で育ち、渡米した7歳から武道を学び始めた[3]

7歳で、蔡李佛拳を第5代目継承者である父から学び始める[1]。 13歳の時、同級生にいきなり殴られ、倒されてしまった時に、今まで何を学んでいたのか、と疑問を感じ、真面目に武道を学び、これを極めて、立派な武道家になろうと考えるようになった[3][5]

13歳で叔父から詠春拳を学び始め[1]、その後、詠春拳をより深く学ぶため、16歳で米国を離れ香港に戻り、有名な詠春拳の師範・黄淳樑中国語版葉問の弟子であり、過去にはブルース・リーに詠春拳の指導をしていた)に弟子入りし、葉問(イップ・マン)の嫡孫弟子となった[1][4]。その後、黃淳樑の下で修行を続けていたが、1997年に黃淳樑が亡くなり、生前の師の勧めによってアメリカで詠春拳の指導を始める。イリノイ大学でイリノイ詠春拳協会を設立し、5年間ヘッドインストラクターを務めた[1]。また、1997年に父親の伍紹華とともに、伍家國術會(Ng Family Chinese Martial Arts Association)を設立した[1]

学生時代はグラフィックデザインを専攻し、さらにイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で教育学の学士と修士号を取得し[6]、その後、教員として1年間働いたが、武術家となり、サモ・ハン・キンポージャッキー・チェンのように映画俳優として活躍するという夢を諦めきれず[2]、2001年に24歳で香港に戻り、映画業界に飛び込んだ[3]

映画業界での活動

香港に戻った後は、チン・カーロウ(錢嘉樂中国語版)率いるスタントマンチーム「錢家班」のメンバーとなった。間もなく、『ツインズ・エフェクト』(2003年公開)のオーディションで端役のヴァンパイア役に選ばれ、憧れのジャッキー・チェンとの共演を果たす。また、そのオーディションには、その後、長年の知己となるアクション監督の谷垣健治がアクションチームの一人として立ち会っていた[3]

同年公開の映画、『スター・ランナー』では俳優やスタントマンのほか、チン・カーロウの下で初めて副アクション監督を務めた[3][7]。また、親友であるヴァネス・ウー(呉建豪)とアンディ・オン(安志杰)の二人とも、この映画の共演で出会った[3]

テレビドラマ『詠春』(2007年放送)ではニコラス・ツェー(謝霆鋒)と共演し、彼に詠春拳を教えて師弟関係となった[3][8]。ニコラス・ツェーの紹介で、2013年にウォン・ジン(王晶)傘下のスタジオの俳優となり[9]、『惡戰 Once Upon a Time in Shanghai』(2014年公開)では、初の主演を務めた。

その後、テレビドラマ『城寨英雄』(2016年放送)、および『バース・オブ・ザ・ドラゴン』(2018年公開)、『ダブルフェイス 潜入者』(2019年公開)でも主演を務める。

トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』(2024年公開)では、悪役の王九を演じて注目を集め、第18回アジア・フィルム・アワードおよび第43回香港電影金像奨の助演男優賞の候補となっている[10]

このほか、2019年には、ウォン・ジンの会社との契約期間が終わり、友人の呂冠南中国語版とともに映画製作スタジオを設立し、プロデューサーとしても活動を始めた[11] [12]。2024年に撮影済みで編集中の新作映画『無名火』では、俳優、アクション監督、プロデュースを兼任する[3]

映画界での活躍以外に、伍家國術會において蔡李佛拳詠春拳の武術師範としても活動し、伝統武術の普及に努めている[1]

主な出演作品

映画

題名 役名 備考
2001 野獸之瞳 BORN WILD 惡棍
2003 ツインズ・エフェクト
千機變
ヴァンパイア
スター・ランナー
少年阿虎
俳優、スタント、武術指導で参加
2004 香港国際警察/NEW POLICE STORY
新警察故事
黃文傑
エンター・ザ・フェニックス
大佬愛美麗
阿寶
2005 ドラゴン・プロジェクト
精武家庭
King
擊情歲月 海東(少年)
ドラゴン・スクワッド
猛龍
李振北
2006 獨家試愛 Philip
至尊無賴 鴻飛
禁室培育之愛的俘虜 宏太
2007 十分愛 Micheal
インビジブル・ターゲット
男兒本色
老虎仔
2008 プレイボーイ・コップス
花花型警
劫匪
六樓后座2家屬謝禮 Pete
機動部隊-人性 劫匪
2009 Somebody to Love Jeff
回路 John Wei
孫文の義士団
十月圍城
白缺(暗殺者)
2011 トレジャー・オブ・ドラゴン
財神客棧
鹰王于峰
ビーチ・スパイク!
熱浪球愛戰
Coach
無價之寶 東方虎
ビッグ・ブルー・レイク
大藍湖
戲劇導演
2012 爛賭夫鬥爛賭妻 Sam Wong
ネイキッド・ソルジャー 亜州(アジア)大捜査線
絕色武器
黑龍
2013 古惑仔:江湖新秩序 楊添
笑功震武林 洛天
2014 惡戰 Once Upon a Time in Shanghai中国語版 馬永貞中国語版 主演
ゴッド・ギャンブラー レジェンド
賭城風雲
陳龍
天師鬥殭屍 奶油豬
屍城 ZOMBIE FIGHT CLUB Jason Wu
2015年 ワイルド・シティ
迷城
关sir
2016年 バース・オブ・ザ・ドラゴン英語版
龍之誕生
ブルース・リー 主演
辣警霸王花 Roy
2017年 黑白迷宮 高天
大嫂 陳傑 オンライン映画
追龍中国語版
追龍
偉文
2018年 低壓槽 保安隊長
2019年 ダブルフェイス 潜入者中国語版
潛行者
小伍 主演
2020年 燃えよデブゴン TOKYO MISSION
肥龍過江
白服の殺し屋
2024年 トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦
九龍城寨之圍城
王九
スタントマン 武替道中国語版
武替道
ワイ(威)
(梁志威)
日本では2025/7/25公開[13]
2025年 臨時決鬥中国語版 王十 [14]

TVドラマ

タイトル 備考
2004 Made In Hong Kong アメリカのドキュメンタリードラマ
天下無敵 Leo 香港電台製作
2007 詠春 陳華順 寰宇娛樂製作
2011 火速救兵 劉光明 香港電台製作
2012 火速救兵II 戴偉軒
2016 城寨英雄中国語版 龍成虎 主演。無綫電視製作
2018 冒險王衛斯理 羅約翰 配信ドラマ
兄弟 何鐵男 無綫電視製作
2022 鐵拳英雄 夜來吉

武術指導作品

タイトル 担当
2003 スター・ランナー
少年阿虎
助理武術指導
(副アクション監督)
2005 Mulawin: The Movie
ドラゴン・スクワッド
猛龍
2008 Kinta 1881
2009 神探妙夫妻 武術指導
(アクション監督)
2011 Bloodtraffick
2013 古惑仔:江湖新秩序
2014 天師鬥僵屍
屍城 ZOMBIE FIGHT CLUB

主な受賞歴

部門 作品名 結果
2016 星和無綫電視大獎2016 我最愛TVB男配角 城寨英雄中国語版 ノミネート
TVB 馬來西亞星光薈萃頒獎典禮2016 最喜愛TVB男配角 最後三強
最喜愛TVB電視角色 受賞
最喜愛TVB熒幕情侶 城寨英雄(劉佩玥と) ノミネート
萬千星輝頒獎典禮2016 最佳男配角 城寨英雄 ノミネート
Yahoo! 搜尋人氣大獎2016 人氣電視螢幕情侶 城寨英雄(劉佩玥と) 受賞
2025 第18回アジア・フィルム・アワード 助演男優賞 トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦 ノミネート
第43回香港電影金像奨 助演男優賞 トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦 ノミネート

出典

  1. ^ a b c d e f g h i Ng Family Chinese Martial Arts Association (2000年). “Philip Wan-Lung Ng 簡介”. 2025年3月8日閲覧。
  2. ^ a b 雖然不是英雄 伍允龍”. 東周網 (2024年5月17日). 2025年3月8日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i くれい響 (2024年11月29日). “無敵すぎる悪役を怪演! 香港No.1ヒット作でブレイクしたアクション俳優フィリップ・ンのこれまで”. CREA. 2024年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年3月8日閲覧。
  4. ^ a b 最揪得碩士 伍允龍:我斷過兩條肋骨”. 東方新地 (2016年8月20日). 2024年6月29日閲覧。
  5. ^ 打詠春需要7個不同關鍵發力位 伍允龍談功夫背後的戰術與學問/”. 新城八大家 (2024年10月16日). 2024年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年3月9日閲覧。
  6. ^ 伍允龍受邀去中大講座任嘉賓-身價急升文武雙全擁碩士學位”. 香港01 (2024年12月1日). 2025年3月9日閲覧。
  7. ^ “人物 — 安志杰x伍允龍 難兄難弟”. 晴報. (2014年1月8日). https://hk.news.yahoo.com/%E4%BA%BA%E7%89%A9-%E5%AE%89%E5%BF%97%E6%9D%B0x%E4%BC%8D%E5%85%81%E9%BE%8D-%E9%9B%A3%E5%85%84%E9%9B%A3%E5%BC%9F-224711438.html 2025年3月9日閲覧。 
  8. ^ 伍允龍構築功夫夢” (中国語). 大公報 (2018年5月16日). 2024年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年3月9日閲覧。
  9. ^ 王志強 (2018年11月13日). “【伍允龍專訪1】感謝霆鋒扶持 「我被叫奀星他感不值」”. 明報周刊. 2024年6月30日閲覧。
  10. ^ 第43屆 香港電影金像獎 提名及得獎名單”. 香港電影金像奨HP. 2025年3月9日閲覧。
  11. ^ 溫敏芝 (2024年5月10日). “【「王九」演技大爆發 伍允龍經歷「一百個No」低潮|伍允龍專訪”. 明報周刊. 2025年3月9日閲覧。
  12. ^ 高手過招!伍允龍凌空飛踢安志杰愈戰愈強”. 東網 (2024年5月15日). 2025年3月9日閲覧。
  13. ^ 『スタントマン 武替道』7月25日公開決定!”. Fan's Voice (2025年3月17日). 2025年3月20日閲覧。
  14. ^ 賀歳動作喜劇電影《臨時決鬥》煞科 古天樂成演員打卡對象 角色人物造型首曝光” (中国語). Yahoo! News (2024年11月28日). 2025年3月6日閲覧。

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