ヒカリ新世紀の育成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/11 04:10 UTC 版)
在来種十石が持つ半矮性遺伝子sd1をコシヒカリに移入することによって、コシヒカリの短稈化が図られた。十石とコシヒカリの早生突然変異系統関東79号との交雑が行われた。両親の出穂期が約1ヶ月違うため、雑種第2世代F2には両親間にまたがる様々な出穂期の個体が分離したため、雑種第4世代まで系統育種法が展開され、出穂期がコシヒカリに近い短稈系統(半矮性遺伝子sd1sd1ホモ接合体)、すなわち、出穂期の遺伝子がコシヒカリと同じで、sd1を持つ短稈系統が選抜された。こうして、1回目の交雑F4世代までに出穂期に関する遺伝子をコシヒカリから受け継いだ短稈系統が育成された。 この短稈系統が含むコシヒカリのゲノムはまだ50%程度であり、sd1以外の遺伝子をコシヒカリに入れ替えるために、さらにコシヒカリとの戻し交雑が8回行われた。すなわち、この短稈系統を一回親にして、コシヒカリを反復親とする連続8回の戻し交雑が行われ、半矮性遺伝子sd1以外はコシヒカリのゲノムに入れ替えられた。各戻し交雑の第1世代BCnF1で半矮性遺伝子をSd1sd1ヘテロ接合で持つ個体が選抜され、コシヒカリを母親にして戻し交雑が行われた。すべての戻し交雑で翌年には必ずBCnF2が展開され、短稈個体(sd1sd1 ホモ接合体)が分離することを確かめつつ、BCnF1への交配が先行して進められた。BC8F3世代で半矮性遺伝子sd1以外は99.8%以上コシヒカリのゲノムに入れ替えられた短稈のsd1ホモ接合体が固定され、短稈コシヒカリの育成が完了した。
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