バルマー不連続
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/08 21:45 UTC 版)

バルマー不連続[2](バルマーふれんぞく、英: Balmer discontinuity)またはバルマー飛躍[3](バルマージャンプ[4]、英: Balmer jump)、もしくはバルマーブレイク[4](英: Balmer break)は、主に天体のスペクトルにおいて、水素原子のバルマー系列による線吸収の極限でみられる、連続光スペクトルの段差のことである[4]。
説明
バルマー不連続の段差は、水素原子のバルマー系列による光子の吸収が、束縛-束縛遷移による離散的な吸収から、束縛-自由遷移による連続的な吸収へと変化する波長、364.6ナノメートル(3646Å)をはさんだ長波長側と短波長側の間でみられる[4][5]。この波長は、バルマー端(英: Balmer limit)ともいわれる[4][5]。バルマー端よりも短波長側は、完全な電離状態との間での遷移となる[5]。
バルマー不連続は、水素原子の精密な理論模型からスペクトルを再現すると、バルマー端においてスペクトルは滑らかに連続しており、厳密には「不連続」というのは正しくない[6]。それでも、バルマー端を境とするスペクトルの変化には、意味がある[6]。
恒星

恒星のスペクトルにおいては、B型星からA型星にかけてバルマー不連続の落差が顕著で、このことは二色図で主系列と黒体放射との乖離が、B型星からF型星までの間で大きくなる原因となっている[4][7]。段差の大きさ、つまりバルマー端の両側での連続光水準の強度差は、バルマー線を生じる水素が分布する領域の物理状態と密接な関係がある[5]。B型星からF型星にかけて、スペクトル型とバルマー不連続との間に関係があるので、不連続の落差は恒星の有効温度に大きく左右されると考えられるが、実際には同じ有効温度でも恒星によってバルマー不連続の落差はばらつきが大きく、表面重力や圧力にも強く影響を受ける[8][9][5]。
恒星の物理状態の指標としてバルマー不連続を定量的に扱う場合、その数値Dは、
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