ビエトの解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 06:39 UTC 版)
3解がいずれも実数であれば、還元不能であるが、代数的な表記でなくてもよければ、虚数を使わずに解を表すことができる。フランソワ・ビエトは、三角関数の三倍角の公式 cos 3α = 4 cos3 α − 3 cos α を変形した cos3 α = 3/4 cos α + 1/4 cos 3α (2cos α)3 = 3(2cos α) + 2cos 3α と三次方程式 x3 = px + q の類似性に着目し、p = 3a2, q = a2b とおいた式 x3 = 3a2x + a2b を考えた。 (x/a)3 = 3(x/a) + b/a … (1) もし x/a = 2 cos α すなわち x = 2a cos α ならば、 cos 3 α = b 2 a {\displaystyle \cos 3\alpha ={\frac {b}{2a}}} … (2) α = 1 3 arccos b 2 a {\displaystyle \alpha ={\frac {1}{3}}\arccos {\frac {b}{2a}}} x = 2 a cos α = 2 a cos ( 1 3 arccos b 2 a ) {\displaystyle x=2a\cos \alpha =2a\cos \left({\frac {1}{3}}\arccos {\frac {b}{2a}}\right)} という解が得られる。この解のことをビエトの解という。 この三次方程式が相異なる 3個の実数解を持つ時、(1) の判別式 D = − { 4 ( − 3 ) 3 + 27 ( − b a ) 2 } = 27 { 4 − ( b a ) 2 } > 0 {\displaystyle D=-\left\{4(-3)^{3}+27\left(-{\frac {b}{a}}\right)^{2}\right\}=27\left\{4-\left({\frac {b}{a}}\right)^{2}\right\}>0} ∴ | b 2 a | < 1 {\displaystyle \therefore \ \left|{\frac {b}{2a}}\right|<1} したがって(2) は 0 < 3α < π、つまり 0 < α < π/3 に解を 1 つ持つ。この解を α1 とすれば、他の解は α2 = α1 + 2π/3, α3 = α1 + 4π/3 と表せ、これに対応して 3個の実数解が定まる。 この時は実数の計算だけで解を得ることができた。ただし、逆三角関数や三角関数の計算を含むため厳密な値を得るのは大変である。 三次方程式 x3 = px + q が相異なる 3個の実数解を持つならば、p > 0, | x | < 2 p 3 {\displaystyle |x|<2{\sqrt {\frac {p}{3}}}}
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