スイス航空316便着陸失敗事故とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > スイス航空316便着陸失敗事故の意味・解説 

スイス航空316便着陸失敗事故

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 19:47 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
スイス航空 316便
炎上する316便
事故の概要
日付 1979年10月7日
概要 パイロットエラーによる滑走路のオーバーラン
現場 ギリシャ アテネ エリニコン国際空港英語版
北緯37度52分26秒 東経23度44分27秒 / 北緯37.87389度 東経23.74083度 / 37.87389; 23.74083座標: 北緯37度52分26秒 東経23度44分27秒 / 北緯37.87389度 東経23.74083度 / 37.87389; 23.74083
乗客数 142
乗員数 12
負傷者数 10[1]
死者数 14
生存者数 140
機種 ダグラス DC-8-62
機体名 Uri
運用者 スイス航空
機体記号 HB-IDE[2]
出発地 ジュネーヴ空港
第1経由地 エリニコン国際空港英語版
最終経由地 チャトラパティ・シヴァージー国際空港
目的地 北京首都国際空港
テンプレートを表示

スイス航空316便着陸失敗事故は、1979年10月7日ギリシャアテネで発生した航空事故である。ジュネーブ空港から北京首都国際空港へ向かっていたスイス航空316便(ダグラス DC-8-62)が、経由地のエリニコン国際空港への着陸時に滑走路をオーバーランした。乗員乗客154人中14人が死亡した[3]

事故の経緯

1977年に撮影された事故機

316便はスイスジュネーブからアテネボンベイを経由して北京へ向かう国際定期便だった。エリニコン国際空港英語版は第1経由地で、当初は滑走路33RへILS進入を予定していた。パイロットは空港を視認できたため、滑走路15への着陸へ変更した[3]

316便はエリニコン国際空港の滑走路15Lに146ノット (270 km/h)で着陸した。着陸したのは滑走路端から740m地点で、滑走路の残りは2,240mだった。機体は十分減速せず、滑走路をオーバーランし道路上で停止した。衝撃により左翼と尾部が分離し、火災が発生した。死者は全員21-26列目に着席しており、煙または火災により死亡した[3][4]。死者にはイギリス人、ドイツ人、フランス人が含まれていた。また、乗客142人のうち100人は中国の医学会に参加するために搭乗した医師だった[5]。生存者にはシカゴ大学名誉教授であったハンス・モーゲンソウが含まれていた[6]

事故調査

事故原因としてパイロットエラーが挙げられた。パイロットは通常よりも速い速度で着陸し、加えて着陸地点も通常より奥だった。また、着陸後にブレーキや逆噴射装置を適切に使用しなかったため機体は滑走路内で停止しなかった[3]

事故後

事故後、316便に450kg以上の放射性同位体と少量のプルトニウムを積載していたことが判明した。プルトニウムは乗客の医師の荷物で、現場から発見された[6][7] 。そのため、当局は消防隊と救急隊の被曝検査を行った[8]

また、316便にはボンベイへ輸送する予定だった200万USドル以上の工業用ダイヤモンドも積載されていた。これらは事故により発生した火災でほとんどが破壊された[9]

事故の2日後、ギリシャ当局は機長を業務上過失致死で送検した[10]。1983年に行われた裁判で、機長と副操縦士は有罪となり、それぞれ5年と2年半の懲役刑となった[11]。最終的に2人は保釈された[12]。また、機長と副操縦士はスイス航空を解雇されることはなかった[13]

関連項目

脚注

  1. ^ Pilot charged in 14 aircrash fatalities. Bangor, Maine: Bangor Daily News (UPI). 10 October 1979, p. 34.
  2. ^ Airlines.net HB-IDE
  3. ^ a b c d Aircraft accident: McDonnell Douglas DC-8-62 HB-IDE Athens-Ellinikon International Airport. Aviation Safety Network, Flight Safety Foundation.
  4. ^ 14 die when plane overshoots runway. Spencer, Iowa: The Daily Reporter (UPI). 8 October 1979, p. 5.
  5. ^ Plane crash tolls mount. Daytona Beach, Florida: Daytona Beach Morning Journal (AP). 9 October 1979, p. 8B.
  6. ^ a b Plutonium missing. St. Joseph, Missouri: St. Joseph Gazette (UPI). 9 October 1979, p. 2A.
  7. ^ Recover plutonium from wrecked plane. Warsaw, Indiana: Times-Union (UPI). 9 October 1979, p. 1.
  8. ^ Swissair carried isotopes. Bangor, Maine: Bangor Daily News (UPI). 9 October 1979, p. 8.
  9. ^ Plane crash ruins cargo of diamonds. Eugene, Oregon: Eugene Register-Guardian (UPI). 10 October 1979, p. 4A.
  10. ^ Hope, Keirin. Swissair pilot charged in Athens crash. St. Petersburg, Florida: St. Petersburg Times (UPI). 10 October 1979, p. 14A.
  11. ^ Greek court sentences pilots for fatal crash. Ottawa, Ontario: Ottawa Citizen (Reuters). 27 April 1983, p. 6.
  12. ^ Swiss pilots freed. Montreal, Quebec: The Montreal Gazette (AP). 28 April 1983, p. A10.
  13. ^ Pilots' sentences reduced. Nashua, New Hampshire: Nashua Telegraph (AP). 26 September 1984, p. 3.



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  スイス航空316便着陸失敗事故のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「スイス航空316便着陸失敗事故」の関連用語

スイス航空316便着陸失敗事故のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



スイス航空316便着陸失敗事故のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのスイス航空316便着陸失敗事故 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS