チャープ信号とは? わかりやすく解説

チャープ信号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/09 17:25 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

チャープ信号とは、時間とともに周波数が増加(「アップチャープ」)するか、時間とともに周波数が減少(「ダウンチャープ」)するような信号である。スイープ信号と同等の意味でつかわれることもある[1]。一般的にソナー及びレーダーで使用されるが、スペクトラム拡散通信のように他の用途でも利用される。スペクトル拡散で使用する場合には、RAC (reflective array compressors)のような表面弾性波デバイスを使って生成や復調されることが多い。光学系では、光学伝送路材料の持つ分散特性によってパルス信号の分散が増加したり、減少したりすることで、超短レーザパルスがチャープ信号に変化してしまう場合もある。チャープと言う名前は英語での鳥の発するチャープ音(さえずり)がもとになっている。

チャープのタイプ

線形チャープ信号

線形チャープ波形。時間とともに線形に周波数が増加するサイン波
線形チャープのスペクトログラム。このスペクトログラムプロットは、時間とともに周波数が線形に変化していることを示している。この場合、2.3秒ごとに0Hzから7KHzへの変化が繰り返されている。プロットの輝度は、その点の周波数、時刻のエネルギーに比例している。

線形チャープでは、瞬時周波数

指数チャープ波形; 時間とともに周波数が指数的に増加する正弦波。
指数チャープ信号のスペクトログラム. 周波数が、時間の関数として指数的に変化している様子が示されている。この例では、ほぼ0Hzから8KHzまでが毎秒繰り返されている。もう一つわかることは、6KHzの山を越えると周波数が低下していることであるが波形を生成した手法に固有の問題であろう。

幾何チャープ、指数チャープとも呼ばれる、では信号の周波数が時間に対して指数関数的に変化する。言い換えると、波形の2つの点、

チャープとインパルス信号、並びにそれぞれの一部のスペクトル成分。

チャープ信号は、インパルス信号と同様のスペクトル成分を持つが、各周波数の位相成分が異なる。[2][3][4] つまり パワースペクトルは類似しているが、各スペクトルの位相は異なる。インパルス信号が信号伝送路の分散特性により予期せずチャープ信号となることがある。 多くの実用的な応用において、チャープ信号はインパルス信号に比べ「ピーク対平均電力比」が小さいため、例えばチャープパルス増幅器や反響定位(エコーロケーションシステム)などでインパルス信号の代替として用いられる。

利用法と出現例

(a) 画像処理において、直接的な周期性はほとんど見られないが、遠近感を持つ画面の中での周期性はよく見られる。 (b) 窓の黒い部分と白いコンクリートの部分のような繰り返し構造で、空間周波数が増加する形でのチャープを構成する (c) つまり、画像処理において適したチャープは射影チャープとなる。

チャープレット変換

別のチャープ信号として、以下の形式の射影チャープがある:

,

3つのパラメータを持ち、a (スケール), b (変換), and c (チャープネス)。理論的に、射影チャープは画像処理に適しており、射影チャープレット変換の基礎となる。[5]

チャープ率

チャープ率とは、周波数の瞬時変化率である。 波形が次のように定義されている場合:

瞬時周波数は、次のように定義される:

そして、チャープ率は、次のようになる:

See also

  • Chirp spectrum - Analysis of the frequency spectrum of chirp signals
  • Chirp compression - Further information on compression techniques
  • Chirp Spread Spectrum - A part of the wireless telecommunications standard IEEE 802.15.4a CSS (see Chirp Spread Spectrum (CSS) PHY Presentation for IEEE P802.15.4a).
  • Chirped mirror
  • Chirped pulse amplification
  • Chirplet transform - A signal representation based on a family of localized chirp functions, each member of which can usually be expressed as parameterized transformations of each other.
  • Continuous-wave radar
  • Dispersion (optics)
  • Pulse compression - A signal processing technique designed to maximize the sensitivity and resolution of radar systems by modifying transmitted pulses to improve their auto-correlation properties. One way of accomplishing this is to chirp the RADAR signal (also known as Chirp Radar).
  • SHARAD

参照

  1. ^ Easton, R.L. (2010). Fourier Methods in Imaging. Wiley. p. 703. ISBN 9781119991861. http://books.google.com/books?id=QuIHjnXQqM8C 2014年12月3日閲覧。 
  2. ^ "Chirped pulses". setiathome.berkeley.edu.
  3. ^ Easton, R.L. (2010). Fourier Methods in Imaging. Wiley. p. 700. ISBN 9781119991861. http://books.google.com.br/books?id=QuIHjnXQqM8C 2014年12月3日閲覧。 
  4. ^ "Chirp Signals". dspguide.com.
  5. ^ Mann, Steve and Haykin, Simon; The Chirplet Transform: A Generalization of Gabor's Logon Transform; Vision Interface '91.

外部リンク


チャープ信号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/22 09:04 UTC 版)

ウィグナー分布」の記事における「チャープ信号」の解説

入力信号がチャープ信号の場合その瞬間周波数線形関数になる。つまり、時間周波数分布直線となる。たとえば、 x ( t ) = e i 2 π k t 2 {\displaystyle x(t)=e^{i2\pi kt^{2}}} の場合瞬間周波数次のようになり、 1 2 π d ( 2 π k t 2 ) d t = 2 k t   , {\displaystyle {\frac {1}{2\pi }}{\frac {d(2\pi kt^{2})}{dt}}=2kt~,} そのウィグナー分布W x ( t , f ) = ∫ − ∞ ∞ e i 2 π k ( t + τ 2 ) 2 e − i 2 π k ( t − τ 2 ) 2 e − i 2 π τ f d τ = ∫ − ∞ ∞ e i 4 π k t τ e − i 2 π τ f d τ = ∫ − ∞ ∞ e − i 2 π τ ( f − 2 k t ) d τ = δ ( f − 2 k t )   . {\displaystyle {\begin{aligned}W_{x}(t,f)&=\int _{-\infty }^{\infty }e^{i2\pi k\left(t+{\frac {\tau }{2}}\right)^{2}}e^{-i2\pi k\left(t-{\frac {\tau }{2}}\right)^{2}}e^{-i2\pi \tau \,f}\,d\tau \\&=\int _{-\infty }^{\infty }e^{i4\pi kt\tau }e^{-i2\pi \tau f}\,d\tau \\&=\int _{-\infty }^{\infty }e^{-i2\pi \tau (f-2kt)}\,d\tau \\&=\delta (f-2kt)~.\end{aligned}}}

※この「チャープ信号」の解説は、「ウィグナー分布」の解説の一部です。
「チャープ信号」を含む「ウィグナー分布」の記事については、「ウィグナー分布」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「チャープ信号」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「チャープ信号」の関連用語

チャープ信号のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



チャープ信号のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのチャープ信号 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのウィグナー分布 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS